金の亡者~♪
金石健太28歳。
職業、表向き古物商。
表向きってことは実際は違う訳だ。
今現在支払いなどの主流は所謂電子マネー。
それにより現金は忘れ去られようとしている。
通帳に少しばかりの現金が残っていても気にしない人が多くなったんだ。
他にも、身寄りもなく死んでいった人の放置された通帳も結構あるとか。
彼はそういう通帳から、まあ勝手に現金を下ろしている訳なのさ。
方法は知らないけど。
法律スレスレとさっき言った気がするが……スレスレではなく完璧に違法だな。
とにもかくにも彼はそれでかなり稼いでいるらしい。
だから彼に資金提供を求める訳なんだ。
「法律に触れている事を暴露されたくなきゃ協力しろ。ってこれじゃ俺達も下手すりゃ逮捕されないか?」
「んー、ばれなきゃいいと思うよ~。」
そういう問題かねこれは。
[皆で渡ればという奴だろう。]
でもグレーじゃなくて完璧黒なんだぜ?
[使われていない死んだ遺産を生かすため、と考えれば良いのではないか?]
……そう考えよ。
「そういやあんたは金石健太の事知ってんのか?」
「私の事は毬って呼んでー。毬ちゃんでもいいよ。」
「……。」
「もー。金石はね、私がW.W.Sに普通に通ってた時にジェイクと一緒に知り合ったの~。」
ジェイカーさんをジェイクという愛称で呼ぶ……。
かなり親しい仲という訳だな。
[ジェイカー・リットネスと言えば、ネクローシスというあだ名があったな。あれはどこに行ったのだ。]
W.W.Sの学生達はいまだにそうやって読んでるよ。
俺達がわざわざネクローシスなんて呼ぶ必要はないだろ。
[確かにそうだな。]
「金の亡者なのーあいつ。」
「だろうな。」
死んだ人間の通帳に手を出したりするんだ。
そういう意味で金石は亡者かもな。
「あーでもでも、私あいつの居場所なんて知らないよ~?」
「いつ聞いたよ俺が。それじゃ俺があんたを頼ってきたみたいな感じだぞ。」
「頼らないの~?お姉さんだよー。」
「なんでちょっと棒読みになった……。知らない人には助けなんて求めない。」
まして殺人の容疑がかかっている奴なんかにはな。
「大体、俺は金石健太の居場所は知っている。余計な世話焼いてないでさっさとどっか行けよ。」
「なーんだ知ってるのかー。」
「当たり前だ。ジェイカーさんに金石に会う様頼まれたのに、居場所を知らないなんてそんな間抜けな話ないだろ?」
「そかそかー。金石ねー久しぶりだなー。」
……こいつは何がなんでも付いて来る気か。
[まあ良いではないか。今の所敵意も殺意もない。貴様も、一人で会いに行くのは少しばかり心配だったのだろう?]
まあそうだけど……。
と言っている間に金石健太の家に着いた。
今となっては珍しい築400年だかの木造住宅。
こんな家がHAJACKにあるなんて知らなかった。
[第一地区は他の地区とは大通りを介して大分離れているからな。]
……ま、とにかく入ってみようぜ。
ジェイカーさんが話はつけてあるとか言ってたし。
「おっしゃーれっつご~♪」
「……。」
額に手を当てる。
誰が頭痛薬を……頭痛が痛い。
[馬鹿な事言ってないでさっさと行け。]
はいはい。
俺は備え付けのチャイムを押した。




