接着
黄金の糸は、家のそばのあらゆる地面と天とを繋げている。
更に言えば、糸は家に食い込んでいる。
しかし……近くで見てみても傷などは全く付いていない。
「これは、一体どうやって食い込んでいるんだ?」
「……へー。何で食い込んでると思ったの?」
「ん?いや、確かになんでだろう。何となくかな。」
「勘が良いんだねー。そう、それは“突き刺さった”んじゃなくて“食い込んだ”の。」
[説明を受けるのは構わんが、いいのか相手の事を気にしないで。]
あ、忘れてた。
「更月涼治、気にせず話を受けていてくれ。」
「え?いいのか?」
「俺達は君と毬に対してまだ敵意を持っていない。俺達の目的はあくまでも金石だ。君達がヨーイドンしなければ戦闘は行わない。」
そりゃ助かる。
「じゃあ続けて毬。」
「はいはーい。“静止線”はね、相手の動きを封じる物だって事は見れば分かるよね。」
「ああ。」
「あれぱ空から相手の足元に向かって張られるんだけどね、その糸に触れても勿論皮膚の下に食い込むし、自力で動いて皮膚に触れようとするの。」
成る程。
だから家に食い込んだ訳か。
「食い込むと当然傷が付くよね。で、何で家に傷が無いかって話に行くんだけど、あの糸は“回復”を傷口に施すの。」
「ほー成る程なー。だから傷が無いんだな。」
「そ。そして動くと当然糸が皮膚から飛び出す。つまり“静止線”は、糸に依る直接的な結界と、傷を負うという嫌悪感の結界で動きを封じる物なのー。あー疲れたー。」
「説明ありがとう。」
中々面倒な術式兵装だ。
[アルマロスはそういう天使だからな。]
お、流石悪魔知ってるのか。
[智天使『アルマロス』。何かを封じる事が大好物の堕天使。全く以て面倒臭い奴だ。]
「説明していただき光栄だ毬。」
ここにきて初めて喋る奴が一人。
向かって右にいるのがスマタカシ。
そして正面にいるのがネフィリム。
ということはセンマイカとか言う奴だな。
「よく覚えていたな。」
「にっひひー。記憶力はそれなりにある方なのー私。」
「それは結構。それで、結局どうするんだ?俺達と戦うか、それとも帰るか。」
「当然戦うー。よねっ涼治君。」
「ま、ここまで来たら引き返す事は出来んな。」
言って、右手に持つ“影の王冠”を握り直……あれ?
なんだ……これ。
右手が開かない。
「そうか。それは俺にとっても面白い事だ。」
「お前……だか他の二人か知らんが、何が敵意を持ってないから戦わないだ。もう仕掛けてんじゃねえか。」
「敵対するやもしれん相手に予防線を張るのは当然だ。」
[確かに。これは貴様のミスだ。やはりまだまだ甘い。]
……分かってるよ。
「……では始めてくれセンマイカ、孝。」
「了解。」
「よっしゃ行くぜェ!」
「わーい。」
「ちっ。」
全く以て不本意な開戦の仕方だぜ。
天使:智天使『アルマロス』
ライノセンス勢:ネフィリム、センマイカ、須磨孝
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