東京でのレッスン ベートーヴェン ソナタ ヴァルトシュタイン
東京の家は、今まで以上にガランとしていた。
かあさんの荷物がなくなったからだ。
家は無人。電気・ガス・水道は、とおってるけど、冷蔵庫は空。
家の中は、閉め切っていたせいか、熱帯というより、サウナのようになっていた。
僕はとりあえず、家の窓を全部あけて空気を入れ替え、それから
僕の部屋だけ冷房を最大にした。
ちなみに音楽室だけは、一定温度に保たれてる。
明日の西師匠のレッスンは昼をはさんで、3時間。
超過したぶんは、レッスン料はいらないと、いわれたけど・・
夜のうちに 夕食・朝食をコンビニでかってきた。
こういうのも気楽でいいけど、コンビニ弁当ばかりじゃ、飽きるかな
日曜のレッスン。最初は ショパンのエチュードから25-10.
もちろん、練習はしてるけど、思うようにテンポアップ出来ないのは
あせらない事にした。
「よく出来てる。この曲はOKだね。裕一君はもっと速く弾きたそうだけど
今は自制したほうがいい。じゃあ、これまでやってきたエチュードを
弾いてみて。」
練習しあがったエチュードを 披露。
忘れてはいないけど、集中して練習してないぶん、ちょっと前より曲のつくりが
大雑把なきがする。エチュードは短いので、自分が気に入らなかったら、
もう一度繰り返して、その曲を弾いた。
「裕一君は、変わったね。やっと欲が出て来た。いい傾向だ。
これまでのエチュードは、合格点だよ。」
欲ってなんでしょうか?と聞くと、耳の痛い言葉がかえってきた。
「う~ん。小学生の時はともかく、おとなしく優等生だった。
素直で正直で教えた事を、キッチリやってくる。
でも、中学生になっても、それがそのままだったんだ。
言われた事がキッチリこなす。
でも、それ以上の事は、あまり興味がないようだったんだ。
”ここは、こう弾きたい”とか”この曲を弾きたい”とか。
今は、積極的に前向きに取り組んでる。前の失敗があるから、
慎重に慎重をかさねてて、進歩は遅いかもしれないけどね。
僕もね、悩んでいたんだ。君が中3で挫折しかけた事じゃない。
その前の君の音楽にたいする姿勢だ。
教師の言う通りの演奏で満足してるようでは・・・・」
中3の挫折の記憶がつらくて、その前の事は、あまり覚えてない。
そういえば、師匠から、ピアノの演奏できびしく注意される事がなかった
のだろう。そんな記憶がないから。
今は、僕にとってピアノとは?って考える前に、課題をだされた。
ショパンのエチュード。25-12.
あの、アルペジオではじまり、終止形以外 そのままだ。
こんな難しいのをやるのですか・と恐る恐る尋ねたら、アルペジオはユックリ
練習すれば、まあそこそこのレベルだそう。
先生が、試しに最初だけ弾いて、練習方法を教えてくれた。
この曲の難しさは、音が多すぎてメロディが、うきでないことなんだ。
師匠に確認すると、やっぱりそうだって。
気にせずハイテンポfでガンガン弾く方法もあり。
多少、ゆっくりでもメロディを大切に弾く方法。プロもいろいろだそうだ。
昼食の時間、僕は外でマックででも食べようと思ったら、師匠の家で
ご馳走になった。9月だけど冷やし中華。
運んできた師匠の奥様にお礼を言って、おいしく頂いた。
(奥様は、声楽家で結婚を機に、専業主婦で、たまに講師のバイトにでるらしい)
午後からは、ベートーヴェンのピアノソナタ。
レッスンに行く前に、先生が 弾いてくれた。
11番、21番、26番のそれぞれ1楽章づつ。
気がついた事を言ってみて。というので、正直に答えた。
まあでも、その曲によるんだけど・・
「僕が11番を弾いた時は、リズムがどうしても重くなってしまいました。
先生は、僕よりずっとハギレのいい音で、軽い音でした。
21番は、最初と中間部のテンポが同じなのに、雰囲気が全然
違うのが新鮮で、その中間部もロマンチックな旋律に聞こえました。
26番は、最後のpの所。ベートーヴェンが自分の愛弟子の乗った馬車が
見えなくなるまで、立って見送ってる姿が想像できました」
「ははは、馬車ねなるほど。裕一君、いい事いうね
この三つの曲はね。作曲時期が違うせいか、弾き方も違うんだ」
と、先生はそれぞれの弾き方の違いを実際に弾いて比較してくれた。
確かに11番とかは、情緒たっぷりにルバートをかけると、ヘン。
自分だけの世界で満足して陶酔してて、恥ずかしい気持ちにさせる。
26番は、ちょっと微妙だった。
最初の力強いテーマはそのまま。中間部をほんの少しだけ柔らかく
ロマンチックに弾くんだ。中間部もバンバンそのままで弾くと、
悪くはないけど、テーマの力が目立たなくなる。うmm
その後、ソナタの練習に入った。
26番、告別は、自分で自分の弾く2楽章が納得いかなかった。
もっと、僕はこの楽章に空虚感がほしい。悲しみじゃなく不安も。
先生は、”十分できてるレベルなんだけど”といいつつも、2楽章だけ保留。
21番は、ははは。ダメダシの連続。
この曲、はまるんだな。この和音の連続で、冷静に弾いてるはずなのに、どんどん
テンポがはやくなる。それに中間部のメロはやっぱり さじ加減が難しい。
ソナタは、21番の2楽章と3楽章の途中まで。
それと、27番。これは1か月で仕上げるようにと。
今回は、いろいろな面でためになった。過去の自分は優等生だったんだ。。
課題は ソナタが大変そうだ。21番、どのくらいでおわるだろう・・




