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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第五章-睥睨する七万の瞳-
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同化

{お早うございます。HAJACK第九地区に2224年3月10日の朝が来ました。今日のお天気をお伝えします。今日は晴れでしょう。降水確率は0%。最高気温10度、最低気温8度。これ以上の詳細はお天気発信地にて確認して下さい。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240310。}

「え?なんて?」


「だから、テーゼスタが今から同化するから一緒に来ない?って聞いたの。なんかぼーっとしてるわよ貴方。」


「悪い。」


高田茂木さんが死んだことを、旅行から帰ったばかりの父親に話した。

隠したところでどうせばれることだからな。

[それについては正しい行いだったと私が言ってやろう。]

どうも。

ま、ばれるもくそもなく父さんは知っていたが。

そのことを考えてしまい、ぼーっとしていたんだろう。


「えっと、テーゼスタが同化?」


「そうよ。なんだか最近貴方に懐いているみたいだから。」


わざとらしくしょんぼりしたセナリアがげしげしと俺の足を蹴ってくる。


「そうなんだ。」


「自覚ないの?かわいそうなテーゼ。っと、そんなことはどうでもいいわ。どうする?来る?来ない?」


「……行くよ。なんかあった時、人手が多い方がいいだろうしな。」


「そういう事は考えるだけにしなさい。験が悪いわ。」


確かにそうかも。


「すまん。」


「いいわよ。私の前で言う分にはね。行きましょ。」


八棟に向かうであろうセナリアの後に続き歩き始める。


「何を召喚するのか聞いていいか?」


「それが私も知らないのよ。名を冠す天使を呼ぶってことは聞いているんだけど、名前は教えてくれないのよ。」


「ふーん。」


見てからのお楽しみってやつか。

[……それで済めばいいがな。]

は?どういう意味だそれ。

[言えば験が悪くなる事には違いない。だから口にするのは止めておく。]

……?そうか。


「っと、いたいた。やっほーテーゼ!おまたせ。」


「あ、お姉ちゃん。お兄ちゃんも来てくれたんだ!ありがと!」


「いえいえどういたしまして。」


そんな可愛い笑顔を向けてくれるならなんだってするよ。

[……ロリコン、というやつか?]

断じて違う。


「更月君も来たんだね。」


「ジェイカーさん。」


どうやら付き添いの教師役魔術師はジェイカーらしい。


「これは心強いねテーゼスタ。」


「うん!」


よしよしとテーゼスタの頭を撫でるジェイカー。

……。

[……やはり。]

違う。断じてだ。


「さて、テーゼスタ。改めて聞きますが、どうしても召喚する者の名は教えてくれないのかい?」


「うん。ダメなの。」


「そうですか。ダメなのなら仕方ありませんね。しかし、同化した場合は、ちゃんと教えてもらいますよ?」


「それは大丈夫!」


うんうんと可愛く頷きながら扉を開き第四室に入ろうとするテーゼスタ。


「本当に一緒に入らなくて大丈夫?」


「大丈夫だよー!お姉ちゃんも楽しみに待ってて!バイバイ!」


と言うとバタンとドアを閉め中に入ってしまった。


「……大丈夫かしらテーゼ。」


「言うじゃないか。“心配とは疑心である”って。信用して待っていましょう。」


「ええ……。」


一体何を召喚するんだろうな。

[……。]

どうした?

[……いや。別れにも色々とあったなということを思い出していたんだ。]

どういう意味だそれ?

[深い意味は無い。単純に回顧していただけだ。]

……そうか?

ま、とにもかくにも始まっちまったもんは仕方がない。

終わるまで此処で待っているさ。


世の理には常に“誤算”というものが付き纏う。

円周率を手で、それこそギネス新記録なんじゃあないかってくらい計算した。しかし其の実、桁10くらいから間違えており、間抜け新記録に名を連ねてしまう。

完璧に計算され、街が水没することは無い防波堤。しかし其の実、高さだけ完璧で、強度は頭に入っていなかった。

誤算誤算誤算。

いつ何時でもそれは人が行くところに付き纏う。

今回だって、それは例外じゃない。

いつだって誤算は付き纏う。

今回犯した誤算は3つ。

1つ、テーゼスタが俺達に何を召喚するか言わなかった事。

2つ、テーゼスタを一人で第四室に入れた事。

3つ、……召喚した者が俺達の想像を遥かに凌駕していた事。

たった3つの誤算で―――

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