ラグナロク:始動
「これが私の精神構造……ですか。」
シンプルですね思っていた以上に。
これでプルプルしていたら完全に紳の部屋……いえなんでも。
「未来予言……君は僕に負ける。」
「……!」
声が発した方を向きながら後ろに飛びのく。
ぺらぺらと厚い本を捲る青年が一人。
未来予言、と言ったかな彼は。
「そうか……“天の書記”。メタトロン、貴方の持つ禁書ですね?」
「その通り。未来を見るのではなく予言……。書き込む事によりそれは起こる。ただ……実現可能な未来のみ、だが。」
「それでも人にとっては十分奇跡に通じますよ。」
メタトロンは、世界と同等の大きさの体を持つ他に類を見ない大天使だ。大きさ的な意味で。
彼は鎧“神の代理人”、矢“契約の天使”、本“天の書記”、そして剣“炎の柱”の術式兵装を持つ。
生身の人間が敵うはずもない。
「私が負ける。確かに貴方の実力を以てすれば簡単で、実現可能でしょう。」
「当然。ほら……昇っていく。」
「な……これは……。」
体から光が漏れだしている。
黒く淀んだ光だ。
そして同時に感じる。
私の中にいた負悪魔が……消えた。
「未来予言……というより未来の先取りかな。君は僕に負ける事で中の者は消える……。」
「ふ、ふふふはははははははは。」
「ふ……意味分かったかな?」
「ええ。それはもう。」
烈電『雷』を引き抜き構える。
「貴方は今私に一つの希望を示した。中の者が消える理由は二つ。名を冠す者と同化した時。そして、死ぬ時。」
「その通り……。それで?」
「貴方は希望を示した。二つの道を作る事でね。」
つまり、中の者が未来で消えたということは。
私は死ぬか、もしくはメタトロンと同化している。
「満足かな……?」
「それはもう。これだけの、この程度の希望で十分です。『走光電雷』!」
走る雷が決闘開始の合図を上げた。




