怒涛の連弾
マシンガンから放たれる銃弾が、当たるはずの者に当たらず砂に食い込んでいく。
さながらピアノのようにリズム良く音を刻んでいる。
「さすがに、おっと!早いですね。」
堪らず岩影に隠れる。865
銃弾は尚も撃たれ続け、岩をじわじわと削っていく。
「無止『素魚』ですか……。相変わらずの連射力ですね!」
「当たり前でしょう!私の師匠が作った物ですからね!」
騒がしい銃声に負けじとお互い声を張り上げる。
ベリネで会話してもいいですが、それでは“戦闘”を行っている気分は出ませんからね。
装弾数500発の無止『素魚』には『瞬込』という特性がある。
瞬時に500発の弾をリロードする物です。
だから“無止”なんです。
「さあどうする!このままでは埒が明きませんよ!」
「そうですね!貴方が撃つのを止めてくれたら明くと思いますよ!」
「それは出来ない相談です!」
……岩は結構大きく厚い。
が、このまま撃ち続けられれば、そのうち抜かれるのは自明だろう。
仕方ない……。
「私はあの世界に行ったことがないのであまり得意ではないのですが……。行きますよ烈電『雷』。……『走光電雷』。864」
突然だが砂は電気を通すだろうか。
答えはNO……だと思います。
とにもかくにも、電気は走った。
砂漠の表面を音を発てて走っていく。
私の“腐食”を織り交ぜてある電気だ。
痺れるだけでなく、流れた点を腐らせる。
「『走光電雷』か。懐かしい。は!」
紳はそれを、砂を大量に蹴りあげる事で防いだ。
ちゃんとした使用者ならば、その砂に付いていかずに紳に直進させられるでしょう。
ですが私の粗悪な制御では付いていくのは蹴りあげられた砂の方で。
無論そんなことは分かりきっていました。
だからそれに関してはどうでもいいんです。
彼は私の思惑通り“砂を巻き上げて”自らの視界を遮ってくれたんですから。
その隙に乗じて岩影から飛び出し、“攻撃”を五ずつ解放しながら走る。
紳までの距離あと約27m。
砂が落ちるまで約3秒。
つまり、100mを9秒台で走り抜けなければならない訳ですね。
「それだけあれば十分です。」
2秒で紳の前に到着。854
勢いを落とさぬまま、“攻撃”星十を右手に掛け、烈電『雷』を紳がいるであろう箇所に向け振り抜く。844
「……!っと……。」
振り抜いたが、空気の抵抗しか感じず少し蹌踉めく。
「例えば私の目を潰し、鼓膜を破り、鼻を詰まらせ、触覚を消し去ったとしましょう。それでも君の位置は私には分かってしまう。」
後頭部に銃口を押し付けられる。
……場所を特定した術については心当たりがある。
しかし……“攻撃”をいくら使った所で、14m/sで迫る私の後ろに回り込むことは出来るだろう。
位置が分かっていれば出来る。
が、私の目に全く映らずにとなるとそれは不可能だ。
「気になりますか?何故貴方の目に全く映らずに移動出来たか……。答えは足元にあります。」
「足元?」
足元を見てみると、茶の砂に混じり黒い砂がまるで運動会の白線を引くようにある。
そしてその線は私の後ろに回っている。
「……。」
続いて少し前に目を向けてみる。
そこにも同様に、先の物と繋がった黒い砂があった。
「……成る程。分かりません。」
「それはそうでしょう。貴方は私の世界に来たことがないのだから。先ず『空間認識』で貴方の位置を掴む。そうすれば後は簡単、『電光石火』を使い貴方の後ろに回るだけです。地面のそれは、“黒い砂”ではなく“黒く焦げた砂”ですよ。」
「ほう。」
足元を軽く蹴ってみる。
……確かに黒いのは表面だけのようだ。
「さてどうしますか?貴方の頭を撃ち抜くか、貴方が参ったと言うか。選択は二つに一つです。」
「……ふ。君は撃ちませんよ。」
「何故そう思うんです。」
「自らの手の内を晒すという行為。それは時として味方に対してでも愚行だと言われます。そんな行為を犯す奴に基本的には二種類しかいない。」
「聞きましょう。」
「先ず第一。」
左手の人差し指を一本立てる。
人の目を見ないで話すのはあまり好きではない。
ましてそれが説明なら尚の事です。
ま、この場合は仕方ないですが。
「自らの力を過信、妄信している連中です。彼等は得意げに自らの力を説明し、そして死んでいく。まあそれが、過信を超える遥かな実力ならばその限りでもないでしょうけど。」
「成る程。では第二を聞きましょう。」
「第二は、それは君の様な人の事ですよ。」
右腕をそろそろと体の前に動かす。
……保険はあった方が安心出来ますからね。
「私の様な?……残念ながら理解出来ませんね。人間という生き物は自分自身を一番知りませんから。」
「いえ。君は分かっているはずです。第二とはつまり、味方以上に信頼出来る者に対してだけ晒しだす者ですよ。」
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