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第参歩・大災害+42Days 其の弐

 二分割の後半です。

 相変わらず、御先達様方及び同志諸兄のキャラクターの御名前を、拝借させて戴いておりまする。誠に忝く、感謝の言葉しかございません。

 加筆修正致しました(2015.03.31)。

 煙草を根元まで吸い尽くしたレオ丸は、再びフレンドリストを広げ、カズ彦の名前を軽く叩いた。

 コール音が十回を超えてから、相手に繋がる。


「もしもし?」

「八日ぶりやね、カズ彦君。元気にしてたか?」

「まぁ、ボチボチと。そちらは、どうですか? 声が昏いですよ」

「ワシは程ほどやな。そういう自分かて、声が翳りまくっとんで?」

「お互い様ですか、良くないモノを抱え込んでいるのは」

「せやね。人生、山あり谷あり、砂漠と密林もありやわ、さ」

「それで? 如何なされましたか?」

「ちょーっと小耳に挟んだんやけどな」

「貴方の耳は、ダンボ並みですからね。たいていのモノは挟めるでしょ?」

「そないに大きぃないなぁ。アルゼンチンの<耳翼飛頭蛮(チョンチョン)>くらいかな?

 それよりも、ちょいと教えて欲しいんやけどな」

「俺が答えれる範囲でしたら」

「……シロエって、どないな奴なん?」

「アイツが何か?」

「せや。前に、“難しいけど、凄い奴”って言うてたやんか、自分」

「ええ、確かに」

「もうちょい詳しく教えてくれへんか? 行動規範や倫理観とか、主義主張や趣味嗜好なんかも出来れば。それと……オフレコでな?」

「判りました。おい、暫く席を外すぞ。コスモス、後を頼む。〔了解です!〕」


 ゴソゴソという音の後、硬質な上を何かが擦る、ザッザッという音が続く。

 相変わらず草履を履いてんのか、とレオ丸はその音に何故か安堵した。


「私室に移動しました。此処ならば、誰にも聞かれる事はありません」

「そいつぁ、御足労と手間を取らせた。おおきにやで」

「それでは俺の知る限りの、“シロエ”の事をお話ししますよ、“レオ丸”さん」


 カズ彦は、説明を始めた。


「ふぅ~~~ん。教えてもろうた事柄から判断する限りにゃ、至極真っ当な、実に普通の子やねんな、シロエって奴は」

「そうですね。<茶会>に居た頃は生真面目で、気配りは苦手でも目配りは出来て、計算は速いが計算高くない、仲間としては実に頼りがいのある、また助けがいのある、とても気の良い青年でした」

