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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第六章-落日に燦然たる福音-
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ラグナロク:四肢喪失

「はあ……はあ……はあ。」


森まで創ってくれたのは寧ろ僥倖だったか。

彼の自然呪文は凄まじい。

烈電『雷』の雷を“電気”を以て弾きとばすなど赤子の手を捻るが如く。

“重力”は重力の原点使いよろしく万物を押し潰す。

あんなものの目の前に突っ立っていたのでは命がいくらあっても足りませんよ全く。

しかしこのまま逃げ回る訳にもいかない。


「何かいい手はありませんかね……。」


紳の様に実銃でも装備しとくんでした。

そうすればまだやりようはあった。

今あるのは烈電『雷』と、ガスガンのパイファー・ツェリスカのみ。

これでは分が悪いどころの騒ぎではないな。

一応パイファーと弾には“強化”を掛け続けてはいる。

今互いに百ずつだな。


「しかしそれでは足らない……。もっと掛けなければ、っ!」


墜ちてきた三筋の落雷をすんでのところで避ける。

さっきまで背を預けていた大木は中央から真っ二つになってしまった。


「ちぃ……流石は自然の恩恵、く!」


次いで降り注ぐ氷柱を『雷』で弾く。

次々に降り注ぐそれは段々と速度を増している。

“重力”で速くしているか……!


「『走光電雷』!」


まだ迫る氷柱を『走光電雷』で打ち砕く。


「はあ……く!?」


「……やるね君も。」


“重力”の刃……か……!

背後からの斬撃を『雷』でなんとか受け止める。

が、その力、その重さに蹌踉めく。


「ぐ……ぬぬぬ!」


片膝を付くことでなんとか体勢を崩さぬ様粘る。

しかしこれは……。

“攻撃”星十を常に解放しなければ支えられない。

非常に不味い。

私の今の魔力は870。

“強化”に二百割いた事で残り670。

“攻撃”星十を先ほど一回。更に今五回目……つまりあと620しか残っていない。

烈電『雷』は人工兵装で魔力など不要、だが……。

“攻撃”や“防御”を使わず勝てる相手ではない。


「ふ、しょく……星十。『走光電雷』!」


「……。」


重力の刃に“腐食”を纏った雷を走らせる。

表面を腐らせ内部に電気を入れ込み爆破。

重力の刃は音を発てず砕け散っ―――


「……甘い甘い。」


「な!?」


重力の刃が再構成された。

『雷』を巻き込んで。


「く……動かない!」


「当然……。刀には悪いが……かなりの重力負荷を掛けさせてもらっている……。抜けないよ。」


「なら……『走光電雷』!」


……。

なんだと?

『走光電雷』が発動しない?

それほどの力と言うか……!


「……これ以上締め上げるのは彼に対して、失礼!」


「あ!」


重力の刃ごと『雷』が蹴り上げられた。

ありえない速度で加速し上昇。

あっという間に見えなくなった。


「くっそ……?」


何かおかしい。

さっき空を見上げた時、何か見なかったか私は?

一瞬だけ目に映った……光?

違和感……左が何故か軽い気がする。

恐る恐る、眼球だけ動かし左半身を見る。


「な……あ……。」


肩から先が、無い。

地面を見ると、縦に裂かれた腕が落ちていた。

精神構造内だからだろうか。

血はまるで出ていない。

なのに、遅れてきた痛みは私の体を貫いた。


「あ……ああ……あああああああああああ!」


「……痛い。痛覚は神が人に握らせた一欠けらの罪悪感……。甘んじて受け入れなさい。」


「ああああ……はははははははは。そうか忘れていたよ。“契約の天使(アゲロス)”……。焦らせますねお前。私の知識の範囲外からの攻撃かと思ったよ。」


「……。」


メタトロンが右手の人差し指を立て倒す。

鈍い音と共に何かが降ってきた。

それは私の右腕を巻き込みながら空間を潰し、地面に食い込んだ。

場に残ったのは、ひきちぎられ無残な恰好になった右肩。

血は相変わらず流れない。


「血が流れないのは助かりますね。失血死することがないからな。痛みは耐えれば消える。さて―――」


前に踏み出そうと一歩出した右足が、天から下りし火の矢により焼かれる。

燃え尽きる前にと一歩出した左足が、雷の矢が刺さることで真っ二つに裂かれた。

当然、両足という支えを失った本体は前に倒れ込む。

ちらりと見えたメタトロンはにこりともせず。

ただ光の刃で私を切り裂こうとしているだけだった。

……ふ。

間抜け。

そしてもう一つ、天から回転しつつ降りてきたそれに、私は笑った。

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