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少女学区  作者: uka
18/26

幽霊騒動

※少しだけ季節が戻って夏休み頃のお話となります。

 明の星特別学区。通称、少女学区は世にも珍しい少女の街だ。

 三校もの全寮制女子校が集まったために街の住人の大半が少女という奇妙な街が誕生した。

 そんな奇妙な街には、同じように少し変わったおかしな人達が集まってくる。

 そうして、やはり同じように、奇妙な怪現象も時折街中で起こったりする。大抵は街の住人のなんらかの行動が原因であって、超常現象なんてものは起きていないことが殆どなのだが。

 特に長期休暇、とりわけ夏期休暇の時分にはその手の噂は引っ切り無しに流れ続ける。良家のお嬢様であろうとなんだろうと女という生き物は噂話が大好物だからだ。

 そんな経緯があって、我が明津女子寮にもちょっとした夏の怪異の噂が立った訳なのだけれど……。


 夏期休暇も中盤に差し掛かろうという八月のその日。

 休みの日だというのに食堂には朝から人が集まっている。基本的に朝は皆バラバラになることのほうが多いのに珍しいこともあるものだ。毎夜お疲れ気味の私は欠伸をかみ殺しながら色とりどりの少女の群れに顔を出す。

「おはようみんな」

「おはようございます木津先輩」

「おはよ木津ちゃん」

「おはようございます先輩」

 その場にいた少女たちから次々と挨拶が返ってくる、このあたりは流石に躾が行き届いているというべきか。

「それにしても、どうしたの朝から皆こんなに集まって」

 疑問を投げかけながら食器棚から時分のティーカップを取り出し、冷蔵庫から「あや」と下手な字で書かれたコーヒー牛乳のパックを拝借して注ぐ。

「それがね木津ちゃん、幽霊が出るのよここのところ」

「綾の飲み物勝手に消費しないでくださいよ、あの子後で五月蝿いんですから」

 瀬名ちゃんの注意はあえてスルーして真由理ちゃんの話に私は食いついた。新聞部としてはこういう噂話には常に敏感でなければならないのだ。

「幽霊?」

「そうなの毎晩毎晩寮の二階に出るって」

「木津先輩後でちゃんと買ってきてくださいよ」

 都合の悪い話には耳を傾けずさらに話題を追う。

「どんな幽霊なの?」

「大体夜中の二時くらい、ちょうど丑三つ時にね、二階の廊下の奥から、押し殺したような、すすり泣く声が聞こえてくるの」

 夜中の二時に、押し殺したような声……?

「それ、あたしも聞いたわ」

「わたしも聞いた、しかもそれだけじゃなくてギシギシってラップ音もしてた」

「あと微かだけど水音も聞こえた気がする」

 真由理ちゃんや他の寮生達がそれぞれの幽霊の話を持ち寄る内に、私は体中から冷や汗をだらだらと流し続ける。証言の一つ一つに嫌と言うくらい覚えがある。ていうか皆なんでそんな時間に起きてるの。お嬢様方は寝ているべき時間である……人のことを言えた義理ではないか。

 とにかく、気づかれる前に幽霊のせいにして置いて事態の収拾をはからねばなるまいと私は口を開く。

「そんなに証言があるなら、ためしに撮ってみようか。何か写るかも」

「本気?」

「本気、本気。本気と書いてマジよ」

「木津ちゃん流石にゆうきあるわね」

「最近鳴りを潜めていた写真狂いの面目躍如かしら」

「でも本当に写っちゃったりしたらどうするの?」

 まぁ、写るわけがないんだけど、とりあえず話を合わせておく。

「そのときは知り合いにこの手のオカルトに詳しい子がいるから呼んでくるわ」

「珍しく木津ちゃんが頼りになる」

「きっと明日は雨だね」

「明日出かけるのに雨は勘弁してほしいわ」

「あんた達……」

 相変わらず酷い言われ様だが今回ばかりは甘んじて受けよう。下手に話を掘り返されるのは不味い。まったく持ってどうしてこんなことになってしまったのか。

「とりあえず決行は今夜ね。見学に来たい人とかは……?」

 声をかけて見るが誰一人として手を上げない。薄情すぎる彼女らに涙すら出てきそうだが、まぁそのほうが都合がいいので文句は言わない。が、とりあえず先ほどの恨みを晴らすためにからかっておく。

「怖がりすぎでしょあんた達」

「だって、ねぇ?」

「実際そういうことあるし」

「まぁ、そうねぇ、私も何枚か撮ったことあるしね」

 実際、この少女学区では不可解な写真が撮れることは割りとよくある。特に我が学び舎である天津星学園はその校舎の古さも相まってかその手の写真が撮れる率が多く、隠し撮りの際霊の写りこみを避けるための校舎見取り図が代々受け継がれていたりする。

