寝落ち
大量の蟻達は、一斉に襲ってくる事はなかった。
十匹ずつ。
指から垂れる糸と同量ずつしか襲ってこない。
それらを丁寧に一匹ずつ“マリオネット”で操り僕に変え、他の蟻達を襲わせる。
襲われた蟻達は、これ幸いと、嬉々とした様子で反逆蟻を喰らっている。
「気色悪い……!」
絶え間無く襲ってくる蟻達を操り相殺。
「いいねいいね。いくら蟲とは言え“強制”が掛かっている蟲を瞬間的に操るとは。凡人のお前にしては良い成長振りだ。ほれ、次からは二十匹。」
言われた通り、二十匹が襲ってくる。
別段問題などない。
二十、三十、四十。
だから何なのだ。
「数なんて……関係ない!」
二十匹をほぼ同時に操り、草春を襲わせる。
が、草春には遥か届かず、蟻達は消えた。
……何かしらの術式兵装か?
確かシャックスと同化していた筈だが。
私はシャックスについて何も知らない。
自然、彼の持つ術式兵装も知らない事になる。
「関係ない、か。じゃあヘラクレスも追加な。」
草春の背後からヘラクレスオオカブトが出現する。
その数三十匹。
「……いや、もういいか。もういい。今から蟻とヘラクレス全てをお前に襲い掛からせる。死ね。」
「ふん。来いよ。」
宣言通り、蟻とカブトムシが一斉に襲ってきた。
戦い始めてから初めて呪文を使う。
“防御”星三十。“強化”ほ―――
「ああもう。駄目でしょ。」
「ッ!あ……。」
後頭部に……衝撃?
嘘だろ。“防御”星三十を掛けた……のに。
それを一気に破った……。
そこで私の意識は途絶えた。
その一瞬で私が見たのは、赤い刀だった。




