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第零歩・大災害+5Days 其の参

加筆訂正致しました(2014.08.18)。

更に加筆修正致しました(2014.11.16)。

「こりゃまた、どえらい大風呂敷を広げはりましたな!」


 邪Qが呆れたように、たはーっと息を吐いた。


「無理は承知の助やで。例え寿命が後百年あっても、世界の謎が更に百倍になるだけやろしな。

 人一人が出来る事なんて、たかが知れとる。ワシ一人なら尚更の事。せやけど、夢はでっかく持ちたいやんか。

 ほら、昔から言うやんか。“苔の一念、岩をも砕く”ってな」

「砕いちゃ、ダメでしょ」

「冷静なツッコミ有難う、カズ彦君」

「確かに、そうかもしれませんね。団長はともかく、僕らは仕事が山のようにありますからね。

 アンディーツは一軍守備コーチ、イガワンは一軍闘手コーチ、金四郎は二軍監督の仕事がありますしね。

 今日の処は補佐に任せて来ましたけど、結構忙しいんですよ、団長と違って」


 ヤッハーブがぼやくと、ナカルナードが巨体を少しだけ縮めた。


「そうっすよ、忙しいんすよ、俺達」

「団長も、団長らしく、偶にはギルドタワーで仕事して下さいよ」

「二軍の演習にも顔を出して下さい」


 ここぞとばかりに不平をぶつける、<ハウリング>の幹部達。

 カズ彦達も他人事では無いと、顔を顰める。


「俺も自分の処に手一杯で、今はミナミの街から出るのも、中々侭成りませんね」

<甲殻機動隊(ウチ)>も全員がログインしてた訳じゃあ無いんで、再編成の真っ最中です」

「こちとら近隣で鍛錬するのがエエとこで、<ハウリング>さんみたいな遠征は、当分無理ですわ」

「何れも同じですね。何かしようにも集団で動かなければ、何かあった時に対処出来ませんし。

 かと言って、下手にミナミを留守にしたら、それこそどんな事になるか想像も出来ませんしね」


 咥えた煙管をピコピコと動かしながら、レオ丸はニヤニヤする。


「な、暇人のソロプレイヤーにお任せあれ。便利にお使いよし」

「ホンマに任せて大丈夫か? おっさんは単に、ブラブラしたいだけやろ?

 徘徊して行き倒れて、大神殿で蘇えりが関の山ちゃうんか?」


 団員の思わぬ攻撃にへこまされたナカルナードが、不貞腐れた声で正鵠を射る。


「否定はせぇへん。せやけど、行き倒れる前にトンズラこくだけの手段はゲットしてんで」

「それは、トワイライトヒルズで入手なされたんですか?」

「へぇ、耳聡いんやね、ミスハさんは」

「まぁ。……とても悪目立ちなされてましたからね。

 見た目に凶悪な召喚モンスターを連れて、誰一人使おうとしない<紫維の小門>を、唯一人使っておられるんですから」

「やっぱ、目立ってたか」

「ええ、私以外にも気づいていたギルドはありますけどね」


 ミスハが、悪戯っ子を見つけた母親のような微笑みを零すと、皆が同じような顔をした。


「連日コソコソと、トワイライトヒルズに行く、変ったプレイヤーが居る。

 何か目的があるようだが、皆目判らない。しかも、嬉々として戻ってきたその日に、 ミナミの街中で<PK>を食らってしまう。

 これで気になら無い方が、可笑しいでしょう?

 もしかしたら、トワイライトヒルズで何かを発見したのかも?

 そう考えるのが、当然です。

 <PK>を食らう程の秘密を入手したのか? って。

 そんな理由もあって、今日は時間を割いて来たんですが、まさかこんな展開になるとは想像もつきませんでした」


 皆の心情を代表して述べたカズ彦が、改めて問い質す。


「それで、レオ丸さん。先ほど言われた、ゲットした手段ってのを教えてもらえませんか?」

「そいつは、ちょいと難しいなぁ。何せ誰もが、何処ででも手に入れられるモンやしな、こいつは。

 しかもこいつは、見せた処でワシにしか意味が無いモンやで」

「ほう?」

「そこを何とか!」

「さわり、だけでも」

「お願いします」

「ミスハさんにお願いされたら、しゃあないなぁ」

「色ボケか、おっさん!?」

「色ボケちゃうわ! 別嬪さんのお願いは、無条件で聞くのが男やろが?」


 咳払いをして、レオ丸は口調を改める。


「では、ナカルナードにヤッハーブ君、カズ彦君、イントロン君、邪Q君、ミスハさん。

 ワシからも質問させてもらうが、自分らは<奥伝>や<秘伝>を幾つかは会得しとるんやろ?