「ん? でした、って何や?」

「カナミの海外渡航により、<茶会>が自然解散となった後は付き合いが減りましてね、……チャットも疎かになりましたので。

 その後の事は、人伝てに聞いた事なんですが。

 なまじ能力の高い、出来過ぎる<付与術師(エンチャンター)>でしたので、あっちのギルド、こっちのパーティーから引っ張り凧状態になりましてね」

「ほぅ、ほんで」

「便利な、使い捨てアイテム状態に、なったとか」

「あ~~~、……それは何とも」

「まぁ、本人の資質と個人の責任、とも言えるんですが」

「チヤホヤされるんは、滅茶苦茶に気持ちがエエからなぁ。責めたるんは、可哀想やな」

「ええ。一番悪いのは、人を道具扱いした奴ら、ですからね」

「会社か何かの組織の歯車にされるんは、それはそれで技術がいるんやが。それとは違う話やさかいなぁ」

「結果として、人が良いけど人嫌いの、偏屈で少し窮屈な人間になってしまったようですね、シロエは」

「御愁傷様。高い勉強料やったね、やなぁ」

「まぁ、それでも。直継って<守護戦士(ガーディアン)>とは繋がり続けているようですし、性根の部分は恐らく変容していないでしょうから」

「そっか、おおきに。……何で、そのシロエって奴の事を、知りたいと思ったかって言うとやな」

「はい」

「東の方で起きとる、革命的な事象に関わっているようやねんな、彼は」

「“クレセント・バーガー”の事ですか?」

「せや。……やっぱ、知ってたか」

「シロエが絡んでいるとは、……正直な処、デマだと思っていましたが」

「絡んでいる処やないで。彼が、どうやら黒幕やわ」

「そう……ですか。シロエが……」

「さて、どうする? インティクスか濡羽に、御注進と行くか?」

「……まだ、其処までの連携はありませんよ、彼女達とは」

「それなら良かった。……自分まで、アホルナードみたいになっとったらどないしよう? と、ビクビクしてたんやわ、正直」

「アホ……いえ、ナカルナードと言えば」

「ふん? 男ド阿呆が、どないしてん?」

「絶交を、なされたとか?」

「ああ、アレなぁ。うん、したよ」

「大変でしたよ、本当に。荒れて荒れて荒れて、もう本当に……」

「そいつぁ、自分らに悪い事をしたかな?」

「まぁ、<壬生狼(うち)>は距離を置いていますから、直接の実害はありませんでしたけど、後始末に出張る羽目になりました」

「え~っと、御免やで?」

「済んだ事ですから、別に良いですけど。……処で」

「何でしょ?」

「レオ丸さんは今、何処に居るのか伺っても?」

「あ、今か。今はねぇ、……自分に嘘つくんも惚けるんも嫌やし、正直に言おか。

 今は、ロマトリスの黄金書府に居る。……まだ暫くは、腰を落ち着けるつもりや」

「金沢……ですか」

「せや、此処に居る<冒険者>は今ン処、ワシ独りみたいでな。正真正銘のボッチ・プレイヤーを満喫しまくっとるわさ」

「くれぐれも、気をつけて下さい」

「はい?」

「今の俺には、それしか言えません」

「エライ奥歯にモノの挟まった言い方やな?」

「色々と覚悟を、決めておかれた方が良いか、と」

「今は判らんでも、直ぐに判るってか。了解! 忠告、忝く」

「本当に、御身御大事に」

「カズ彦君の方もな。ワシの身に何が起ころうとも、それはワシの責任やわさ。

 せやけど、ワシが責任で起こった事が、自分に降りかかるんだけは、なぁ……」

「それは、俺の所為でもありますから、どうぞお気になさらずに」

「ま、出来るだけ迷惑かけへんように留意しながら、何かを遣らかさせてもらうわな」

「出来るだけ、遣らかさないように! って御願いしても無理なんでしょうね?」

「無理ッス!」

「ですよねー」

「ほな、また連絡するわな」

「此方も、気が向いた時に、気が滅入った時に、連絡します」


 レオ丸は念話が終了するまでの間に、更に五本の煙草を灰にしていた。

 そして、気づく。

 ジェレド=ガンがミナミに、<Plant hwyaden>に何がしかの影響・変化を与えたのかどうかを、訊き忘れた事に。



「ビアン議員。発言を認めます」


 議長の其の一言が、レオ丸を現在の時間へと強引に引き戻す。


「此の世界に君臨する者は、誰でしょうか?」


 大仰な身振りで立ち上がったヴァンサンが、誰も見ず、天井を見上げて言った。

 今までの退屈な時間が、急展開する。

 飽きながらも座席を立たずにいた傍聴人達が、一斉に姿勢を正した。

 レオ丸も一応、身を乗り出す。

 タエKは、お義理の付き合いもせずに、座席の背にもたれて船を漕いでいた。


「<冒険者>ですか? <亜人>ですか? それとも、<モンスター>でしょうか?

 何れも、違います。

 我々、大地と共に生きる者、です。

 我々こそが、此の世界に君臨し続ける者です。

 確かに、所謂<大災害>が、此の世界を変えました。

 (いにしえ)に起こったという、<森羅転変(ワール・フラクション)>が三度、我々に襲いかかりました。

 それが、何だと言うんです!

 我々には、幾百年と積み重ねてきた智慧があるではありませんか?

 何故に<冒険者>だとか言う、胡乱な輩に血肉を売り渡した、ただ歴史を無駄に重ねただけのキョウなどに、頭を下げねばならぬのです?

