神は此処に……
私は冷たいレモンティー。
紳はブラックのホット。
爽はオレンジジュースをそれぞれ頼み着席する。
「やはり店内は涼しくていいですね。あのまま砂漠にいたら干物になるところでした。」
「ジェイカーさんは慣れてないからね。慣れりゃどうってことないですよ。」
「私は慣れるまでこんな所にいたくないですね。」
苦笑しながらレモンティーを飲む。
やはり暑い時には冷たい物です。
「では本題に入りましょう。貴方の腕は鈍っていないし、神に対する心も変わっていない。つまり、私達を味方とする第一第二条件はクリアした訳です。」
「珍しいね。前ならここで終わりだったはずですけど。」
「ふむ。君はまだ基本的な者としか同化していませんよね?」
「そうですが?」
何故ここでそれが……ああ。
分かりました。
“私が名を冠す者と同化する”。
それが条件でしょう。
仲間になる者が弱くては堪りませんからね。
「九割方合っています。」
「……人の心を読むのはあまり感心できませんね。」
「失礼。同化する時に必要な過程が2つあります。1つ、召喚する者の名を知る。2つ、召喚する。そして同化に移行する訳です。」
熱いコーヒーを傾けながら汗一つかかない涼しげな紳。
……考えられません。
「基本的にその2つをクリアしなければ同化は出来ません。しかし当然特別な事例というものは存在します。例えば降霊術。降霊術にも2つあります。普通に召喚すること。そして他人から引きはがすこと。」
「他人から引きはがすと言えばロストルケミスの右に出る者はいませんね。」
奴の“異質なる交霊の先覚”に掛かれば人間だって……。
「あれはヤバいですよ。一回戦ったけど危なかった~。」
「芽部と会ったんですか?」
「あれ、知ってるんすか?」
「ええ。彼女もまた、私の友人です。」
愛星芽部。
彼女はC.D.Cでもなく、W.W.Sの者でもないが、個人的な感情に則り孤立狼を狩っている。
「焦りましたよマジ。俺の事孤立狼と知るや否や攻撃仕掛けて来ましたからね。紳が来なけりゃ殺られてたかも。」
「あの頃の爽を殺すのはたわいない事だったと思いますよ彼女にとって。。今でも彼女と戦って勝つ確率はほとんど無いですけど。」
「けっ。厳しい野郎だな。」
しかし事実だ。
彼女は“降霊術”、“剣”、“鎧”、“空間”の術式兵装を持っている。
更月君でも彼女の相手をするのは辛いだろう。
ま、“発現”でもすれば話は別か。
地球もろとも消し飛びますけどね。
彼らが戦うことはないでしょうけど。
「更月とは誰の事か聞いていいですか?」
「ん?ああ。更月涼治、4月にW.W.Sに入学した子さ。適性審査1000オーバー。オールラウンダーですよ。」
「……へえ。それは興味深い。と、話が逸れすぎました。まあ話しの流れからも分かるように貴方には同化してもらいます。」
「成る程。では早速準備に―――」
立とうとしたところで待ったを掛けられる。
「まだ話す事が?」
「準備なんて必要ありませんよ。既に召喚は終了しています。」
「つまりキープしておいたと?」
「ええ。大した事ではありませんでした。私の神に対する心を知って、協力してくれましたからね。」
……つまり。
紳が私に同化させようとしている者は……。
「貴方の場合どうなるか分かりませんけど、頑張ってください。神天使『メタトロン』との同化をね。」