 ほな、その先に到達した事はあるか? ある人、手を挙げて!」


 ナカルナードは素早く、他の者はゆっくりと挙手した。


「じゃあ、それをどうやって会得したか、その方法を、他の皆に説明出来るか?」


 手が引っ込められ、腕組みしながら黙り込む六人。


「ワシがゲットしたんも、その説明し辛い、それや。<口伝>と言うたらエエんか、<免許皆伝>と言うたらエエんか。

 まぁ、手の内は隠すんが常道やけど、見せた方が説明し易そうやな……」


 レオ丸は立ち上がると、車座に背中を向け歩き出した。

 ゴソゴソと懐から何かを一掴み取り出し、節分の豆撒きのように少し離れた所にばら撒く。

 続けて、右の二の腕に巻きつけた長めの黒い数珠を、袖捲くりして見せつけるように晒し、合掌する。


「奉請精霊入道場、天蓬天蓬急急如律令 勅勅勅! 一軍ベンチメンバーズ、全員出場!!!」


 ばら撒かれた細かい何かが、寒々とした蒼黒い光を仄かに放つ。

 蒼黒い光は直ぐに、それぞれが人に似た形を取り、やがて二十五体の異形へと変化する。

 それは通常より二倍近い体格で、特異な武装をしたスケルトンの一団であった。

 普通、ダンジョン等で遭遇するスケルトンは等身大のサイズで、そのほとんどが古びた武器や軽装の防具しか装備していない。

 真新しい武器を持つタイプもいないでは無いが、極稀である。

 だがレオ丸の呼び出したスケルトン達は、真新しい水色をした金属製の全身鎧を装着していた。

 兜には筆記体で「L」の一字が刻まれており、胸当てには咆哮する獅子の横顔が描かれている。

 麗らかで暖かな、陽光の下。

 半数は長剣と楯を持ち、残る半数は長槍のみを携えた、禍々しい一団が音もなく整列していた。

 その前で、レオ丸が妙なポーズを決める。


「名付けて、<竜牙兵(ドラゴントゥースウォーリアー)>で、おま!」


 【 竜牙兵(ドラゴントゥースウォーリアー) 】

               召喚従者タイプモンスター

               レベル:80

               ランク:ノーマルorパーティー

               武装:竜牙の剣、竜鱗の楯、竜爪の槍


 召喚従者にしてはハイスペック過ぎるモンスターの出現に、ポカンとする面々。

 レオ丸は、得意満面で説明を始めた。


「子供の頃に大好きやった映画の登場モンスターを再現してみたくてな、色々と工夫してみたんや。

 偉大なる御方が携わった映画の中では、悪の魔術師がヒュドラの牙から骸骨戦士を生み出しとったんで、な。

 いやぁ、試行錯誤の連続やったで。

 先ず大変やったんは、生み出す為の素材集めや。

 とあるギルドの遠征軍が募集していた傭兵団に入り込んで、『悪竜の嘶き』のレイドに参加してな、他のお宝には目もくれずにドロップされた<多頭竜(ヒュドラ)>の牙を、集められるだけ集めたんや。

 ほんで、その牙に<従者召喚:スケルトン>を合体させたろうと思うたんやけど、ゲームん時は出来なんだ。

 そら、そやわな。

 そんなプログラムは、存在せぇへんかってんもん。

 そしたら、この<大災害>や。状況が一変してしもうた。現実世界では使えるはずの無い<魔法>が、リアルに使えるようになってしもうた。

 <魔法>ってな、単なる能力だけやないねん。

 言わば、使用者の意思の発現したモンやねん。

 ほんなら、意思を意志に変えて発現させる事も出来るんやないか? と考えてみて頑張ったらな、<魔法>の質が少し変化したような気がしたんや」


 レオ丸は一息入れるも、説明は休まずに続く。


「どう説明したらエエかな。……判りにくかったら御免やけど、野球で説明させてもらうわな。

 ただ単にボールを投げるんと、状況想定と球種選定をしてコースを狙ってボールを投げるんの、違いかな?

