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第伍歩・大災害+61Days 其の弐

 お待たせ致しました。

 今回からは、より密接な形にて、或未品様と読んでいるだけの人様と、コラボとなっておりまする。

 故に、御両人の御了承を経て、投稿させて戴いておりまする。

 さて。

 未だ海上ですが、ヨコハマまでは後少しでやんす。


 早速ちょこっと、修正致しました。(2015.09.17)

 波の音、風の音、そして星の瞬く音。

 其れ以外は、(しわぶき)一つ聞こえぬ静まり返った空間。


 おっかしーなー、とレオ丸は心の中で首を捻る。

 知らぬ者が混じって居たとしても、腹蔵なく話をすべく集まった者同士の座談会だ。

 しかも、開会宣言に態々“ぶっちゃけ”、と断りを入れてあるのだが。

 であるにも関わらず其々が思う処を、知り得る事で語っても良いと思った事を発し、其れに誰かが疑念や質問を重ね、尋ねられた事に回答をすればするほど、誰も彼もの口が重たくなっていった。

 結果として。

 座談会は、開始されてから一時間ほどで、まるでカニ鍋の宴会の如き有様となっていた。

 いや、カニ鍋の宴会の方がまだマシかもしれない。

 少なくとも、咀嚼音や食器が立てる音がするだろうから。

 帆船のさして広くもない前方甲板に、車座になって座る冒険者達は皆が皆唇を真一文字に結び、眉間に深い皺を刻みながらむっつりと黙りこくっていた。

 今やったら屁をコイても誰も笑わへんかもしれんな、と不真面目な事を考えるレオ丸ですら溜息一つ漏らせないでいる。

 其れも、事情を鑑みれば、致し方ない事ではあった。


 座談会の口火を切ったのは、全体への回答者的立場であるレオ丸だ。

 各地の知己から教えてもらった事を第三者的に、己の耳目で見聞きし体験した事を他人事のように、整理しながら開陳する。

 <大災害>が起こって以来のヤマトの状況を、ミスハやテイルザーンの補足説明を交えながら、俯瞰した風に解説。

 弧状列島ヤマトの東西では、異なる大規模なギルドがそれぞれの手段で団結し、秩序を維持しようと躍起になっている事実を、ざっくりと。

 レオ丸が、高くもなく低くもないが力強い声で語り終えると、ヤマトの冒険者達は己の現状を再認識したのか、悄然として静まり返った。


「ヤマトは、平穏だったのですね……」


 暫しの沈黙の後、そうポツリと呟いたのはレンインだ。

 言葉の響きは淡々としたものであったが、内容は侮りと取られても可笑しくなく、頭文字ファンブル達の瞳が剣呑な感じで細められる。


「中国は……華国は、どないやったん?」


 レオ丸が水を向けると、瞑目したレンインは居住まいを正した。


「現在の華国は、奇書の世界です」


 全てが秘宝級と思われる、裾広で丈の長いたっぷりとした純白の道士服風の布鎧、豪奢な装飾が施された髪飾りや腕輪や帯止めなどを見れば、少なくとも貧しい農村戸籍ではなく富裕層である都市戸籍の子女であると判断出来る。

 唐代の貴賓のように、高く結い上げられた金糸の如き艶やかな長髪。

エルフ特有の長い耳を彩る璧環が、海風に煽られシャラシャラと涼しげな音を奏でた。

 柳眉を顰める月下美人に魂を奪われかけたレオ丸は、不意に脇腹を襲った鋭い痛みに覚醒を強要される。


「其れでは、華国はまるで『西遊記』か『水滸伝』の如き有様だと?」


 <召喚術師(サモナー)>の脇腹に爪を喰いこませながら問うミスハに、レンインは桜唇から皮肉の色合いが濃い吐息を漏らした。


「混沌の主題は、『封神演義』でしょうか……」

「姜子牙も妲己も居ないが、紂王と哪吒が山ほど登場する状態だ」


 レンインの背後に具す<侠客>職の狼牙族が、太い犬歯を覗かせる。

 精悍無比を具現化したような、鉄灰色の漢玄甲に身を包んだ偉丈夫の投げ遣りな物言いは、レオ丸の額の溝を更に深くした。


「『史記集解』に曰く、“義を(そこ)ない、善を損なうを紂と曰う”。

 そんな感じなんかな、何潤東(ピーター・ホー)……やなくて、ズァンロン君?」


 中国の歴史ドラマにて呂布を演じた俳優と呼び間違えられた青年は、自嘲気味の鼻息で抗議をする。


「まぁ確かに、<冒険者>ってのは“人間宝貝(にんげんぱおぺぇ)”やもんな。

 しかも、高俅や蔡京みたいな<大地人>と、田虎に王慶みたいな<冒険者>が豺狼の如く荒れ狂い、西天取経の妨げとなる八十一もの障碍(モンスター)共が巷に溢れてるって事か」