 此の世界を、<亜人>や<モンスター>と共に脅かす、<冒険者>と称する狼藉者達にヤマトの地を売り渡した、売国奴(キョウ)の執政公爵家などに!

 奴らに頭を下げた後、其処に我々の誇りは残っているのでしょうか?

 領主伯爵閣下、如何お考えか? 御返答を願いたい!!」


 人に物を尋ねる姿勢とはかけ離れたヴァンサンの態度に、傍聴席の一部は沸き返り、その他大勢は固唾を呑むように推移を見守っている。

 レオ丸は、タエKの口元から垂れる涎を拭いながら、それらの様子を見ていた。


「それは、彼らとの話し合いの結果次第だろう」

「ふん、それまで回答は待てと? 如何ほど待てと言うのです?」

「それ程、待つ必要はない。恐らくは二、三日の内に判るだろう。

 ……既に、使節を派遣してくれるように、書簡を発しておる故な」

「何ですと?」

「キョウからの使節に直接、尋ねれば良かろうよ、ビアン議員」


 “賢老院議堂”の議会室は、怒号に包まれた。

 六色の衣装に身を包んだ議員達の過半数が、六色の衣装を纏った傍聴人達が、立ち上がり両手を振り回し、口々に罵詈雑言を叫んでいる。

 空気を圧する騒音に流石のタエKも、居眠りをし続ける事は出来なかった。

 バシーン! という音が突如、議会室内に響き渡る。

 レオ丸の視線の先で、ヴァンサンが手にした魔法棒杖(マジックロッド)を円環状のテーブルに打ちつけたのだ。

 静まり返った議会室は、再びヴァンサンの独擅場と化す。


「我々は、此の世界に存在する、唯一の“人間”です。

 我々と同じ身形はしているが、<冒険者>は全く別個の異質な存在。

 奴らは、我々と同じ“人間”ではない!

 人には非ず、人を装った禽獣以下の輩です!

 我々と同じように、生まれて来ない。我々と同じように、死して滅する事もない。

 尋常ではない生命力と、魔力を所持している。

 突然に此の世界に出現し、我が物顔で此の世界を蹂躙している、超自然的存在。

 いや……非現実的で、非自然的な存在、それが<冒険者>だ!!

 相手が“神”と同等な存在であるならば、私は喜んで頭を下げよう。

 だが、悪鬼羅刹と変わらぬ存在の<冒険者>などに、誰が頭など下げてやるものか!

 キョウに頭を下げるという事は、奴ら<冒険者>に頭を下げるという事だ!

