共に帰郷
……右腕がある。
……腹部に肉が戻っている。
……体が焦げていない。
……何より、痛みが無い。
痛みからの解放がこれだけ心地好い事だとは知らなかった。
[痛みは罪悪感……。それからの解放が心地好いのは当然だろうね……。]
そうですね。
「お帰りなさいジェイク。」
「やあ紳。」
背後に立っていた紳に声を掛けられ、私もそれに応えた。
爽君は眠ってしまっている。
「……何時間ですか?」
「丸々48時間。つまり今は3日13日の午後4時です。」
「2日間ですか……上出来ですね。」
思い切り伸びをしてやると体のあちこちが鳴った。
精神構造では動いていましたが、実際は1mmも動いてないですからね。
体も凝りますよそりゃ。
「さてジェイク。示してくれ。成功か否か。」
「……君の顔を見ていると、逆に自分の結果が裏付けられて面白いですね。」
はははと一つ笑う。
二、三と深呼吸をし精神を落ち着ける。
[……最初が肝心。焦らず……正確にね。]
承知しました。
「……人ならざる血。人ならざる力。人ならざる姿。降り立つ白よ紅に染まれ。“神の代理人”。」
「おお……。」
紳がゆっくりとしゃがみ片膝を付く。
そのまま祈りの恰好を取られるが、滑稽でも何でもない。
何故なら、彼の目の前には神の代理人が立っているからだ。
白く輝く鎧。
過度な装飾は無いが、滲み出るその神聖さは抑えられる物ではないし、抑える物でもなく。
手の甲まで覆うその先端は尖り、まるで何かを突き刺したいかの如く。
脛の部分は蹴れば対象を切り裂けるのではないかというほど鋭利になっている。
そして極めつけ、背中には熱く燃える炎の翼がついている。
「これは何と言うか……こっ恥ずかしいですね。」
「何を言うかジェイク。これほど神聖な物を私は生まれて此の方見たことがない。ありがとうジェイク。」
「いや、別に感謝されるようなことは何も……。それより―――」
「無論分かっていますよ。私と爽の命。好きに使ってください。」
「……助かります。」
指を一度鳴らし“神の代理人”を消す。
「あ……。もう少し見ていたかったのですが。」
「もういいでしょう。随分前に言いましたがなるべく急ぎたいんです。それに、共に戦うのであれば見る機会はいくらでもあるでしょ?」
「それもそうですね。」
砂を払いつつ立ち上がる紳。
「ではさっさと行きましょう。爽、起きてください行きますよ。」
そして私は、3日ぶりの帰宅を果たすのだった。
二人の力強い助力と、一つの心強い力を得て。




