衝撃と殺人
「目を開ける。それは諦めかそれとも捨て身か。」
「は。どっちも同じ様な意味だな。」
「言っておくが、僕の“睥睨する七万の瞳”、私と同じ様に集団ストーカーの状態に堕とす物だ。」
……距離約3m。
奴の身のこなしだ。この距離からでは見切られる可能性が高い。
結局偽物なんだからな。
接近しなきゃならんが、奴と瞳を合わせずとも、目を見られただけで“睥睨する七万の瞳”に掛かる可能性もあるな。
目を閉じたまま突撃するのもありだ。
近くに行くまでベレトに目の代わりをしてもらえば余裕だろう。
が、この地獄の園にも太陽がある。
地獄だってのに今は明るいのさ。
目を瞑ったまま突撃し、目を開けた瞬間に眩まないとは限らん。
[申し訳ない。儂は日々の移りを楽しむ故。]
ああいいんだよ。
目は開けたまま行く気だったしな。
奴の“防御”が及ばない箇所を見つけてぶち込まなきゃならんからな。
「基本的に“睥睨する七万の瞳”は、じわじわと対象の精神を削る。だが出力を上げれば瞬間に貴様を廃人とすることも出来る。」
だそうだ。
[どうします?]
……ははは。
燃えるね全く。
「最後だ、聞いといてやるよ。家族や友人はいるか?」
「なに?」
「何回も言わせんな。家族、友人、その他密に付き合っている奴はいるかって聞いてんだ。」
「家族は死んだ。友人……仲間ならいる。」
「そうか。じゃあやっぱ聞かなきゃな。遺言はあるか?」
「……。」
「はは。ちょっと怒ったな。」
“攻撃”星三十……全て脚に。
更に“攻撃”星三十……右腕へ。
「人間そうでなくっちゃな。喜怒哀楽の一つでも欠けたら、そいつはもう人間じゃねえ。荒かろうが何だろうが気性なんかも大切にしなきゃな。」
「そんな物俺にも私にも僕にも必要ない。」
「そうか。じゃあてめえは人間じゃないんだな。安心して死ね!」
「な!?」
流石の奴も驚いたらしい。
何たって、俺が全身全霊を込めて“影の王冠”を全力投球したんだからな。
それと同時に、脚に掛けた“攻撃”を解放する事で俺もかなりの速度で前に突っ込む。
「何ふざけた事を!ぬう!」
当然“影の王冠”は弾かれあらぬ方向へ飛んでいった。
「目を見ない目を見ない目を見ない!」
左脚に“攻撃”星三十。
奴の懐に入り、左手を地面につき、右足で下から蹴りあげる。
「この程度……何故“攻撃”も掛けず。」
「それは死んで考えろ!」
左脚の“攻撃”解放!
飛び上がり、奴の頭上を越え背後に回る。
当然、必殺の武器を腰のホルスターから抜くのを忘れずに、だ。
「きさ―――」
「バイバイドルイトス……。」
ガスで玉が押し出される音。
俺の銃の銃身が壊れる音。
そして、強化されたBB弾がドルイトスの右胸を突き破る音。
それらが軽く鳴ったことで、戦いの幕は降りた。