 領主伯爵閣下、貴方は我らにそれを許容せよと、申されるのか!?」


 その返答を、レオ丸が聞く事はなかった。

 ヴァンサンが持論を展開している間に、タエKを伴い傍聴席を後にしていたからだ。

 静かに扉を閉め廊下に出るや、下への階段を使い一階へと降り、表へと出る。


「外の空気は、美味しいねぇ」


 大きく伸びをしながら、空を見上げるレオ丸。

 時刻は凡そ、四時頃か。

 午後の陽が曇り空越しに、地上を薄っすらと照らしている。

 首をコキコキとならしながら周囲を見渡すが、レオ丸達に注意を払う者は誰一人居なかった。

 どうやらレオ丸が開発した魔法、<虚仮威し(ショウイング・オフ)>の効果は持続中のようである。

 レオ丸とタエKは、街路を行き交う人々に紛れながら、少しだけ早足で“鼓楼閣門(ポルタ・グランカッセ)”を目指し歩いた。

 街の出口の直前。

 レオ丸は足を止め、街の正面門近くの広報板に掲示された布告ポスターを、まじまじと見詰めた。

 それは、ヤンヌ伯爵が召集を命じる形式を取った、臨時賢老院議会の開会を伝えるものである。

 行方を晦ませた“漂泊を続ける者(イェニシェ)”達についてどう対処するべきか、考えが纏まらないままに訪れた“都心地区(チェントロ)”。

 “鼓楼閣門(ポルタ・グランカッセ)”を潜って直ぐに、その布告文を見かけたレオ丸は、即座に足を賢老院議堂へと赴いたのだった。

 何かヒントがあるかもしれない、と思って。

 そして序でに、改めてヒントを収奪しようと考え、ヴァンサンの執務室へとアマミYを裏から侵入させたのだった。


「何か掴んで来てくれると、エエけどな。

 まぁ、……此処の貴族が何を考えて、……ワシに悪戯をしようと考えたのかが判っただけでも、オッケーとしとこか……」


 レオ丸主従は、“内灘地区(ラグーナ)”で食材と香辛料となる薬種を幾つか買い求めてから、宿地へと帰着する。

 “漂泊を続ける者(イェニシェ)”は、やはり帰還していなかった。

 三つあった幕舎の内、一つだけを残し、他の二つを解体して大型の木箱へと収め、家財道具や日用品や交易品を一部を残して、やはり幾つかの木箱へと丁寧に収納する。

 タエKの指揮指導の下、仏頂面のアマミYとレオ丸が、それらを行った。

 現在の宿地には、一回り以上縮小させた幕舎が一張りと、僅かな食器類、包丁の代用品にしているナイフ、着替えの服が少し、寝る時に使う薄手の毛布、其れだけが残されている。

