Fear or Comedy
その噂は瞬く間に広がった。
それこそHAJACK中にだ。
それ自体は特に対した事ではない。
殺人なんて既に許容された行為だからな。
問題なのは被害者と殺った奴、つまり殺人犯のことだ。
殺されたのは魔術師。
殺したのは一般人、らしい。
一つずつ整理していこうか。お前も手伝ってくれ。
[任せろ。]
先ず、現場はHAJACK第三地区の閑静な住宅街。
一軒家、大きくもなく小さくもない。今時珍しい鉄筋のコンクリ?だかセメント?だか知らんが、そういう造りの3階建ての家だ。
被害者は1階のリビングに、俯せと仰向けで倒れていた。
[中々上手い死に方ではあるな。一度で二度美味しいとはこの事か。]
被害者の名前は小堀弘雄、38歳。
魔術師として中の中、取り立てて特徴のない男だ。
悪魔同化を一応しており、敢えて得意な呪文を挙げるなら“操脳”。ではあるが、実際は今の俺にすら劣る使い手だったみたい。
[私も“操脳”はあまり好きではないからな。それに劣るとは、コイツは一体何をやっていたんだ?]
そんな事どうでもいいよ。
続けるぞ。被害者像は取りあえずここまで。
次は容疑者像だ。
一般人らしい。
[それはさっきも聞いた。]
じゃあ何故一般人らしいと考えるかだ。
先ず、魔術的痕跡がまるで残っていなかった。どんな微弱な物でも使えば残るし、どれだけ有能な魔術師でも全てを消すことは出来ない。
[よって、魔術師の仕業というのは考えにくい。だが、ここで一つ疑問が生じる。]
そう。いくらなんでも、殺されようとしている時に“防御”を使わないもんなのか。
魔術師なら“防御”くらい反射的に使える筈だ。
転んだ時に手を前に突き出す様に、物が飛んできた時に固まってしまう様に、殺されそうになれば“防御”は使うもんだ魔術師なら。
[その筈が、痕跡が一切無いというのはおかしいという疑問に繋がる。]
ま、それは置いておこう。
次に、この被害者は目立った罪を犯していない。
殺人は許されても、他の罪は普通に存在する。
殺される程の罪を犯していないという点から、ワレラの仕業ではない。
[大体、奴らの仕業なら死体は残っていない。]
そ。あの人達は殺した死体を送るからな。
ワレラだという可能性は完全に無しだ。
一番怪しいのはイヴだ。
これ程の“斬れ味”を持つイヴを俺は知っている。
だが、あいつが小堀を殺す理由がない。
理由がないのに、わざわざ他勢力の人間を殺したりしない。
[ただでさえ最近は相互関係がぎすぎすしているからな。無用な騒動を引き起こすなどという間抜けはせんだろう。]
その通り。基本的にイヴはIFLCが管理している。
勝手な真似をすれば村八分、制裁しか待っていない。
[つまり、他のイヴが殺ったという可能性も殆ど有り得ない。]
・・・一部例外もあるが、あれについては無視しよう。
[奴はこんな、失礼。あの様な魔術師を手に掛ける筈がない。]
だな。
以上の点に於いて、魔術師、ワレラ、イヴの殺しじゃない。
つまり殺ったのは一般人だ。
[今日日の一般人は凄いな。人を真っ二つに斬れるなんて。]
現代科学を嘗めないほうがいいぜ?
人間を二つに分かつなんて簡単さ。
相手を基準にして垂直に、ならだけど。
仰向けと俯せを同時に体現した死体。
それは、正面を向いた頭を上から見て、体を横に、そして綺麗に平行に切断された死体だった。
これは俺が最初に担当するごたごた。
そして、深く暗い淵への入り口に過ぎないモノだった。
全体設定
・兵装環装
・人口兵装
・術式兵装
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