表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第四章-新たるは欲望の彼方より-
40/106

成長の過程など結果に同列な訳もなく

{お早うございます。HAJACK第九地区に2224年3月1日の朝が来ました。今日から新年度ですね。普通学校の人達は新学年おめでとうございます。ますます勉学に、そして生活に励んで下さい。魔術学校の皆様は、ますますの進化を期待しております。それでは今日のお天気をお伝えします。今日は一日晴れでしょう。降水確率は0%。最高気温10度、最低気温7度。これ以上の詳細はお天気発信地にて確認して下さい。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240301。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240301。それでは今日も一日爽やかに過ごしましょう。}

新年度、ね。

[さりとて、生活に変革がある訳でもなく。]

普通学校にいたならば、十二年目だったが、今はW.W.Sにいるからな。

[貴様を追ってW.W.Sに入学する女児もおらず。]

……魔術師歴も今年度から数えられるからまだ一年目だし。

[女旱りも、ここまで来れば相当に相応だな。]

……おい。

[女に興味が無いならば良し。いや、興味無いから良しか。]

……おいってば!

[ん?なんだ?]

なんだ?じゃねえよ馬鹿!

厭味か?厭味なのか?

いいじゃねえか!

女旱り?大地が旱るよか一等マシだろが!

[ははは。ま、確かにな。]

たくよー……。

[はっはっは。ほれ、ジェイカー・リットネスに呼ばれているのだろう?さっさと行ったらどうだ。]

アホ、今向かってるだろうが。


「っと、此処か。」


ジェイカーに指定された、彼の部屋の前に着く。


「更月涼治です。」


扉をココンコンとノックする。


「どうぞ。」


「更月涼治、入ります。」


今時珍しいアナログの扉を開く。

中は大して広い訳でもなく、また、西洋風という訳でもなかった。


「やあ更月君。悪いね狭い部屋で。」


「いえ、ちょっと驚きましたけどね。」


ジェイカーくらいの人なら、もう少しいい部屋が提供されると思ったから。

[本人が納得しているからではないか?]

ああ、多分そうだな。


「あまり華美な部屋を与えられても鬱陶しいからね。」


「分からなくもないです。」


単純こそ至高ってな。


「さて、長話しても実にはならない。さっさと本題に入ろうか。」


「はい。」


出された座布団に座る。

目の前には卓袱台と、その上に湯呑みに入って、湯気を立てている緑茶。

そして……。


「これは、錠剤ですか?」


「錠剤、まあそうだね。」


普通に市販されている玉薬だ。

見た目は、だけど。


「それは、まあ言ってしまえばドーピング剤だ。」


「あードーピングですか……え?」


「そう。君が想像したドーピングで合ってるよ。」


スポーツマンシップに乗らないのがこの人の流儀なんだろうか。

[話し方とは似ても似つかぬ適当さだからな。案外そうなのかもしれん。]


「簡単に説明するとこれは、服用者の呪文の星を強制的に三上げる物なんだ。上がる余地がある星だけだけどね。」


「はあ……。」


……知ってるか?そんな薬の存在。

[過去に錬金術師等と自称していた馬鹿者共が似たような薬を作っていた。]

効果は?

[当然無かった。いや、一見すれば上昇していたかもしれんが、体が拒絶反応を起こし、服用者は全員が全員自滅していった。]

成る程。

改めて目の前の錠剤を眺めてみる。

……悪魔の話を聞いた後じゃ、これも胡散臭い物にしか見えない。


「ベレトに薬の事を聞いているのかい?」


「へ?あ、ああはい、そうです。」


実際は悪魔違いだが、さして問題ではないだろう。


「彼はなんと?」


「その昔に、自称錬金術師が製造したのを見たそうです。」


「ほう、それは興味深い。」


「はあ、まあそうなんですけど。服用した人は全員死んだみたいなんですが?」


……まあ、いきなり生徒に死亡通知を形にして出すとは思えんが。


「ははは。大丈夫だよ。これは私が作った物なんだ。」


「え、ジェイカーさんが?」


「そうさ。“腐食”やらなんやらを駆使してね、ってそんな嫌そうな顔しないでよ。」


俺の苦い顔を見て、ははは参ったなと言うようにジェイカーは笑う。


「体を腐らせたりする訳じゃないから安心して。仕組みを説明すると、今、君の中にある呪文の星を、精神的に“腐食”で、まあ、……溶かす。」


……やっぱり怖いだけど。


「あ、あははは。それで、“回復”と“光”の上位呪文である“修復”を使って再構築する。」


[……馬鹿な。]

ん?どうした?

[いや……ただ、この男の目茶苦茶加減に少し驚愕しただけだ。]

???

あそう?


「溶けた星は、その数を三つ増やし、修復を終える。何故増えるかと言うと、星というのは細胞と同じなんだ。ぺらぺら説明したけど、最終的に無理矢理細胞分裂を起こす薬と思ってくれればいいよ。そして安心安全は私が絶対に保証する。もし君が死んだら、私は自分の両手足に“腐食”を掛けてじわじわと腐り死ぬ事を誓おう。」


「は、はあ……。」


よく喋るなあ。

どんだけ飲んでほしいんだよ。


「えっと、一つ質問何ですけど。」


「何かな?」


「何で、そこまでして俺の星を上げたいんですか?」


多分、いや確実にC.D.Cのためなんだろうけど。


「うん。きっと分かっているだろうけど、C.D.C絡みなんだ。最近、ちょっと面倒な事が多発していてね。手はいくつあっても足りないんだ。」


「成る程。俺でもいないよりいた方がマシ、ってことですね。」


「まあぶっちゃけるとそういうことさ。確か君が足りないのはあと“操脳”と“魅惑”、そして“腐食”だよね?その三種類の呪文は、他の物理呪文に比べかなり星が上がりにくい。」


だからチートを使おって訳か。

[嫌か?]

いや、別にその考えは嫌いじゃない。

俺はチート使ってゲーム楽しんじゃう方だからな。

銃乱射、歩道が空いているではないか……。


「どうかな?」


「……分かりました。飲みますよ。」


やるならやるで、さっさと危ない事に身を投じたいからな。

[そして殺るんだな。貴様も中々面白い考えを持つ様になった。]

いや、殺りはしないから……。


「おお!ナイス更月涼治!ワンダフルかつエクセレント!」


「お、おう……。」


この人の沸点は理解できない……。


「ではでは、緑茶でグググイーっといってみてください。」


「は、はい。了解です。」


右手に錠剤を、左手に湯呑みを構える。

玉薬ってーのは口に含んだらさっさと飲まないと、地獄の苦みを感じるからな。

いくぜ……!

右手を素早く動かし、錠剤を口に放り込む……!

さらに、左手の湯呑みを、お茶が零れぬよう清水の如く平行に移動させる……!

そして緑茶を……!?


「ぶあちゃっ!?」


温井、じゃないや、熱いじゃないですかこのお茶!

[そうなのか?]

熱い。そらもう舌の細胞が死滅するレベルで……が!?

ヤバい……薬が溶けはじめ、オェ……。


「大丈夫じゃないみたいだね更月君。」


ジェイカーが、苦笑しつつ差し出してきた水を受け取る。


「あ、ありがちょ、ござま……んぐ。」


ありがたく受け取った水を一気に口に含む。

そのまま口の中の全てを嚥下する。


「……。」


―――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