「文字通り、混沌……か」


 レオ丸の解説を聞き、敵意を収め僅かに憐憫の色を瞳に宿した頭文字ファンブルが、決まり悪そうに顎を幾度も摩った。


「あら、秩序の崩壊度指数だったら、<ルーシ白夜帝国(ロシアサーバ)>も負けてないわよ」


 寂しげな笑みを浮かべつつ、皮肉な口調で喋り出したのはリルルだ。

 “赤いサラファン”が良く似合いそうな、何処か純朴そうな“黒い瞳”のスラブ娘は、今しもカザンの戦いへと出陣しそうな軍服姿で、膝を抱えて夜空を見上げる。


「<大地人>の皇帝陛下に絶対の忠誠を誓っていたはずの、<大地人>の“親衛貴族(オプリーチニキ)”共が内部分裂を……内ゲバを起こして、帝国はガタガタ。

 周辺の<大地人>の“辺境貴族(ヴァリャーグ)”や“傭兵貴族(ハスカール)”まで巻き込んでの一大権力闘争(バトルロワイヤル)の真っ最中、らしいわ。

 まぁ、切欠は……<冒険者(わたしたち)>だったんだけどね」

「所以は如何ですかな?」

「教えて欲しいナリー」


 志摩楼藤村とホウトウシゲンが身を乗り出すと、リルルは苦虫を噛み潰した表情を見せた。


「帝室避暑地である、夏の都(イパチェフグラート)に滞在中の皇帝(ツァーリ)を襲ったモンスターを、通りすがりの戦闘系ギルドが退治したら、叙爵されてしまったの。

 皇帝(ツァーリ)からすれば反革命・サボタージュ取締機関、全ロシア非常委員会(ヴェーチェーカー)並みに頼もしい存在に思えたみたい。

 そうしたら、権限を奪われたと思った“親衛貴族(オプリーチニキ)”の一部が暴発して、皇帝(ツァーリ)一家を殺してしまったの」


 <猟騎兵(コサック)>の独白が、波音を排除しながら淡々と続く。



夏の都(イパチェフグラート)の惨劇の報は、直ぐに帝都である勝利の都(ネフスキーグラート)に届いたわ。

 勿論、帝都も大混乱。

 市街戦の始まった帝都を脱した私は、(つて)を頼って北欧サーバへ飛んだの。

 ……後の事は、全て伝聞だけどね。

 今のルーシ白夜帝国には、皇帝(ツァーリ)もレーニンも居ない代わりに、幾人もの小スターリンと偽ラスプーチンとスチェパン・ラージンもどきが、離合集散しながら毎日毎日飽きもせず、殺し合いをしているらしいわ。

 ロシアの<冒険者>達は団結も連合も出来ずに、<大地人>の血みどろの政争に翻弄されながら、常時戦闘状態だって……」


 志摩楼藤村とホウトウシゲンは、首を竦めて身を縮こまらせた。


「だから言わせて戴いたんです、……ヤマトは“平穏”だと」


 レンインは、ヤマトの冒険者達を見渡してから双眸を細め、ひたとレオ丸へ視線を定める。


「まさか<山海演義(エルダー・テイル)>で、棒球(ベースボール)を観戦出来るなんて!

 闘諍でも戦争でもなく、試合で物事の決着を図るなんて。

 ……誰も殺さずに、争いを未然に鎮めるだなんて……」

“死(アウト)”は一杯、宣告したけどなぁ~?)


 温かみのない瞳に射竦められ、レオ丸は軽口を口中に留めた。


「シルクロードの周辺もEU圏内も、似たり寄ったりの無法地帯。

 其れに比べたら、此処は本当に長閑で良いわ。

 <エルダー・テイル>がゲームだった頃と、同じ時間が流れているもの」


 満天の星空を見上げたままのリルルは、両手を後ろについて足を伸ばす。


大陸(ユーレッド)に比べたら……島国(ヤマト)は実に穏やかだわ。

 祖国(ロシア)が、日本(イィポーニヤ)と同じだったら……私は何処にも行かずに過ごせたのに……」


 微かな嗚咽と静かな慟哭が、ヤマトの冒険者達の臓腑を抉った。

冴えた月明かりが、<大災害>の被害者達の陰影を、更に深くする。

 斯様な次第で。

 快調に波を切り進む帆船の、甲板は沈黙の帳に覆われたのだった。



 何とも気まずい形で、自然解散となった座談会。

 操船を担当しているレオ丸は、肩を落とし重い足取りで船室へと戻る船客達を見送ると、<彩雲の煙管>を咥え直した。


「“有孚攣如、富以其鄰”……かぁ」

「どういう意味ですか?」

「『易経』の第九卦、『風天小畜』の五爻の解説や。

 『風天小畜』の卦ってのは、渋滞に巻き込まれたような状態やさかい、何事も時期を得てへんからジタバタせんとコツコツと実力を蓄えて、機が熟する日を待たなアカン、って事やねん。

