高体連終了
曽我顧問の女子の召集は、説教のためじゃなくて、
今大会の反省だった。出来る限り、僕らは競技の録画をしてるので、
そのフォームの反省と、いいフォームのあり方とか、の話だ。
2年女子は、真剣に聞いてるし、話もある程度わかる。
でも1年二人組には、話を真剣にきいてるものの、よくわからないらしい。
そこで、丁寧に割りくだいて説明。
1年二人組は、ついに2年に”今度、実際にグランドで教えて下さい”と
頭を下げてお願いした。
女子は、これで大丈夫だろう。
男子ももちろん、召集し、反省&勉強会をした。
終わった後に、曽我顧問が、1年のリタイヤした村山だけ呼んだ。
「もう、膝のほうは、なんともないかね?」
村山は黙って頭を下げる。
「ところで、君はこの1年で何㎝身長が伸びたね?」
「中2の後半から伸び始めて、その時から20cmは伸びました」
「だからだね。身長の伸びに、膝の腱がついていってない。だから膝を痛くした。
それに内臓もついていってないから、自分で思うほど、心肺機能は上がってないんだ。
だから、5000mの距離は、競技としては、まだ無理だったんだ。
わかったかな?
脇坂は、それをわかっていたので、無理にペースを上げなかった。
最初から来年を目標にしてたんだろうな」
村山は顔を赤くしてうつむいた。彼には顧問の言葉は予想外だったのだろう。
顧問の指示を聞かず、リタイヤした自分は、退部させられると
思っていたのかもしれない。
「脇坂は、我が部のエースだった。そのエースが競技を降りて後輩指導に
まわったのだから、彼の指示をよく聞き給え。
才能有とふんで、コーチ役にまわったんだ。君も自信を持っていい」
僕の横には、真田がいた。心配してきたのだろう。
「才能あるって。頑張って」
僕は、真田にエールを送った。その低い身長をコンプレックスにしてるので、
少しでも、それがなくなるといいと思ったから。
僕と脇坂は、これでほぼ部活動は、終わり。
(脇坂は、たまに1年の指導に出向くと言ってるが)
ちなみに、青野はこのまま10月の記録会まで続けるそうだ。
選手じゃなかったけど、ランニングとストレッチぐらいしかせず、
あとは、マネージャーで上手く仕事ができたかどうか・・
高体連を節目に、3年生は部活を引退する。
1年生が多いので、指導や助言を頼まれれば行くことになるだろうけど。
部活動は、時間もとられるしトラブルも多かったけど、楽しかった。
マネージャーとして、選手の役に立ち、僕はうれしかった。
部活が、僕を元気づけてくれた居場所でもだったんだ。