 同じ事をひたすらずっとやる時に、次はもっと素早く、次はもっと手際良く、次はもっと美しく、って考えながら一生懸命やってるとな、“あっ! これや!”って感じる瞬間があるんや。

 後は、その感覚を忘れへんように、ひたすら無心に没頭するだけやね。

 ……“その先”を念頭において、な」


 レオ丸は両手を大きく一つ打ち鳴らし、竜牙兵の一団を一瞬で消し去る。


「さて、ミスハさん。御感想を、一言」

「そう……ですね。私は、<免許皆伝>より、<最終奥義>の方が格好良いと、思います」


 レオ丸は実に見事な、渾身のズッコケをした。



 腰砕けの状態から何とか復活し、グダグダになりかけた雰囲気を一掃するように、膝を着いたままでレオ丸は再び大きく咳払いをした。


「さて、御一同。ワシの事情は御覧の通りや。ほな、話を戻すで……」

「すんません。ちょっと失礼します!」


 不意にヤッハーブが宙を睨んで立ち上がった。


「はいな、どないした?」


 念話を始めたヤッハーブの相槌が、段々と深刻な色合いに変る。


「了解や! 直ぐに行くさけ、もうちょい堪えとけや。頼むで!」


 何事かと、<ハウリング>の幹部達が腰を上げる。


「団長、レッド・ホッシーから連絡! ラッキーセブンの表ですわ!」


 ヤッハーブの言葉に、ナカルナードの目が強く光る。


「相手は、どこや?」

「<キングダム>、打順はクリーンアップですわ!」

「よっしゃ、判った!」


 機敏な動作で立ち上がったナカルナードは、レオ丸達に凶暴な笑みを見せる。


「スマンな、おっさん。もうちょいダラダラしたかってんけど、野暮用や。

 何かあったら、また連絡くれや」

「お先に失礼します。今後とも宜しゅうに」


 軽く手を振って別れを告げた団長を追い、幹部達も一礼し駆け出して行く。

 疾風の如き速さで、<ハウリング>のメンバーは全員がその場から姿を消した。


 付き合いの長いレオ丸は、彼らの隠語を脳裏で正確に翻訳する。

 “レッド・ホッシー”は、<ハウリング>のスカウト部長を務める古参。

 “ラッキーセブン”は危機的状況下で、“表”は敵からの攻撃を受けている状態。

 “<キングダム>”は、<ハウリング>とは反りの合わないエリート主義を標榜する大手戦闘系ギルド。

 “打順はクリーンアップ”は、敵対勢力がかなりの強力である事を意味する。

 恐らくは<深緑の戦闘職人(グリューン・マイスター)>の二つ名を持つ、<キングダム>のギルドマスターのドメルが、現場に出張っているのだろう。

 つまり、“有力な新人を見つけて勧誘していたら、<キングダム>の親玉が横槍を入れてきた。一触即発状態。至急援護を願う”、だ。


「大神殿送りが出なきゃ、エエけどなぁ」


 レオ丸は、先ほどばら撒いたヒュドラの牙を拾い集めつつ、嘆息した。

 慌てて自分の仲間達と連絡を取り合うギルマス達と、転寝をしているミチコKを横目で見ながら。


「俺もお先に、失礼します。此方に火の粉が掛からんように対策立てんと」

 