 読み下しをしたら、“孚ありて攣如たり、富その隣とともにす”。

 意訳したらば、……“此の少しく蓄える時に当たり、真心ありて周りを引き込む。富を独占せず隣と共有すべし”……ってな」


 海風に入り混じり、夜の空気に消えて行く五色の煙を眺めつつ、レオ丸はミスハの問いにスラスラと答える。


「今のワシらにとって、最大の“富”ってのは“情報”やろうなぁ」

「其れは……現実でも同じなのでは?」

「せやねぇ、同じやねぇ。でもな……」


 レオ丸は首を巡らせ、ミスハの媚眼秋波を<淨玻璃眼鏡(モーリオン・ゴーグル)>でさらりと受け流した。


「其れが“富”であると気づかずに生活してたんが、元の現実やったやん?」


 皮肉っぽく歪む中年<召喚術師>の口元と、ウンザリとした溜息を漏らすアラサーレディである<暗殺者(アサシン)>の唇。


「テレビや雑誌やインターネットが垂れ流す、加工された情報を適当に摘み食いしたり聞き流したりして、其の時々で自分のアンテナに引っかかったモンで、欣喜雀躍したり右往左往しとるやん?

 そんでワシらにとって、ホンマに大事な情報は何処にあるんか?って考えたら、足元と眼の前にゴロゴロとしとるねん。

 でも、日常生活においてワシらは其れを、気づかずに蹴散らしたり、目障りやと追い散らしたりしとるやん。

 元の現実でも、檀家さん相手にして“情報の大切さ”ってのをようよう説いたりしとったけど……此方に着て、改めて思ったわ。

 “情報”って、ホンマに大切やわ。

 但し、漫然と集めるだけではアカンし、意味があらへん。

 数多く集めた玉石を餞別して玉だけを選び出し、研磨するように分析しなアカンし、そもそも何を目的として情報を集めるんかを意識しとかんと、アカンやんか?

 さてさて。

 ワシがレンインさん達に提供した情報と、彼女らから頂戴した情報。

 価値を推し量れば、頂戴した情報の方が重かったよなぁ……」

「ユーレッド大陸は、中国もロシアも大変なようですね」

「いや、恐らくは」


 レオ丸は、<彩雲の煙管>を咥えた口を尖らせた。


「日本以外のほぼ全てのサーバは、阿鼻叫喚で奈落なんと違うかなぁ?」

「何故そう思われるんですか?」

「どうしてですか?」

「さて、何故やと思う、知世さん、マリユスさん?」


 ミスハと共に残った冒険者二人は、暫く考え込んでから揃って首を横に振る。


「ヒントは、民族による公共性の捉え方、民主主義を如何に認識してるかの違い、やろうかなぁ……。

 ま、ゆっくりと考えよし。

 さて、と。

 ワシは夜明けまで頑張らなアカンし、自分らは夜が明けてからが頑張り処やし、そろそろお開きとしよか?」


 すると、一人の冒険者がアッと声をあげた。


「報告を忘れていました!」


 怪訝な顔を見せる三人に、知世が申し訳なさそうな表情を見せる。


「今回の件の依頼主側から連絡がありまして……、夜明け頃に此方へと接触しに来られるそうです」

「其れは、査察の事前通告という事か?」

「Non Commandant。人員の入れ替え……だそうです。

 理由は、大地人の子供達を安心させるため、大地人が安心を得たいがため、との事です」

「ほいで、……誰が来るん?」


 ミスハからレオ丸へと向き直った知世は、二人の冒険者の名を上げた。


「プークスクスの、うけけのけ!

 技の1号と力の2号、合わせて力技のダブルブライド、見参!ってか?」

「何ですか、其の例えは?」

「まぁ、ワシが雪男怪人で、ミスハさんか誰かが溶岩怪人って事や。

 って言うても判らんわなぁ?

 でも大丈夫やって……ワシらは何べん倒されても、何処かで何度でも再生怪人として登場出来るんやさかいに♪

 さてさて。

 左様ならば尚更の事、自分らは少しでも寝といた方がエエで。

 万が一にも、寝不足で粗相をしたらアカンさかいに、な?」


 レオ丸は、欠けた月を狙い五色の煙を吹き上げる。


「“予想している事は、まず起こらない。起こるのは、大抵予想していなかった事だ”ってぇのは、ワシの敬愛するディズレーリ御大のお言葉やけど。

 今此の時も、明日の曙も、何が起こるか判らんで?

