得難いは全てに説き伏す烙印
「……相変わらず、弾丸に頭を貫かれる感覚にはなれません。」
後ろに倒れた拍子に付いた大量の砂を払う。
額には傷一つ残っていないはずだ。
そして。
「やはり治っていますね。」
頬にあった撃たれた傷は完璧に治っていた。
「それが私の“落日に燦然たる福音”の力ですからね。」
「素晴らしい。さすが神の力です。」
既に紳の手からは“落日に燦然たる福音”は消えていた。
戦闘終了の合図だ。
「軽い運動になりました。最近の手合いは、神も信じず、己すら信じない。それでは駄目です。まず自分。次に銃。そして神です。」
「同感です。私の場合、銃ではなく剣ですが。」
「そうですね。今爽から伝達で連絡がありました。砂漠の入り口に来たそうです。」
「それはいい。此処は西に3km。あと30分程―――」
背後からの斬撃を軽くしゃがんで躱す。
斬撃の軌跡に火の粉が舞っている。
「綺麗な奇跡ですが、もう少しマシな見せ方と言うものがあるんじゃないですかね。」
「え?あれ、ジェイカーさん?」
後ろを向くと刃渡り2m、柄の長さ2m、全長約5mの大鎌を構える少年がいた。
いや、実際には20歳なんですけど。
その目鼻立ちはどうみても少年のそれなんだ。
「えっと……だって、紳が孤立狼に襲われてるとか言って。」
「貴方を急がせるためですよ。早かったでしょう?」
「ちょっと、ふざけんなよ紳~。危うく斬っちゃうとこだったじゃねえか。」
“青年”がもう一度鎌を振ると、橙の軌跡を残し鎌は消えた。
「すみませんでしたジェイカーさん。って謝るのも失礼か。あれくらい軽く躱せるでしょうし。実際躱してましたしね。」
「ええ。謝る必要などどこにもないです。紳は少し反省するべきですがね。」
「ははは。そうですね。しかしまあ、避けられたのですから良いではないですか。さて、では揃ったところで喫茶店に行きましょう。ジェイカーに次の条件を提示しなければなりませんからね。」




