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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第四章-新たるは欲望の彼方より-
45/106

Finish

「く……せー!」


臭いよ何だコレ。

轍醍醐の“千刃の谷-祢々切丸”が赤い奴を貫いた瞬間、周囲に赤い霧状の奴の体が散らばり、漂っていた腐敗臭が爆発的に広がった。

[吸うな。体に毒なのは確かだ。]

って言ってもな。

雲散霧消した奴の体がそこら中に散らばってるんだ。

吸うなというのは難しいだろう。

努力はするけど。

それより、あいつ、轍醍醐はどうした。

[貴様の後ろにいるだろう。]


「へ、うわっ!?」


「あまり吸うなよ更月涼治。」


黙って背後に立たないでほしい……。

殺し屋かと思うわマジで。


「さて、これで奴が死んだか否か、楽しみだな。」


「何が楽しみなんだ……。」


「私も俗世に汚染されてはいるが、腐っても武士なのでな。相手が赦されざる殺人犯だと言っても、やはり、強い敵は面白い。奴の場合、強いのは力ではなく、そのバイタリティだろうがな。見ろ。」


「あ、何か集まってる。」


赤い霧が、ある一点に集まって来る。

それに釣られ臭いも集約されているのか、腐敗臭も弱くなる。

そして、赤い奴は復活した。


「ふぅー……。ヴヴヴ……。」


いや、死んでないなら復活じゃないか。

これ一体どうしたらいいんだよ。


「死んでないのかはよく分からんが、こうして目の前に無傷で存在しているのは確かだ。」


「物理攻撃は効かないのか……?」


あれ程の攻撃を受けてぴんぴんしているのだ。

物理攻撃が奴の前に無力に帰すと誰だって考えるだろう。


「そのようだ。となると私はかなり不利になる。“スレイ・ライ・サントエク”等の光線の様な技を使わないからな。君はどうだ?」


「えっと、魔術師は基本的にそんな呪文を使わないよ。術式兵装なら話は別だけど。」


俺はまだ“影の王冠”しか使えない。

[私の術式兵装である“武器”か“魔眼”なら願いを叶えられたろうが、諦めるのも時には肝心だ。]

冗談じゃない。

俺の人生まだまだこれから、宇宙規模で見ればそこらのダニ程も生きてないんだぜ?!

[ふ。宇宙規模で比べる意味は分からんが安心しろ。私もまだ帰る気は無いのでな。と言っても物理的助力は不可能だがな、っはっはっはっ。]

笑い事じゃないっての……。


「ふむ。では仕方ない。君は逃走しろ。」


「え?」


「逃げろと言ったのだ。君が逃げる間、奴に手出しはさせん。」


[願ってもない機会だ。遠慮無く受け取っておけ。]

そうさせてもらうよ。


「分かった。気をつけて。」


「君も、今後この件に関わり続けていくのなら用心して掛かれ。君が考える以上に、深く、暗い淵が待っていそうだからな。」


深くて暗い淵……。


「さあもう行け。奴もこれ以上は待てないそうだ。」


その言葉の通り、赤い奴は再び両手を刃物に換え突っ込んで来た。

二人が衝突するまで約4秒。

それを待つはずもなく、俺は背を向けて走り出した。

直後、俺が考えていたより1秒早く、衝突音が背後から響いた。

……衝突音だと?

轍醍醐が持っていたのはその名も高い“祢々切丸”だ。

あの巨大な刃に一閃向けられ、無事な物質がこの世にどれだけある?

今相手にしているのはさっきの赤い奴だ。

“影の手”に刃を斬られ、“千刃の谷”によりその体を霧にしたやわなあれが、轍醍醐の放つ斬撃と衝突などするはずがない。

するとすれば、それは一方的な解体のはずだ。

[今の音は、金属同士の物に聞こえたな。]

……つまり奴は、自分の体を……『金属に換える』、って言うのか。

一体どんな化け物だよあれは……!

[考察は後にしろ。二つを一度になどと人間にとって分不相応をするな。]

了解、今は逃走して次に繋げる。

[それでいい。]

夜から昼へ、再び時は転換する。

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