 ……何が起こるか判らんさかいに、休める時には休んどかんとね♪」


 船室へと歩み去る知世とマリユスを見送ったミスハは、胡坐を掻いたレオ丸の膝を枕にして横になった。


「“世間は気次第で、忌々しくも面白くもなるもの”」

「其れは、誰の言葉ですか?」

「……“少しは淋しさうに坐り居る三十前後の女、男のやうに立派な眉を何日(いつ)掃ひしか、剃つたる痕の青々と、見る眼も覚むべき雨後の山の色をとどめて(みどり)の均ひ、ひとしほ床しく、鼻筋つんと通り目尻キリリと上り”……」

「其れは、……嫌味ですか?」


 眼を閉じたまま、ミスハは少し尖り気味の声を出す。

 レオ丸は<彩雲の煙管>を燻らしながら、拗ねた童女のような顔をしているミスハの髪を、優しく撫でつけた。


「さっきのは、幸田露伴大先生の残しはった言葉で、今のんは『五重塔』の一節やわさ。

 処でミスハさん……自分は、ベッドで寝ぇへんでエエん?」

「法師の傍以上に、安心して寝られる場所はありませんから」

「そいつぁ…………おおきに」

「では、お休みなさいませ」

「……はいな、佳き夢を♪」


 待って焦がれた 二人の夜に 俺らを見てるは 月ばかり


 不意に詠み人知らずの都都逸が一首、レオ丸の脳裏に浮かび上がる。

 白々と冴えた月明かりと、ビョウビョウと吹きつける海風も、茹蛸のように真っ赤になったレオ丸の火照りを、冷ます事は出来なかった。


「……くもりなき 一つの月を もちながら 浮世の雲に 迷ひぬるかな」


 破天荒を実践した室町時代の禅僧の詠んだ歌を口遊めば、レオ丸の下の方からスウスウとあどけない寝息が聞こえて来る。


「此のまま何事もなく……お陽さんを拝みたいもんやねぇ……」


 だが其の願いは、夜明けと共に虚しいモノへと成り果てた。



 水平線から朝日が完全に昇りきった、凡そ午前七時半頃。

 ミスハと共に、ラジオ体操をしていたレオ丸に、背後から声がかけられた。


「お疲れ様でした、Champ閣下!」


 ブーツの踵をカチンと打ち合わせたDRAGOON-ww2が、ビシッという見えない擬音を立てて、直角に腰を折る。

 レオ丸は、オフ会サークルの<野獣の結社>における後輩が示した大袈裟な仕草に、苦笑いを浮かべつつ鷹揚に返礼した。


「MP回復は出来やんしたかいな?」

「Ay ay Champ! 此れより当直任務に着きます」


 充分に休息を得たDRAGOON-ww2は、レオ丸に改めて最敬礼するのと同時に、<白き化鯨>スケルトン・ザ・モビィ・ディックを召喚する。

 契約主達がハイタッチをして役目を交代すると、契約従者達も帆船の牽引役を速やかにバトンタッチした。

 其の途端。

 実に残念な台詞が、レオ丸の頭の中に響き渡る。


(第一朝飯、発見!!)


 波間から拳を高々と突き上げた<海魔竜魚(ケートー)>が、何を思ったのか突然に海中へと身を没したのだ。

 例によって例の如く、家長への断りもなく勝手気侭に行動を開始する巨大な眷属(ファミリア)に、レオ丸は渋面を作って対応する。

 静止命令を発する間も与えず、海面下を北東の方向へと泳いで行く、ミキM。

 比較対象がない故に、海では距離感が掴み辛いが、恐らくは二、三百メートルほど先だろうか。

 レオ丸達がぼんやりと眺める其の先の海面が、何故だか判らぬが突如激しく泡立ち始めた。

 沸騰したように騒ぎ出した海上の中心部から、ミキMが派手な水柱と共に浮上し大声で成果を吼える。


「第一朝飯、獲ったどーッ!!」


 パワーシャベルのアームのような<海魔竜魚(ケートー)>の両掌には、数体の亜人系モンスターが握り締められていた。

 そして徐に、巨大な半人半魚のモンスターは喜色満面で両手の中の御飯をバリバリモグモグと、貪り出す。

 何とも嫌な感じの悲鳴が、帆船の甲板上まで微かに届いた。

 元の現実では絶対に見られぬ食物連鎖に、冒険者達の表情はゲンナリにウンザリを加算したモノとなったが、直ぐに全員の表情が引き締められる。


<海魔竜魚(ケートー)>の周囲って……」

「もしかしたら……」

「大山鳴動……やなくて、軽挙妄動して……<水棲緑鬼(サファギン)>百匹!?

