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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第四章-新たるは欲望の彼方より-
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Bygone

「“腐食”星ニ十。」


両手両足に濃い“腐食”の膜を張る。


「次いで“攻撃”星三十。」


「いきなり全力か?魔力を惜しみなく注ぎ込むな。“強制”×二十。」


……強制?

[恐らく、周りの蟲共を操る呪文か何かだろう。]

何にしても、鬱陶しい蟲を落とさなきゃね。


「行け、ヘラクレス。」


激しい羽音を発て、カブトムシがこちらに飛んで来る。

[相当強化されている様だな。動きが蟲とは思えん。]

そうね!


「は!」


一番早く私に届いた蟲に掌底を放つ。

掌に触れることなくカブトムシは腐り、地面に転がった。


「ほう。やはりサブナクと同化しているだけの事はあるな。」


次いで、同時に来襲する二匹も同じ様に落とす。

裏拳、手刀、蹴りなどを駆使し残り十七匹も落としていく。

スカートだから、蹴ったりするとチラチラしちゃうわ、いやん。

[はっはっは。余裕だな。]

まだね。

私は術式兵装を出していないし、カブトムシの攻撃は一度も受けていない。

……ま、あっちも術式兵装は出してないし、まだ本気じゃないわね。


「ブラボー。本気ではないとは言え、あれを無傷で過ごすとは……。やはり楽しめそうだ。“強制”倍率三×十。」


「……!」


またカブトムシが現れた訳だけど。

なにあれ。

[二回り大きい。]

そうみたいね。


「さあ、次も上手く過ごせよ!」


「勿論よ!」


次は待つのではなくこちらから向かう。

さっきより強くなっているとするなら、囲まれると分が悪い。

なら先制攻撃で崩さないとね。

“攻撃”星五を移動のために使用。

これにより私の動きは加速し、一番手前のカブトムシに瞬時に辿り着く。


「やっ!」


と同時に“腐食”を纏わせた掌底を打ち込む。

カブトムシは落下するがそんなものを見ている暇はない。

次いですぐそばのカブトムシに裏拳。

そのままカブトムシを掴み、少し遠くのカブトムシにぶつけ沈黙させる。


「次!」


足元に迫っていたカブトムシを右足で蹴り―――


「わ!何で避けるのよー!」


直角に曲がったカブトムシは私の蹴りを躱し背後に回った。


「はははははは。さあどうする?君が恐れていた自体に陥ったぞ?」


「……あらま。」


やはり暗いのはダメね。

今気付いたが、後ろには既に三匹回り込んでいた。

[今頃気付いたのか。のろまなお嬢様だ。]

うっさいわね。

さっき三匹落として、残りは七匹。


「その内三匹は後ろ。四匹は前にいるって訳ね。」


「そういうことになる。気をつけろ、ヘラクレスは確実に君の腱を狙う。」


「そう。だから何なの?」


「は?」


「聞いた通りよ。私は七匹のヘラクレスカブトムシに囲まれている。しかもこの蟲達は貴方がかなーり強化してあげてる、と。だから何なの?」


確実に腱を狙うだとか、囲まれているだとか、そんなことどうでもいいわ。


「当たらなきゃどうってことないのよ、おじさん。」


「俺はまだ25だ。口も開けねえ様にしなきゃな。」


四方から蟲が迫る。


「……着ようか、全てを阻む腐食の鎧。“千からなる(レックス)死因の共鳴(コロージオ)”。」


「……!」


私の体を鈍く輝く赤が覆っていく。

ただの赤じゃない。

それはこの世のモノではない金属で構成される鎧。

触れる物全てを、腐食という事象の元沈黙させる鎧。

いくら強化されていようと、いくら魔力を費やそうと、この鎧にまともな状態で触れられる物はない。


「それが私の、サブナクの鎧である“千からなる死因の共鳴”。」


「やっべ……!戻れヘラクレス!」


「もう遅いわよ。火に飛び込む馬鹿な虫の様に死になさいな。」


襲撃してきたカブトムシは、鎧に触れることなく腐って死んだ。

[流石は我が鎧だ。虫けらを防ぐなど造作もない。]

当たり前よ。


「ち。それがサブナクの鎧か。全く、丹精込めて作ったてのになあ。こんな簡単に撃破されると泣けてくる。」


「なら泣きなさいな。私は貴方を許したりしないけどね。」


「これならあいつでなくても欲しくなる。猫ばばしようかな……。いやいやダメダメ。」


……もしかして無視したのあの人?

[はははははは。その様だな。]

ムカつくわねーあんたも。


「まあいいか。じゃあそろそろ本腰入れるよ。痛いかもしれないけど耐えろよ。」


「奇遇ね。私もそろそろちゃんと戦おうと思ってたのよ。死ぬかもしれないけど、怨まないでね。切り裂こうか、腐る断絶。“多角鋭式(たかくえいしき)六頭(ろくとう)霊影刃(りょうえいじん)”。」


これまた赤く輝く刃を持つ日本刀。

刀身には、更に赤く、どす黒い赤でその体を纏う蛇が六匹。絡み付いている。


「刀も抜いたか。ならこっちも。“強制”倍率十×百。」


「う……気持ち悪いわね。」


多分蟻なんだろう。

何故多分なのか。

まず大きさがおかしい。

蟻なんて大きい物でも精々2cmあるかないかだろう。

けど目の前に展開している軍隊蟻は違う。

[およそ10cmは下らない様だな。]


「知っているかもしれんがこいつらは軍隊蟻。この世で最も凶悪な蟻達だ。これから奴らは君を喰らわんと押し寄せる。殺す前に止めさせるから安心してくれ。」


「煩い。」


右手に持った霊影刃を軽く振るう。

……うん。やっぱりしっくりくるね。

[鎧と刃を出したのだ。敗北は許さん。]

当然よ。

餌になる気はないわ。

[ならば良し。油断しないで速攻で行け。]


「勿論!」

悪魔:サブナク

『“千からなる(レックス)死因の共鳴(コロージオ)”』

『“多角鋭式(たかくえいしき)六頭(ろくとう)霊影刃(りょうえいじん)”』

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