 念話を終えたイントロンが、レオ丸に右手を差し出す。


「次は直で、連絡下さい。またゆっくりと」


 握手を交わしフレンドリストに登録し合うと、イントロンも立ち去った。


「今日はこの辺でお開きやな。ワシと違うて、自分らはギルマスの務めがあるやろ? ワシはもう少しブラブラして行くし」


 同じく念話を終えた残る三人に、レオ丸は解散を告げる。


「ウチは大丈夫です。急に人数が増えた加減で、今日は新しいギルドホールに引っ越しの最中で、他出してませんから」

「それなら、尚更に帰った方がエエんちゃうんか、カズ彦君?」

「……不器用なギルマスは邪魔だから、どうぞ夜までお出掛け下さい、と言われました」

「相変わらず、不器用なんや、自分」

「エエ、……不器用なままです」

「昔のまんまで居てくれて、おおきにな」


 肩を落とし、自嘲の笑みを顔に貼り付けたカズ彦の背中を、レオ丸慰めるように叩いた。


「ウチもOKですよってに、もうちょい居させてもらいますわ」

「私もお付き合いさせて戴きます。それで、次はどちらへ?」

「そやね、<トライスター海神の社>から<昇天閣の塔>の<ビルゲインさん>に詣でて、<ジェイビス神>を祭る<ネオナウの社>と、神社巡りをするつもりや」


 揃って立ち上がり、歩き始めるレオ丸達。

 彼らの後を、頭にマイコニドを乗せたミチコKが、八本の足を蠢かせながら無言で付き従う。


「何で又そないな所に、行きますのん?」

「邪Q君はぁ、<神>をぅ、信じぃ、ますかぁ?」

「……信じるか? 信じひんか? 言うたら、信じます! ですね。

 これでも、京都のミッション系大学を出てますよってに」

「おお、新島襄! 頭エエんやな、自分。ほんなら自分に、質問させてもらうで。

 <大地人>達って、<神様>を信じてるんやろか?」

「え? そりゃ信じてるんと違いますか?」

「そやね、信じてるやろね。何せ、ホンマに居るんやから」

「ああ、そういやそうですね」

「実際に目の前に顕現して、恩恵をもたらしてくれたり、祟りを為すんやからね。

 ところがや、<大地人>にとっては恐れ敬うべき存在の<神様>方も、ワシら<冒険者>からしたら、アイテムをくれる便利な存在やったり、時にはレイド・モンスターになったり。

 まぁ大体は、クエストの彩りか味付け程度でしか、ないやんか?」

「身も蓋もおまへんけど、……確かに、そうでんな」

「ほなやで、依頼を受けてクエストを達成し、<大地人>の苦難を取り去るワシら<冒険者>と、<神様>の違いって、なんやろ?」

 

 今まで考えた事も無い問題を受けて呻吟する、邪Q。カズ彦とミスハも、眉根を寄せて首を捻る。


「違う!って言い切る事は簡単や。実際に、違うんやから。

 ほな、何が違うんかって言えば、ワシも上手い事説明出来ひん。

 そやから、実際に会いに行って、違いを確かめたろって思うて、な♪」

「実地確認ですか? レオ丸さんお得意の?」

「そや、カズ彦君。疑問があるんなら直ぐに解消せな。題して“当って砕こう大疑問! 突撃となりのお神さん”」

「砕いたら駄目でしょう、<神様>を砕いては」

「おお、今度はミスハさんからのツッコミ! 法悦法悦♪

 さて、こっから、話を大きく戻すで。

 今のままやと、ワシらは“英雄”に退治される悪神になってしまうで。

 何とかして現状を変えへん限りな、ホンマに。

 んで、変えるためには纏まった力がいる。

 同じ目的の為に団結する、仲間が仰山必要や。

 ……今ん処は、全く違う理由で人集めに精出すギルドばっかりやが、ね。

 <キングダム>が<ハウリング>にガチンコかまして来たんも、ナカルナードが売られた喧嘩を買いに行ったんも、今のミナミではギルメンを増やして、数で他のギルドよりも上に立ちたいからやん。

 イントロン君も恐らく同じ事しとるさかいに、慌てて直接指揮しに戻りよったんやろうなぁ。

 自分らも、そうやんか?

 カズ彦君の<狼士組>も、心細くなって助けを求めて来た弱小ギルドを吸収したから、引っ越しする事になったんやろ?

 ミスハさんも、<タカラヅカ騎士団>と合体したやん?

 あそこはトップがログインしとらんで、烏合の衆化しとったからなぁ」

「レオ丸法師も、随分と耳聡いじゃないですか?」

「あっちこっちに知己は居る、って言うたやん。耳を塞がん限り、色んな話が自然と聞こえて来るもん」

「ウチは、全然増えませんけどね」

「<グランドルミネ>は他と毛色が違うからなぁ。そら、ポリシーを変えへん限り無理やろ」


 穏やかな笑いが広がる。


「自分らが円陣組んで、<キングダム>みたいな、いけ好かん奴らを抑えてくれるとエエねんけどな。

 但し、連帯したらしたで、危惧する事があんねんけどな……」

「何ですか、それは?」

「なぁ、カズ彦君。もし今日の面子が連携して、一つの勢力を形成したとする。

 ほんなら、リーダー格になるんは、誰やと思う?」

「それは、規模と実績からすれば、ナカルナードでしょうね」

「合議制になったとしても、第一会派から代表を出すとなったら、あの男ド阿呆になるやろな。

 さて、そこで問題や。

 仮にナカルナードが選ばれたとして、果たして上手くいくと思うか?