 こいつぁちょいと、笑って堪えて……られへんかもなぁ?」


 レオ丸とミスハと顔を見合わせたDRAGOON-ww2は、慌てふためきながらサブ職<提督>のスキルを発動させた。


「総員起し! 総員起し!」


 朝まだ早き時刻に突如発せられた起床ラッパならぬ発令に、船室へと繋がる扉から冒険者達がワラワラと押っ取り刀で現れる。

 寝惚け眼の者、寝癖で髪型が酷い状態の者、パジャマ姿で武装していない者。

 未だ意識が覚醒していない者達に、DRAGOON-ww2は大声を張り上げる。


「総員、整列! 気をつけ! 傾聴!」

「さて、皆さん、お早うさん。

 慣れぬベッドで眠たい処ゴメンやけど、耳の穴かっぽじって、よう聞いてや!

 あそこに見える通り、此処から至近に、<水棲緑鬼(サファギン)>の集団が遊泳しとる」


 レオ丸が指差す方では、巨大な半人半魚が旺盛過ぎる食欲でもって半魚人の群れに襲いかかり、貪り喰らっていた。

 まるで大スペクタクルの特撮怪獣映画並みの光景に、冒険者達の眠気が一遍に吹き飛ぶ。


「今はまだエエけど、彼女の……悪魔の飽食が終わったら…」

「ごっちそーさまでしたッ!」


 レオ丸の台詞を、ミキMのげっぷ混じりの大声が消し飛ばした。

 満足そうな表情を見せながら海中に没する<海魔竜魚(ケートー)>に、レオ丸の口がへの字に歪む。


「つまり私達は、此れから慣れぬ海戦をしなければならぬ」

「レベル50に満たぬ者達は、船内にて大地人の子供達を守れ!

 其れ以上の者は、甲板にて<水棲緑鬼(サファギン)>共の斬り込み攻撃(アボルダージュ)に備えよ!

