真実は霧
「んんんん!」
離そうとしても離れない。
というか、今俺は身動きがまるで取れないんだ。
大城毬が離れるまで待つしかない。
[……貴様、満更でもないのでは?]
じょ、冗談言うな!
こいつは……ベルサーチを!
「んー、ぷっはー。」
「ぶはっ!げほっごほっ。」
やっと解放された……。
[……。]
なんだよ見るなそんな目で。
[私に目などない。]
はあ?
「ちょっとは大人しくなってくれたかな~?」
「ま、ままま全く何考えてんだお前!」
「だってー煩かったんだもーん。」
「だもーんって……。」
こいつ一体幾つだよ。
[さあ……。見た目的には背の高い少女といったところか。]
うーん……18とかそこらかな?
それならまあまだあの口調も許せるか。
「私20歳だよー。」
「うわっ!心を読むな近づくな変態!」
「うわ~変態って言われちゃった。」
いきなりキ、キスしたり心を読んだり近づいてきたりする奴は変態だろ!
[いや、前の二つは分からなくもないが、近づくくらい別に良かろう。]
良くない!
「っと悪い癖。話が逸れすぎなんだよないつも。」
ちょっと落ち着こう。
じゃなきゃまたやられそうだし。
「お前は、孤立狼、脳電使いの大城毬で間違いないか?」
「そーですよ~。私は大城毬。大城妙ちゃんは私の妹ちゃーん。」
「は?……そんなことはどうでもいい。取りあえず弁解してみろ。」
「ん?何を~?」
「何をって……しらばっくれるな!ベルサーチ・マリオネットの件だ。」
[動けないというのに随分上からだな。]
これしか方法を知らんのだ!
「ベルサんの?」
「べ、ベルサん?」
なんだその黒い奴を倒せそうな名前は……。
「ああ~そういえばベルサん殺されちゃったって言ってたなー。」
「……言っていた?」
「うん。ライノセンスがー。」
「ラ・イノセンス?」
なんか美味そうな名前だ……。
[上手い例えが見つからんといって適当な事を言うな。]
すみません。
「それより、お前の言い方だとベルサーチを殺した奴のそれとは思えないんだが?」
「へ~?当たり前でしょ。私ベルサんを殺したりなんてしてないしー。」
「な……でも、だって、ベルサーチの記憶には確かに“多角鋭式六頭霊影刃”を構えるあんたが……。」
「……へぇ~成る程。」
「お前じゃないなら誰が……誰がベルサーチさんを!」
んーっと人差し指を口に当て考えている様なフリをする大城毬。
「んっとねー内緒~♪」
「うわっぷ!?やめろよ!」
その人差し指を唇に当てられる。
[やはり満更でも―――]
煩いシャラップ!
「内緒って事は知ってんだろ?教えろ。」
「ダメダメ~。そんな事すると仲悪くなっちゃうよー。」
「はあ?っておっと。」
体が動く様になった。
ずっと前に進もうとしていた事を忘れていたのでつんのめってしまった。
「俺はお前と仲良しになった覚えなんてないぞ。」
「私じゃないよ。あのね涼治君。」
いきなり君付けで名前呼びかよ。
[そちらの方がフレンドリーでいい。といつか言っていなかったか?]
相手によるに決まってんだろ。
「世の中には知っていいことといけないこと。そして知った方がいいことと知らない方がいいことがあるの。今回のこれは知ってはいけない事で知らない方がいいこと。真実なんて霧の向こうに置いておいた方がいいよ。」
「う……。」
さっきまでのふざけた口調と違い真面目に言われたので身動ぎした。
本当になんだってんだよこいつは。
「これで私がベルサんを殺してないって事に納得してくれた~?」
「……さあどうだか。取りあえず今はもういい。ほら、紙飛行機返すからもうどっか行ってくれ。」
[いいのか?]
いいって言ってんだろ?
俺はジェイカーさんから用を頼まれてんだからさっさと行かないと。
「わーい私の紙飛行機だー♪」
ほらあいつも喜んでるしもういいだろ?
[あの子が喜ぶ必要は得にないと思うがな。]
「じゃあな大城毬。お前への疑いはまだ持ってんだから変な行動起こすんじゃないぞ?」
「涼治君はこれから何するのー?」
「な!?お前どっか行けよ!」
左腕にしがみつかれる。
これは……。
[貴様……。]
「……は!違う違う。離せよ!」
「なにするのー?」
「だから!俺は今から金石健太って奴に会いに行かなきゃならねえんだよ!」
「あー金石ー。じゃあ私も行こー♪」
「はあ?!」
……とんだギャグ回だぞこれじゃ。




