MadmAdmaD!!!!!!
{お早うございます。HAJACK第九地区に2224年3月11日の朝が来ました。今日のお天気をお伝えします。今日は晴れでしょう。降水確率は0%。最高気温13度、最低気温10度。これ以上の詳細はお天気発信地にて確認して下さい。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240311。}
丁重に弔えと言われた。
だから俺達は彼女の遺体を自分達で弔った。
本当におかしな世の中だ。
殺人が許可されているが故に、死体を見つけても報告しなければいけないということはなく。
葬式も上げる事も少なくなり、葬式屋や坊主なんかは軒並み消えていった。
[それについては良い事だと私は思う。弔う事自体は良いが、それに大金が必要など遺族を嘗めているとしか思えぬからな。]
俺も同感。
ただそういった形式が無くなったのも手伝って、みんな“死”という“生”との境界を軽く見ている気がする。
[死は新たな生の始まり。それを軽く見るなど微生物にも劣る愚かさだ。]
そうだな。
「……安らかに。テーゼスタ。」
ジェイカーさんが締めた所で、テーゼスタを弔う事に切りを付ける。
……君の敵は俺が取るから。
見ていてくれなんて独善的な事は言わない。
これは俺が勝手に請け負った復讐だ。
君は、せめて次を幸せに過ごしてくれ。
「さて、お約束だが何時までも彼女の死を悲しんでいる訳にはいかない。セナリアさんは先の戦闘に加え、今回だ。当分自宅で情報収集に当たってくれ。」
「……分かりました。では失礼しますジェイカーさん。涼治。」
「ああ。……一人で大丈夫か?」
「女が弱っている時に付け込むのは感心出来ないわよ。」
いやそういう訳で言ったんじゃないが……。
「心配無用よ。車を寄越してもらうから。」
「そうか。まあなんだ、養生しろよ。」
去るセナリアの背を眺める。
やはりかなり堪えているらしい。
[妹として可愛がっていた者が死んだのだ。仕方なかろう。]
「さて更月君。私は少しの間エジプトに行ってくる。」
「は?何をいきなり?」
「エジプトにC.D.Cで孤立狼の奴が二人ばかりいるんだ。彼らに助力を求めてみる気なんです。」
「C.D.Cで孤立狼?」
何と言う矛盾した存在なんだ。
本来C.D.CはW.W.Sに在籍する、名を冠した者と同化している魔術師が入るもんだろ。
「まあちょっと訳ありなんだ。彼らは一応師弟関係でね。師匠を神杉紳、弟子を御剣爽と言ってね―――」
神杉紳はW.W.Sに在籍している。
が、W.W.Sの要請などには一切応じない。
だから孤立狼として認識されている。
かなりの実力の持ち主なのでC.D.Cにも入れてあるらしい。
加えてかなり信心深い。
今はエジプトで何やら神に関する事をしているらしい。
御剣爽は5歳の頃アフリカで神杉紳に拾われた日本人貿易商の子供らしい。。
故に彼は根っからの孤立狼と言える。
悪魔と天使両方と同化している。
二人とも術式兵装だけでなく人工兵装も使うとかなんとか。
W.W.Sの廊下を歩きながら、ジェイカーに言われた事を反芻する。
どちらも強いという事だけは分かったな。
[非常に興味深い。どちらも強いと言われれば尚の事だ。]
別に戦う訳じゃなかろうに。
んな事気にすんな。
「……ん?あれはカラミラ・フース?」
なんかの授業の時に見かけたことがある子だ。
呼びにくい名前ではある。
「ぶつぶつ……。ぶつぶつ……!」
……何やらぶつぶつ言っている様だけど、どうしたんだろ。
[……気になるな。]
え?珍しいな。
お前なら、“詰まらん瑣事だ捨て置け”とでも言いそうな事だけど。
[いいから近付け。これは不味い事になっているかもしれん。]
不味い事?
[全く、ジェイカー・リットネスめ。見逃して行くとは情けない……。]
悪魔が何を言っているのかは知らないが、取りあえず近付くことにした。
「あのー、カラミラさん?」
「っ!?貴方?!貴方なの!?」
「は?一体何が?」
「貴方が私の……私の!!」
……おい、これって。
[やはりか。]
「貴方が私の名前を呼ぶの!?」
「落ち着いてカラミラ!」
肩を押さえてじっとする様に試みるも、まるで通用しない。
[無理に押さえるな。生物は自分の自由にならなくなる状況を特段嫌う。]
でも!
このままにしておくなんて訳にもいかないだろ。
「私の名前を呼ばないで!」
「あ、ちょっと!」
走り去ってしまった……。
[ドルイトスとか言う奴は中々の切れ者らしいな。まさか此処にまで狂気が蔓延ってきたとは。]
蔓延るって……まだカラミラだけだ。
[と思うか?]
何?
「俺の名をぉぉぉお呼ぶな!」
あれは、深宮厳迩……。
調子は何時もの風だが、どう見てもおかしい。
うおおおと叫びながら走り去ってしまった……。
……どうすんだよこれ!
こんな……これは……どう考えてもヤバすぎる。
[どうするか、か。なんだその間抜けな問いは。C.D.Cとは、魔術に関するごたごたを処理する物なのだろう?ジェイカー・リットネスはエジプトに行ってしまった。セナリア・ベイグラントは療養中。他のC.D.Cメンバーは何処にいるか全く不明。]
「……詰まるところ、俺がやるしかないってことか。」
[勿論。貴様一人でやり遂げる初めての処理だ。気合いを入れろ馬鹿者。]
……そうだな。
「いやーん。私の名前を呼ばないでー。」
また一人おかしいのが走って行った。
……ん?
あんなのは見たことないな。
[ふん。それこそどうでもいい瑣事だ。さっさと行動しろ。]
あいよ。
先ずは街に出よう。