 後は全て、一箇所に積み上げられた木箱の山の中であった。


「ナオMさん、ただいま!」


 レオ丸は、宿地である広場の外縁を暗くしている、森へと声をかける。


「お帰りなさいませ、御主人様」


 弓に番えた矢を外しながら、<蛇目鬼女(メデューサ)>のナオMが樹々の合間から顔を出し、腰から下の蛇身をくねらせて現れた。


「お留守の間に訪れた者は、いませんでした。

 ……あまりにも退屈でしたので、無聊を慰めるために、矢を数本使用致しました」


 ナオMの尻尾の先は、一頭の雌鹿の首に巻きついている。

 急所を外して射られているため、雌鹿の四肢が微かに足掻いていた。


「タエKさん」

「合点承知の介!!」


 <家事幽霊(シルキー)>は風切り音を残して、小さくなった幕舎へと消える。

 そして一分と経たずに、いつもの割烹着姿で飛び出して来た。


「ナオMさん。獲物を其処の吊り下げ台に、掛けて下さいな♪」


 両手に持った大振りのナイフを、風車のように大きく回転させながら、瓶底眼鏡に空の薄明かりを反射させる。

 レオ丸は、契約従者達の共同作業を眺めつつ、<彩雲の煙管>を咥えて五色の煙を吐き出した。


「一人ぼっちでのうて、ホンマに良かった」



 夜になり、塩胡椒で味付けられた雌鹿の焙り肉で夕食を済ませたレオ丸は、幕舎の外の焚き火の晩をしながら、煙草で食後の一服をつけていた。

 食事の後片付けを終えたタエKは、調理されなかった鹿肉を抱えて、川端へと赴いている。干し肉を作るための下処理をしに。

 弓矢を手にしたナオMは、契約主人の食事に相伴した後、森へと消えた。いつまた襲い来るかもしれぬ、外敵へ備えるために。


「主殿」

「お帰りなさい、アマミYさん」


 黒い旋風が、闇の夜空から焚き火の向こう側に、静かに降り立った。

 瞬時に人型へと変幻したアマミYは、口元に優しげな笑みを湛えながら、レオ丸の隣へと移動し、腰を下ろす。


「御無事で、何より」

「御心配なされずとも、わっちは大丈夫でありんすよ?」

「うん、知ってる。せやけど、ホンマ無事で何よりや」

「何だか、くすぐったいでありんす。……それで、主殿」

「ん?」

「お土産でありんす」


 何処から取り出したのか、アマミYは黒い表紙の古びた薄い綴じ本を一冊、レオ丸の手へと渡した。


「こいつは?」

「いけ好かぬ大地人の魔術師の部屋に、落ちていたので拾って来たんでありんす」

「拾得物ってか? そいつは、おおきに」


 レオ丸は、帰着後に着替えていた<中将蓮糸織翡色地衣>の襟刳りを、大きく寛げ首筋を外気に晒す。


「頂戴するで、ありんす」

「腹八分にしといて、な」

「……御言葉に副えるように、努力するでありんす」


 大体、三十分後。

 <吸血鬼妃(エルジェベト)>の手で幕舎に運び込まれたレオ丸は、折り畳まれた毛布の上に仰臥していた。

 ステータス画面で確認すると、HPとMPはきっかり二割だけ残されている。


「約束を守ってくれて、おおきに」


 <蛍火灯(バグズライト)>が吊るされた下で、自然と漏れる苦笑い。

 きっちりと腹八分目の晩餐を食したアマミYは、既に無数の小さな黒い影に変じて森の中へと分散し、探索と哨戒警備に当たっている。


「さてさて、何やろねェ、此の本は?」


 表紙にタイトルは記されておらず、中身は読めない文字がびっしりと記されていた。

 最初は、神代の古語かと思い、ぼーっとページを捲るレオ丸。

 暫くして、レオ丸の脳裏に何かが閃いた。

 身を起こすや、大儀そうな動作で幕舎の隅に置かれた、小さめの木箱に近寄り、中身を漁り出す。

 外に積み上げるまでもないような、“漂泊を続ける者(イェニシェ)”所有の小物だけを仕舞った、其の木箱。

 レオ丸は、玩具箱を掻き回す子供のような行為をしてから、漸く目当ての物を探し当て取り出す。

 それは、大き目の手鏡であった。

 黒い冊子を開いたレオ丸は、見つけ出した物に中身を移してみる。


「やっぱ、鏡文字やったか」


 鏡に映したように左右を反転させ書き、鏡にでも映さなければ判読出来ない、特殊な文字。それが、鏡文字である。

 ヴィンチ村のレオナルドが残した全ての文書や、ルイス・キャロルが(したた)めた書簡で有名な、ある種の暗号でもある。


「作者の癖か、それとも意図的なものなんか……」


 偶々開いたページ。鏡に映った文書を読み取った、其の瞬間。

 レオ丸の顔が、険しく強張った。


「SHIRAMINE、……シラミネ、やとッ!!」


 そのページには、<ヘイアンの呪禁都>を作り上げ、<堕天の魔導帝>と蔑称されている、(いにしえ)の斎宮家当主であるシラミネの名前が、幾度も踊っていた。


「お見事、アマミYさん。大金星やで、殊勲賞もんやわ!」


 右手に黒い冊子を、左手に手鏡を持ったまま、レオ丸は幕舎の床にバッタリと仰臥し直す。


「やっぱ、独りモンではアカンな。

 ……契約従者(ファミリア)の力を借りても、全然足らん。

 猫の手どころか、大規模編成(レギオン)の手を借りんと無理やわ。

 せめて、手練(てだれ)のお友達の力が借りられたら……。

 カズ彦君、エンちゃん、ユーリアス君、“ジェネラル”ルーグ閣下、ユウタ君、樹里さん、赤羽学士、アグニ君、朝霧の御前さん。……ミスハさんも、やな」


 不意に、寝転がったレオ丸の顔に、影が被さった。


「お呼びですか、法師?」


 軽く整えられた赤毛が、<淨玻璃眼鏡(モーリオン・ゴーグル)>に映る。

 艶めかしくも美しい風貌が、其処にあった。


「……何で、居るん?」

「“御前を離れず、御言葉に背かず、忠誠を誓うと誓約致します”。

 そう、申したではありませんか、法師」

「え? せやった……なぁ……」

「それで、何をすれば宜しいのでしょうか?」

「え~~~っと、……ほな、頼まれてくれるかな?」

「如何ような事でも。……御心のままに」


ミスハは、獰猛な人食い虎に良く似た雰囲気で、柔らかく微笑んだ。

 いちぼ好きです様。改めて、私の考える回答の一つを記してみました。

 あくまでも、幾つかある回答の一つにて候。

 思索の足しになりますれば、誠に幸甚にて♪

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