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百年大樹
いくつにも別れた手で空を掴もうと、
上へ上へと伸ばし続ける。
それは小さな丘の上で出会いました。
何百年も昔から、ただただ空を掴もうと。
雨の日も、風の日も、雪の日も、照りつけるような暑い日にも。
一日も休むことなく、ただただ空を掴もうと。
途方もないその大きさに、途方もないその真っ直ぐさに。
少し自分が恥ずかしくなりました。
「でも、お姉さんはどこにでも行けるよね」
いつのまにか居た、緑の髪の少年が言いました。
「ぐにゃぐにゃって、気ままにさ」
果たして、それは人に誇れるようなことなのでしょうか?
「いいんだよ。僕だって好きでやってるんだからさ……」
風が通り抜けた後、その少年はもう居ませんでした。
丘の上から、道が続いています。
どこまでも、枝のように。