 まぁ今回は完全に私が原因の怪異でもなんでもないので臆することなど何一つないのだけれど。

「聞いた話だと、明津女子寮には昔愛し合う女の子がいたんだけど、大人達に引き離されそうになって自殺したカップルがいるんだとか」

「あ、それ聞いたことある」

「じゃあ、今回のはその霊ってこと?」

 築三十年にも満たないはずのこの寮にそんな歴史があったとは初耳である。本当に私達少女という生物は噂、というものが好きなのだと改めて自覚する。

「ま、なんにしろ直ぐに解決するわ」

「だといいんだけど」

「あ、今日どうせなら誰かの部屋に集まってお泊り会とかどうかな、怖いし」

 霊の話から多少話題がそれて私は安堵のため息を付きながら会話の輪から外れる。

 しかしまぁ面倒なことになったものだ、誰にもばれていないと思ったんだけれど。

 食堂の端っこの席に腰掛けて、温くなったコーヒー牛乳に口を付ける。甘ったるい味がこういうときにはありがたい。

「大変そうですね木津先輩」

「ああ、大上ちゃんいたのね、おはよう」

 いつの間にやら新聞を広げていた、大上ちゃんはコーヒー片手に新聞に目を落としながらも器用に会話を続ける。

「木津先輩は今回の騒動、どう思います?」

 再び、幽霊に関しての話題を振られ、内心びくびく物だが、顔には出さないように私は答えを返す。

「ま、十中八九気のせいだと思うけどね」

「根拠は?」

「特にないけど、この建物なんだかんだでそんなに古くないしね」

「なるほど、ま、何にしろ、夜は静かなのが一番だと思うんですよ、先輩」

 なぜだか不機嫌そうに、ドスの聞いた声で大上ちゃんはそんなことを言った。昔騒音にでも悩まされたのだろうか。ご愁傷様である。

「そうね、そのためにも、今晩はがんばってくるわ」

「いい結果を期待してますよ」

「そうね」

 残っていたコーヒー牛乳を飲み干して席を立つ。食堂に九時を告げる時計の音が鳴る。私は自室に戻って出かける準備を始めるのだった。


 窓から吹き込んでくる風が肌をなでるのがくすぐったくて気持ちいい。汗の浮かぶ肌が冷やされていくのを感じる。未だに立ち上がれない私を尻目に針谷さん、いや、由布子は涼しい顔で制服の乱れを正して部室の窓を全開にしていた。

 蝉の声が五月蝿い、盛ってんじゃないよと文句の一つでも言いたいところだが今しがたまで行為を行っていた私達が何かを言える立場でもなく。

 ようやく体に力が戻ってくるころには由布子は私の肢体を見つめながらニコニコと笑っている。眼鏡をかけていない彼女のその笑顔は実に妖艶で、その視線だけで背筋にゾクリとしたえもいわれぬ感覚が走る。

 いつまでも寝ていると誰が来るかわかった物ではない、なんとかやる気を出して服を着て由布子の対面の席へと腰掛ける。

「澄香体中すごい汗。色っぽいです」

「この熱いのに由布子が激しくするから……」

「不満?」

 フルフルと首を振って否定する。不満どころか大満足、なんて恥ずかしくて声に出してはいえないけれど。

「それにしても、由布子が新人賞まで取ったのになんで文芸部の部室はこんなにおんぼろのままなの?」

 室内を見回せば、歴史あるその部室には冷房器具はおろか暖房器具すら見当たらない。旧部室棟の一部屋たるここは夏は熱く冬は寒い。故に人が寄り付かなくて二人でこうして秘め事を繰り替えすにはうってつけの場所ではあるのだけれど。

「せっかくの四季をキチンと肌で感じないと。アーティストとしてはこういう環境の方が望ましいと思わないかしら?」

「なくはないけど、作品に携わるとき意外は過ごし易いのが一番だと思うわ」

「贅沢ね澄香は」

「いやそんなことはないと思うけど……」

 まぁ確かに由布子の言うことには一理ある。季節や、周りの環境、雰囲気といった曖昧なものが私達に与える影響は思っているよりも多い。いつも同じ環境にあるよりは毎日、些細な違いに気づいていくことは私達にとっては非常に重要なことだ。新たな発想やネタというものはどこに転がっているかわからないものだ。