 反対に、選ばれへんかった場合、ナカルナードが選ばれた誰かと協同歩調を取れると思うか?」

「……済みません。大丈夫とは、断言出来ません」

「やろ? ワシが言うのも無責任な話やけどね」

「レオ丸法師が、何とかしてくれるんでは?」

「そやね、ワシが百万言の煽てと嘘を並べ立てて、ナカルナードをどないかして大人しくさせるしか無さそうやな。

 ……只それには、条件がある。ナカルナードを納得させられる、条件がな」

「条件とは、何でっか?」

「もしかしたら自分、邪Q君が矢面に立つかもしれん、条件やねん」

「へ!? 怖いな、聞くんが怖いですやん!?」

「怖ない、怖ない。上手い事、立ち回ったら全然怖くない話やから、安心してお聞きよし。

 ……ギルメンが一番少人数のギルドのリーダーをな、皆の頭に据えるんや。弱小を、大手が支える体制にするんや。

 昔、安定多数の政権与党の中で、行われていた方法やな。最大派閥の長が舞台表に立たれへんから、提携する少数派閥の長を支持して、首相をやらせて裏から操るって方法や。

 これ やったら、拡大路線に走る大手ギルドかて抑えられる。

 力のある奴がトップに立たずに支え役に廻れば、責任無しに実権が握れるんやっ てな。

 ……少なくともナカルナード程度なら、この論法で押さえ込める」

「うっわ、悪どいなぁ!」

「まぁ何か適当に、名前だけは偉そうな肩書きを与えたったら、十分や。

 ヤッハーブ君達も、これ以上は仕事を増やしたくないやろうし、理解してくれるんと違うかな。

 ……カナミお嬢さんが居てたら、こんな事考えんでもエエんやけどな。

 なぁ、カズ彦君?」

「そうですね……」

「せめて、<ハウリング>やのうて<ポンポンペインズ>で、ナカルナードやのうてタイガー丸が居ったら、ワシももっとマジに取り組むんやけどな」

「カナミって、<放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)>の代表してたって人ですかいな? あの伝説のグループの!!」

「カズ彦さんも、そのメンバーでしたよね?」

「そや、タイガー丸って奴も、そやねん。

 そのタイガー丸が、結婚を機にリア充になりよって、ほとんどログインせんようになってもうてな。

 放り出す形になった<ポンポンペインズ>を引き継いだんが、ナカルナードや。

 そん時に路線変更しやがりよってな、あのボケルナードは!

 最初は単なるプロ野球ファンの集まりやったんを、トラキチ・オンリーの集団に変えやがったんや!

 だからあいつには、ついボロクソに言うてまうねん。

 虎とセだけが、野球と違うぞ! 太平洋連盟こそが、真のプロ野球じゃわい!」

「……では、レオ丸法師も<茶会>の一員だったんですね?」

「残念ながら、ワシは<茶会>のメンバーや無いねん。

 ワシは<茶会>結成以前の、メンバー達と一緒に遊んでただけやねん。

 <茶会>が結成された頃は、現実のお勤めが忙しくてあまりログイン出来ひんかってな、<茶会>に入りそびれた口やねん。

 まぁ、此の話は長くなるし、何れの機会にな。

 さて、本題に話を戻すで。

 元グループサウンズのメンバーやった役者さんが演じる警察官僚が、ドラマの中で言うてたセリフを引用させてもらうとやな、“御輿は軽ければ、軽い方がいい”って事やわな」

「そんなモンですか?」

「そんなモン、やでミスハさん。カズ彦君、邪Q君も、よう考えて欲しい。

 レベルと人数だけが全てや! の今の状況下で、どうすれば生き残れるか?

 潰されて、呑み込まれへんようにするには、どうしたらエエんか?

 それぞれがツテを駆使して、連携先と手を取り合うんや。

 情報収集と分析も、怠ったら命取りに直結するしな。

 目先の事に振り回されたり、集めた情報に生き埋めにならへんようにも、細心の注意を払わなな。

 自分らが、それぞれやるべき事に頑張ってくれるんなら、ワシも出来る精一杯の事をキチンとするさかいに。

 先ずは、<暴れ馬(ナカルナード)>に手綱でも着けるか。

 ……美味しい飼葉と馬場も、用意せんとなぁ?」

新年明けましておめでとうございます。旧年中の終わり間際からお付き合い戴きました皆様、本年も宜しく申上げます。本年の皆様が良い時間を過ごされますように。そのお時間にちょいとお邪魔出来ますれば誠に幸甚にてございます。

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