 総員戦闘配置! GUNG-HO! GUNG-HO!」


 口を噤み肩を落としたレオ丸に代わり、ミスハが冷静な声で現状を説明し、DRAGOON-ww2が勇ましく号令を発した。


「「「「「 Ay ay Sir!!」」」」」


 甲板に集まった冒険者達の中で、身支度が整っていない者は駆け足で船室へと向かい、武装済みの者達は担当各所へと散って行く。


「何事なんです、法師?」


 遅れて現れたテイルザーン達、レベル90の冒険者達が船上の物々しい雰囲気に、揃って首を傾げた。

 盆の窪に手を当てながら、レオ丸が状況説明をしようと口を開いたが、又もや自由過ぎる眷属(ファミリア)に邪魔される。


「主人! 御土産だよ!!」


 船縁に立つ契約主の背後に見上げんばかりの水柱が誕生し、其処から現れた巨大な契約従者が笑顔で両手を伸ばし、レオ丸とテイルザーンの間に何かを掌から叩き落としたのだ。

 何とも形容し難い音と共に甲板に落下して来たのは、濃厚な緑色に鮮やかな紅色が混じった、ヌメヌメとした二つの肉塊。

 其れは、原型を留めぬほどに握り潰された、二体の<水棲緑鬼(サファギン)>であった。

 眼を見開いたテイルザーン達、高レベル冒険者達の眼前で、名状し難い形状の肉塊は光の泡に包まれた後、ひと掬いの金貨の山と化す。


「……コレが大軍でな、もう直ぐ此処に押し寄せて来よんねんわ」


 レオ丸がポツリと言うと、テイルザーン達の顔つきが一変した。


「了解! ……試合じゃなくて、久々に本チャンの戦闘って事ですね」


 テイルザーンが不敵な笑みを浮かべるや、腰の差し料に手をかけ鍔鳴りさせる。

 そして、甲板上に闘気が満ち溢れた。

 高が程度の知れた低レベルの亜人如き、何するものぞ。

 五十匹でも百匹でもやって来い! と、手に手に獲物を構え、魔法を唱える準備を終えて意気上がる冒険者達。

 だが。

 帆船に襲いかかって来た<水棲緑鬼(サファギン)>達は、少なく見積もっても百匹以上は居たのだ。


 程なくして。

 船上は、実に幻想的で終わりの見えぬ、戦いの場と化した。


 レオ丸達の乗り込んでいる帆船は大型船ではないために、喫水線があまり浅くはない。

 つまり、甲板から海面までは其れほど距離がないのだ。

 そして<水棲緑鬼(サファギン)>は、尾ビレの力が意外と強い。

 空中へと躍り出る魚類と同じく抜群の跳躍力を活かして、海中から次々に飛び出しては船縁に取りつき、船縁を乗り越えて襲撃して来る海棲亜人達。

 冒険者達は次々と襲い来る敵勢を、甲板を走り回っては斬り捨て、跳び回っては魔法で撃ち抜いていく。

 防衛線の中核を形成するのは、<武士(サムライ)>のテイルザーンと虎千代THEミュラー、それに<武闘家(モンク)>のブラック下田と<侠客>のズァンロン、の四人。

 物理的攻撃の主体となっているのは、<盗剣士(スワッシュバックラー)>の頭文字ファンブルと<猟騎兵(コサック)>のリルルだ。

 <妖術師(ソーサラー)>の志摩楼藤村とホウトウシゲン、更に<道士>のレンインが魔法攻撃を担っている。

 後方支援担当は、<神祇官(カンナギ)>のトリリンドル・オーヤマと<吟遊詩人(バード)>の大アルカナのぜろ番、<森呪遣い(ドルイド)>のレディ=ブロッサムの三名。

 ミスハは、同じく<暗殺者>であるマリユスと共に、<守護戦士>の遼河春姫、<武闘家>のミシェル、<妖術師>の知世、<吟遊詩人>のギュエスを率いて、遊軍として防衛線の綻びを埋めていた。


「ちょいと、こいつぁ厳しいかな?」


 海上で大暴れしている<海魔竜魚(ケートー)>を見ながら、レオ丸は嘆息する。

 戦闘の火蓋が切られてから、既に三十分近くが経過していた。

 追加で召喚した<蛇目鬼女(メデューサ)>に舳先で射手を、<煉獄の毒蜘蛛(アラクネー)>と<暗黒天女(カーリー)>と<喰人魔女(キルケー)>に後甲板での迎撃戦闘を任せているので、現在は攻守のバランスは拮抗している。

 しかし其れも、長くは続きそうにはなかった。

 断続的な攻撃に、冒険者達の誰しもが疲弊し始めている。

 レオ丸も其の内の一人だ。

 懐に抱いた<金瞳黒猫(グルマルキン)>のMP補助を受けているものの、此れ以上戦闘が長引けば、契約従者の召喚状態を維持出来ないかもしれない。


「補給部隊が、<神祇官>と<森呪遣い>の二隻では……」


 船を牽引するモンスターに指示を出し、進路を小刻みに変更させながら敵襲を回避しようと苦心する、DRAGOON-ww2が低く呻いた。


前線(アップフロント)は、松島慶三大先生の『精鋭なる我が海軍』の通り、勇猛果敢で勇壮至極や……ねんけどねぇ?」


 二人の<召喚術師>が両足を踏ん張っているのは、メインマストの真下辺り。

 帆船全体を薮睨みし、更に船縁の外を見据えて溜息をつく、レオ丸。

 其の傍らに立つDRAGOON-ww2は、新たな契約従者を召喚し、<白き化鯨>スケルトン・ザ・モビィ・ディックに集る敵を追い払おうとしていた。

 召喚されたのは、鋭利な刃物を思わせる半円形の翼を広げて海面を軽快に飛翔する、体長一メートル前後のモンスター。

 名を、<人造海竜(ジェニー・ハニヴァー)>という。


「忠烈勇武ただ一誠、協力一心し、いざ、迎え撃て!

 敵海兵隊を蹴散らせ、強風!」


 レオ丸の戯言を受けて歌い出したDRAGOON-ww2が、魔法杖(マジックワンド)を華麗に振れば、其の動きに合わせ、飛び魚のように海面を滑空しては<水棲緑鬼(サファギン)>を切り裂いていく<人造海竜(ジェニー・ハニヴァー)>。


「せやけど補給線を軽視したら、其の海軍も浮かぶ鉄の棺桶に成り下がるし。

 此のままやと……ナゴヤへ死に戻りやろうなぁ、けったくそ悪い」

「船室に籠もってもらっている彼女らを、予備戦力として投入しますか?」

「そいつぁ……悪手やし、其の手は絶対に使われへんわ。

 先ず第一に、ワシらは何が何でも、大地人の子供達を守らなアカン。

 †ばる・きりー†嬢に森之宮showYa嬢、後はエアリアル嬢にファンティーヌ嬢やったっけかな?