 ネタといえば、そういえばと今朝のことを思い出す。恥ずかしい話ではあるけれど彼女の話の種になるかもしれないと私は今朝の出来事を彼女に語って聞かせた。


「へぇ、ちょっと面白いかも。ためしに書いて見てもいい?」

「いいけど、こんなの話になるの? まぁお役に立てたならいいけど」

「写真と違って文章は自分で自由に膨らませることができるから。こういう小さな起点で十分なの」

「なるほどね……」

 嬉々としてメモ帳にペンを走らせる由布子の横顔は実に楽しそうで、話したかいがあったといういものだ。内容的には非常にあれではずかしいんだけれども。

「それにしても澄香、こうやって毎日一緒にしてるのに、もしかして満足できてない?」

「いやそんなことはないけど」

「じゃあ何で毎晩私の写真を見て、自分を慰めてるの?」

「ほら、私、写真は別腹というか……」

 写真狂いの面目躍如、とでも言えばいいのか。毎日のように増える由布子の写真を整理して見ていると、体がどうしても熱くなってきて、気づいたら……人として不味いという感覚はあるのだが、どうしてもやめられないのだ。

「妬けるなぁ」

「え?」

「写真の私に嫉妬しそう」

「全部由布子なのに妬けるっていわれても……」

 こうして目の前にいる由布子の方が圧倒的に魅力的だが、写真にはまた違ったよさがあるのは確かだ。しかしそれに妬けるといわれても、正直私としてはどうしようもない。

「いいことを考えたわ」

「いいこと?」

 こういうとき大体私にとってはいいことではないことが大半で、由布子にとっては愉快なことだったりする。あまり期待もせずに私は耳を傾ける。

「写真もデータも全部処分しちゃいましょう」

「それはちょっと……」

「写真がなければ毎夜一人で励むこともなくなるし、幽霊騒動も収まるでしょう? 完璧な提案だと思わない?」

「いやでも、私としては傑作というか家宝にしてもいいkらいの写真たちなんだけど」

「本物があなたのものなのに、不満?」

「作品とはほら、また別だから」

 なんとしても処分だけは免れなければならない。必死に弁明を考えるものの、由布子は聞く耳持たずで完全に楽しんでいる模様だ。

「私、嫌よ。写真狂いの恋人はパートナーを満足させる事もできない床下手で、写真狂いは毎晩写真で自分を慰めてる。なんて噂が流れたら、自殺ものだわ」

「いや、そんな噂……」

 流れないから、と続けようとして考えを改める。

 ニヤニヤと笑う由布子は実に楽しそうで、今の彼女ならそれくらいの噂、下手したら自分から流しかねない。もしかしたら小説の後書きに書いちゃって全国レベルで広がってしまうかもしれない。

「わかったわよ、処分する……」

 ペンは剣より強し。新聞部に所属する以上身に染みてわかっていることだ。そしてペンの強さはそれを握るものの名前に比例するのだ。

「物分りのいい子は好きだよ」

「それはどうも、私も由布子のこと好きだけどたまにこのままでいいのか酷く悩むわ……」

「そんなに深刻にならなくても、まぁ全部処分したら、ご褒美上げるから」

「ご褒美?」

「なんでも一つ言う事聞いてあげる」

「なんでも?」

「そう、なんでも」

 言われて胸が高鳴る。

 なんでも一つ。

 体中の熱がお腹に集まる。

 頼みたい事が、願いたい事が多すぎて決められそうにもない。

 写真のことなど一瞬でどうでもよくなるほど、私は結局彼女にはまりきっているのだった。

「澄香はわかりやすくてかわいいわ。これで料理ができたら完璧なのに」

「料理なんて、すぐできるようになるから、あんなものレシピ通りに作るだけでしょ」

「そうね、うん、そうなんだけど」

 深くため息を吐く彼女に、私はそれ以上反論する術をもたないのであった。


 翌日、私は昨日と同じように文芸部の部室を訪ねていた。違いがあるとすれば数枚のメモリを持ってきたくらいだろうか。

 そのメモリとカメラを机の上に広げ処分が始まる。

 データである以上、いくらでも複製できるし、隠し場所だってネット上や部屋のなかにだっていくらでもあるけれど、私はそれをしなかった、大切なデータたちだが、それ以上に私にとっては彼女の信頼の方が大事なのだ。

