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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第五章-睥睨する七万の瞳-
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三大勢力相対す

「あ。」


「お。」


「ん。」


おいおいマジかよ……。

<一人はイヴの如月薫。一人はワレラの阿部左宇だな。>

御名答。

なんたってこの二人に会っちまうんだよ。

……いや待て。

俺は阿部左宇なんて―――


「よう涼治。C.D.Cも今回の件調べてるのか?」


「ん?……まあな。」


「容疑者が魔術師だからか。」


「耳が早いな。」


IFLCも既に目星をつけている、か。

[奴らの情報網を以てすれば当然だろう。]


「左宇。お前も何か調べているのか?」


薫が俺から阿部左宇に照準を変えた。


「いや。そういう訳ではない。死んだ男と少しばかり話してな。それでちょっと気になったから此処に来たまでだ。」


「成る程。轍醍醐が言っていた通りという訳だな。」


轍醍醐……。

以前赤い奴から俺を逃がしてくれたワレラだな。

[結局あの赤いのはどうなったのだ?]

さあ?

轍醍醐が殺ったんじゃなきゃ、まだ何処かで生きてるんだろう。


「さて。此処で会ったのも何かの縁だ。それぞれが持っている情報を教え合うってのはどうだ?」


薫が人差し指を立てながら言った。

情報をあまり持っていないこちらとしては、かなり嬉しい申し出ではある。


「俺は賛成。」


「……俺も別に構わんが、情報なんてまるで持っていないぞ?」


「お前は死んだ男について話してくれればいい。」


取りあえず近くにあった喫茶店に入り話すことにした。

各々適当な飲み物を注文して会議を始める。


「さて、じゃあ言い出しっぺの俺から話させてもらう。」


席についた瞬間置かれた水を一口含み、薫は話し始めた。


「先ず、ずばり容疑者だが、魔術師のドルイトス・ポーカー・レイヴァンが最有力候補だ。」


「鏡使いだな。IFLCもそれは掴んでいたか。」


「やっぱ涼治は知ってたか。そりゃC.D.Cだしな。」


何故その孤立狼が“鏡使い”などと呼ばれているかは、知らないけど。


「次に被害者だが、高田茂木23歳。」


……え?


「ちょっと待ってくれ薫。その人もしかして、で、電光社に勤務してたか?」


「お、よく分かったな。」


マジかよ……。

朝のニュースをしっかり見とくべきだった。

[知り合いだったのか?]

……彼は父さんと友達だったんだ。

たまに家に来て食事したりしたんだよ。

今日帰ってくる父さんは知っているんだろうか……。


「話しを続けるぜ。彼の最近の様子だが、一週間前からおかしかった様だ。いつも周りをキョロキョロし、ぶつぶつ呟いていたらしい。」


注文した珈琲に角砂糖三つとミルクを入れる薫。

スプーンでくるくる回しながら続ける。


「そして五日前から無断欠勤が死ぬまで続いた。一週間前以前にそんなことは無かった。優良社員だったみたいだからな。」


「……そうか。」


「情報交換なんて言ったが、今のところ持っている情報はこれだけだ。」


珈琲を傾ける事で、薫は話す事を締めた。


「……じゃあ次に俺が話すよ。容疑者、ドルイトス・P・レイヴァンについてだ。」


紅茶を一口含み、一気に話す。


「ドルイトス・P・レイヴァン29歳。身長185、体重74。魔術師十五年目の孤立狼だ。得意とする系統は“操脳”、“魅惑”、“水”。不得意とする系統は“攻撃”と“強化”。鹵悪魔であるヘベルメスと同化している。彼の術式兵装は“睥睨する七万の瞳(ストーカー)”。魔眼の術式兵装だ。効果は、簡単に言えば対象を集団ストーカーの状態に陥れるというものだ。」


紅茶を飲むことで話しを締める。


「……成る程。いや助かった。孤立狼の情報は厳重に管理されていてIFLCでも収集出来なかったんだ。」


「こちらも同じく。」


オレンジジュースを飲む阿部左宇も話しに入ってきた。


「と言うより、ワレラの場合悪の情報収集しかしない。孤立狼にも無論悪はいる。そういう輩の情報は集められるだけは集めている。だが、ドルイトスの場合間接的にしか殺しをしない。」


だから名前以上の情報は集めないって訳ね。

[他に必要以上に干渉しないか。頭のいい奴だ。]


「とにかくこれで俺の話しは終わり。」


「次は俺か。死んだ男の情報だな。とにかく支離滅裂だった。“お前か”とか“お前が”とか“お前が俺を”とか言っていた。ああ、後は“お前が俺の名を”とかも言っていた。」


ふむ。

噂に違わぬ支離滅裂さだったらしい。


「成る程。ま、俺は聞き込みで知っていたが一度当事者から話しを聞いておきたくてな。助かったよ。」


「ふん。この場合馬鹿なのはどっちだ?知っている情報をわざわざ聞いたお前か。それとも、それらしい事を聞いており、そこから推察出来ず、ぐだぐだと話しをした俺か。」


「まあまあ。細かい事は気にすんなよ。俺は大体知っていたが、涼治はしらなかったんだしさ。だろ涼治?」


「まあな。」


支離滅裂になっていた事は知っていたが、何を言っていたのかは知らなかったからな。


「……ならば良しとするか。そういえば自己紹介がまだだった。俺は阿部左宇。ワレラだ。特性は『最奥の(エラヒストス)地下水路(タナトス)』。」


「更月涼治。魔術師一年目。王悪魔のベレトと同化している。使用できる術式兵装は『影の(スキア)王冠(ステマ)』。」


よろしくと右手を差し出す。

が、左手で軽く弾かれる。


「え?」


「握手は止めとこう。このご時勢だからな。薫、無論お前ともだ。」


「分かってるよ。」


……成る程な。

協力する時はする。利用出来る時もする。

そして、戦う時は戦う。

つまりそういう事か。


「さ、話しは終わり。俺は帰る。」


千円札を机に置いて、あれ?

阿部左宇は消えた。


「多分“ストップ”を使ったんだ。俺達には見えん。」


置かれた千円札を財布にしまいつつ立つ薫。


「あいつはああいう性格だ。他とは馴れ合わない。ま、正義の味方ってのは“ああいう”もんだと思ってさ。気にしないでくれ。」


「あ、ああ。それはいいんだが……。」


「なんだ?その言い方は、他に何か言いたい事がある時のもんだぜ?」


「いや別に何も。」


とっさに口に出てしまった物の言葉尻をつかまれたんじゃ堪らないな。

[今のは貴様が悪い。]

まあそうなんだけどさ。


「じゃあ俺もそろそろ行くよ。支払いは俺がやっとく。情報料の代わりだ。」


「ありがとう。」


軽く礼を言って俺も出口に向かう。


「前にも言ったが。」


「ん?」


ドアに手をかけたところで薫に話し掛けられ足を止める。


「俺はお前の味方だ。正義なんてのに味方するよりゃ、よっぽどか建設的だからな。」


「ふ。そうだな。」


拳骨を軽く叩き合わせ、俺は喫茶店を後にした。

魔術師:ドルイトス・ポーカー・レイヴァン

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