 彼女らはレベル50に満たなくとも、大事な虎の子の最終防衛線やもん。

 其れにや、な……」


 レオ丸の足元に蟠る影から<誘歌妖鳥(ハーピー)>が飛び出し、<海魔竜魚(ケートー)>の大立ち回りに加勢する。


「ミスハさんに教えてもろうたんやけど。

 最終防衛線、いや阻止限界点に居る、八十レベル越えの冒険者二人ってな……」

「アンリとフロワ……でしたっけ?」

「ああ、せや。……彼女らは、ある種の戦闘恐怖症やねんて、さ」

「ありゃー……」

「ワシらは伝説の勇者によく似た存在であっても、中身はモブシーンに登場する通りすがりの一般人ピーポーやからなぁ、ホンマ。

 誰しもが斬った張ったの大活劇が出来るはずもないし、英雄的行為を強制するなんざ論外やし。

 マジでやばくなったら、船捨てて逃げる算段をせんと拙いやも……」

「撤退戦……今以上の苦戦を覚悟しないと、いけませんね」

「遠く輝く夜空の星に、ワシらの切実な願いが届いたならば、ちょいと小粋な憑依系宇宙人が来てくれたりするんやけど。

 まぁ別に、地表滞在時間の短い正義の味方やなくても、フライング・タイガースとか、荒木又右衛門でもエエんやけど。

 それかまぁ……立てば炸薬・座ればドカーン!・歩く姿は地雷原……でもエエんやけどなぁ~~~」

「……何ですか、其れは?」

「スペイン内戦におけるコンドル軍団、くらいに有難い人らやねんけど、ねぇ?」


 其のレオ丸の願いは、唐突に叶えられた。


「<ジャッジメントレイ>」


 レオ丸の左手側、テイルザーンが奮迅する場所に取りついていた<水棲緑鬼(サファギン)>達が、上空から放たれた<施療神官(クレリック)>の必殺魔法により瞬時に光の泡と化す。

 そして。

 切望して止まなかった強力な援軍が、甲板へヒラリと降り立った。


「グ=ビンネ……えふん、<モスクワの海通商ギルド連合>が末席、軍事航空部隊管轄、<射位固定商会>。

 グリフォン印の助っ人でーす」

「……アマツバメ印の助っ人です。貧乏人に戻りたくないなら剣を取れ? だそうです」


 一人はスレンダーなエルフ、もう一人は背の高いハーフアルブ。

 女性冒険者達は笑みを交わすと、空かさず戦線に加わった。

 <施療神官>は左舷に、<召喚術師>は右舷へと。

 たった二人の加勢であったが、片方が回復役である意義は実に大きい。

 しかも其れが、集団戦闘に慣れたベテラン冒険者であれば、尚更だ。


「此れで勝てましたかね……ああっ!!」


 DRAGOON-ww2の表情が右舷の方を見た途端、安堵から驚愕へと表情を変える。

 そして身を翻し走り寄るや、援軍の女性冒険者に何事かを言いかけ、恫喝された上で命令をされていた。

 其のコントじみた遣り取りを見詰めるレオ丸の脳裏に、何故かグリム兄弟の紡いだ物語の一節が浮かぶ。


“さあ、こども達、開けておくれ。お母さんだよ、皆に良い物をもって来たのだよ”