「それじゃ、きっちり供養しましょうか」

「うん」

 カメラの画面に映るのは基本的に私たちの行為の場面であり、自然と肌色の比率が高くなる。意識しなくと互いの顔は勝手に上気していく。

「こんなの撮ってたんです?」

「ええ、まぁ……」

 なぜ二人でみるとこんなにも恥ずかしいのだろうか。一人の時はゆっくりと眺めていられるのに二人だとつい、視線をそらしてしまう。

 そんな私とは正反対に由布子は興味心身で次々とデータを消しながらもじっくりと一枚一枚眺めている。

「うわ、これとかこんなに接写しちゃって」

「恥ずかしいからその、あんまり見ないでほしいかなと……」

「自信のある写真なんでしょう?」

「そうなんだけど……」

「これなんて、もしかしたらつかまるんじゃないかしら」

 はしゃぐ由布子に深く溜息を吐きながらも作業は進んでいき、二時間ほどで全てのデータが消去された。

 その頃にはもう当然二人ともすっかり出来上がっているわけで。

 由布子がメガネを外すのが、私達の間の一種の合図のようなものだ。

 レンズの厚い野暮ったいメガネが机の上に投げ出される。

「さて、全部終わったわけだけど、ご褒美何が欲しい?」

「それは、えっと……」

 本当は昨日の内に言うべき事は決まっていたのだけれど、恥ずかしくてなかなか口に出せない。

「何もない? それならそれでいいけど」

「いや、そのちょ、ちょっとだけ待って」

 深呼吸を一つ。グッとお腹に力を入れて勇気を振り絞る。

「し、縛ってして欲しいなと、思うのですが、どうでしょうか……」

 最後の方は自分でも聞き取れないくらいに掠れて、余りの恥ずかしさに涙まで出てくる。

「Mっ気があるとは思ってたけど、写真みながしてる時もそういうの想像してたの?」

 言いながら由布子はセーラー服からリボンを抜き取る。

「お恥ずかしながら……」

「他にはどんな想像してた?」

「縛られてそのまま乱暴にされたり、放置されたりとか」

 恥ずかしすぎて顔が真っ赤になっているのが分かる。顔を上げていられなくてうつむいてしまう。視界に由布子の爪先が映る。

「全部してあげるね。ご褒美だから」

 由布子の手で顔を無理やり上げさせられる。次の瞬間には目の前に由布子の顔があって唇が触れて舌が唇を割って入ってくる。すっかり準備のできている体からはすぐに力が抜けて腰が抜けてその場に倒れこみそうになる。

 それを由布子が支えてくれる。

「しっかりしてね、まだまだこれからだから」

 そのまま腕を後ろに回されて、セーラー服のリボンで腕を縛られる。痛いくらいにきつく。自分ではどうがんばっても解けそうになくて、お腹の奥から全身へゾクゾクとした快感が走る。一人で想像しながらしていたときは違う。抑えがたいその感覚に体が言う事をきかなくなっていく。

「もっと本格的にしてあげたいけど、縄がないしそれはまた今度ね」

 再び唇を塞がれる。背中を片手で支えられながら開いた片手が私のセーラー服下に潜り込む。どうしようもなく狂おしい感覚に抗うことも出来ずに、そのまま意識が飛ぶまで私は由布子にいじられ続けた。


 目が覚めるとすっかり日が暮れていて、部室の中にはいまだに行為の匂いが色濃く残っていた。

 最中の記憶があやふやになるくらい何度達したのかも分からないけれど、とりあえず終わったあとは酷い有様だ、体中痛いし、だるい。次からはもっとソフトにしてもらわないと体が持たなさそうだ。

 体を起こすと拘束はすでに解かれていて、服の乱れもなく下着すらかえられていた。ありがたいことにはありがたいのだけれどやはり恥ずかしい。

「さすがに少しやりすぎちゃった?」

 私の隣にひざを抱えて座り込んでいた由布子が尋ねてくる。

「そうね、次からはもう少しやさしく」

「それで満足出来る?」

 問われて、一拍の間をおいてから答える。

「自信ないかも」

 苦笑して返すと、由布子も笑って返してくれた。

「でも、ご褒美これでよかったの? プレイ内容くらいいくらでもきいてあげたのに」

「いいの。こいうのでもないと恥ずかしくて頼めないでしょ」

 本当は、ずっと一緒にいて欲しいだとか、転寮して同棲したいだとか、そんな願いも考えていたけど、それはそれで臭くて恥ずかしいし、何より、見返りとして求めるのではなくて、私自身の言葉で伝えて、彼女自身の考えだけで答えが返して欲しかったから。今回はお預けだ。

「澄香がそれでいいなら、いいけど」

「うん、いいの、これで」

 写真狂いはロマンチストだから雰囲気やそういうものも大事にしたいしね。

「そういえば、結局幽霊騒動の方は片付きそうなの?」

「すっかり忘れてた。写真は昨日一応撮ったんだけど。まだ見てなかったわ」

 昨日の夜はご褒美の内容で悶々としていて撮るだけ撮ってカメラを放り投げていたのだ。

 どうせ何も写ってないし。

「せっかくだし見てみたい」

「別に何の変哲もない廊下だし、面白みないと思うけど」

 いいながらカメラを手にとってデータを呼び出す。

 二人してその小さな画面を覗き込む。

 そうして、私の部屋の前の廊下で撮られた写真を見て、私の口から勝手に声が漏れ出していた。

「今日、由布子の部屋に泊まっていいかしら」

「ええ、その方がいいと思うわ」

 とりあえず今日だけはその写真の事を忘れるべきだと私たちは無言の内に決定し、これ以上暗くなる前にと足早に部室を出る。

 今日の夜は色んな意味で眠れるのだろかと、私は深い深い溜息を吐いた。

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