 幾度となく首を振るレオ丸の口の端に、苦笑いが張りついた。

 ふと空を見上げれば、旭から午前の陽に変わった太陽が、激戦を生き抜いた帆船の進む先を、明るく眩しく照らしている。


「まぁ、狼……の嫁さん達は正義の味方から程遠い存在やし、願いが叶えられたって言えば、叶えられたんやけど。

 何でかねぇ? ……釈然とせぇへんねぇ?」


 思わぬ形で始まり、あっさりとエンドクレジットが出される寸前となった、海上遭遇戦。

 其の切欠の管理責任者であるとも言えるレオ丸が、まるで他人事のように総括すると、懐に抱かれたままのマサミNが大欠伸をしながら、尻尾を左右にだらしなく揺らす。


「子を見りゃ親が良く判るって昔から言うっチャ」

「昔からって……いつの昔やねん?」


 契約従者は捨て台詞のようなツッコミを入れると、ピョンと宙に跳び上がり、契約主の影の中へと身を沈めた。


「“ふまれても ふまれても 我はおきあがるなり 青空を見て微笑むなり 星は我に光をあたえ給うなり”」


 ツッコミ返しが空振りとなり、渋面を作ったレオ丸は明後日の方向を見詰めながら、独り嘯く。

 すると、受ける相手が居ないはずの呟きを、確りと拾う者が背後から現れた。


「誰の言葉です?」

「おおっと、ミスハさん! 御疲れ様!」

「いえ、法師も御疲れ様でした。戦闘も間もなく決着しそうです。

 其れで?」

「ああ、“仲良き事は美しき哉”で御馴染みの、武者小路実篤大先生が呟かれた名言なんやわさ。

 まぁワシら、冒険者の……あるべき生き方やろ?」

「ええ、まぁ、確かに」


 不意に、甲板の彼方此方から、歓声が挙がる。

 其れはモンスターの襲撃を悉く退けた、冒険者達の勝利の凱歌であった。


「そーいや、ミスハさん」

「何でしょう、法師」

「“生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え”って知ってる?」

「な、何ですか、唐突に!?」

「ほな、此の世界(セルデシア)における音楽の総数は、幾つやった?」

「え、あ……其れは確か……“42”曲だったのでは……」

「正解! 因みにさっきの質問にも、正解や」

「え?」

「英国のSF作家、ダグラス・アダムズ大先生の偉大なる著作『 The Hitchhiker's Guide to the Galaxy 』の中でな、語られてるんやけど。

 全時代および全世界において二番目に凄いコンピュータ、ディープ・ソートが七百五十万年もの時間をかけて計算した結果、出した答えが“42”やってん」

「はぁ……」

此の世界(セルデシア)において、此の世界(セルデシア)を表現する数字として、“42”ってな数字が出て来る。

 他方、元の現実の創作の世界においても、世界を現す数字が“42”や。

 余談やけど、グーテンベルク聖書は一ページが四十二行で組まれてるんで、『42行聖書』って呼ばれてたりするけどな」

「あのー、法師。……一体何が仰りたいのですか?」

「つまりな」


 肩を抱き合い、手を打ち合わせ合い、互いの健闘を讃え合う、冒険者達。

 恐る恐る船室から顔を覗かせ、危険から守られた事に安堵の表情を見せる、大地人の少年少女達。

 あっという間に融合し、拡大する歓喜の輪。

 両者が一つになり、喜びを共有し合う姿を見て、レオ丸は徐に<彩雲の煙管>を咥えて深呼吸をする。


「今の現実と元の現実は、地続きの世界やって事やわ」

「何を今更……そんな当たり前の事を?」


 呆れた口調のミスハが、レオ丸の両肩に手を置いた。


「人は身に危険が迫ったら、嫌が応でも戦わなしゃあない。

 せやけど、全ての人間が武器を手に、燃え盛る前線に立てる訳でもあらへん。

 戦って命を落としても、無抵抗のままに殺されるとしても、ワシらは冒険者やから死んでも、復活出来る。

 でも大地人は、そうはいかん。

 死んだら、それっきりや。

 ワシらは死なへんからこそ、此の世界(セルデシア)(うつつ)やのうて、夢のまんまで過ごす事が出来る。

 ところが大地人にとって、此の世界(セルデシア)は夢やのうて紛うことなき、(うつつ)の世界や。

 ……寝る前に、ワシがほざいた事を、覚えてるか?」

「民族とか民主主義とかって、仰っておられた?」

「せや。……今はああやって、冒険者と大地人の別なく、手を繋いで笑顔を見せているけどな。

 夢想に生きるワシらは、大地人やあらへんし。

 現実に生きる彼らは、冒険者やあらへん。

 己が生きる本来の世界を同じように捉えながら、ワシらと彼らは同じ場所でありながら違う世界で生きている。

 更にややこしい事に、大地人の世界は平等やあらへんし、ワシらの世界は不公平と不誠実で成り立っている。

 いつまで、手を取り合っていられるやら?

 いつまで、仲間同士で笑い合っていられるやら?」

「そんな事より!」


 ミスハは、両手に力を込めてレオ丸の背を押し出す。


「今は難しい事は抜きにして、喜びましょう、笑いましょう。

 喜べる時に喜ばないのは、人生における多大な損失ですよ!」


 小難しい顔つきのベテラン<召喚術師>を、やや強引な感じで前へと押しやる<暗殺者>。


 そして。

 穏やかな波間に、航跡を刻み続ける帆船の、甲板上。

 大小容姿様々なモンスター達が見守る中。

 冒険者と大地人の全員が手を取り合い、御互いの無事を言祝いだのだった。

 読んでいるだけの人様の御作における海戦シーンとは、豪く違うなぁ。

 特に、<海魔竜魚(ケートー)>が(苦笑)。

 此の違いが、世界の多様性って事なんでしょう。

 そーなんかな? まぁ、エエか。


 どらごん様、改め、パンプキンポタージュ様。

 御身を擬人化(?)致しましたキャラを今回も、便利に使わせて戴いて居りまする。

 平身低頭、ただただ感謝の一言なり。

 <白き化鯨>スケルトン・ザ・モビィ・ディックの名前が<迅鯨>ですので、<人造海竜(ジェニー・ハニヴァー)>の名前は<強風>とさせて戴きました。

 悪しからず、宜しからず、御了承下さいませ。

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