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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第四章-新たるは欲望の彼方より-
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事件の一

<はいはい。>

<成る程。>

<分かった。><はい、はいはい。>

<了解、はい、はい、分かりました向かいます。>

<って向かってるけどね現在進行形で。>

<ああ、Quick使ってな。>


「よっと。」


目の前の柵を飛び越える。


「お、やべ。Speed。」


飛び越えた瞬間、右の方から車が曲がってきた。

こりゃ危ないと時を止める。

すみませんねドライバーさん。

以後気をつけますが、今は急いでるんで。

道路を渡り終えたところでSpeedを解く。

<いや、ちょっと車に轢かれそうになっただけだ。>

<ああ、もう……お。見えた見えた。>

黄色と黒のコントラスト的な立入禁止テープが見える。

そしてその中で忙しく動いている人達がいる。

一人だけ突っ立っている奴もいるが。

もう急ぐ距離でもないのでQuickを解く。

全く……変な世の中だぜ。

殺人が許可されているので、警察は殺人事件の捜査をしない。

だが殺人は起こる。

その皺寄せがIFLCにくる訳だ。

……殺しをするのがイヴに多いってのがあるが。

ワレラみたく、死体を残さない様にしてほしいわ。


「よ、直太。」


テープの前に着き、突っ立っている直太に声を掛ける。


「よー。悪いな呼び出して。お前が一番近くにいたもんでな。」


直太が、吸っていた煙草を重力で圧縮し、携帯灰皿にそれをいれながら振り向く。


「別にいいよ。特別給をちゃんともらうからな。」


「そうしとけ。じゃあ取りあえず状況を説明する。さっきも言ったが、まあ現物を見ながらの方が分かり良いだろう。」


直太が親指で背後を示す。

そこにあったのは皮だ。

革ではなく皮、所謂皮膚だな。

人間状のぺらっぺらの皮が地面に落ちている。


「これはまた凄いな。中味は何処に行っちまったんだ。」


「さあな。何にしても自己中心的な中味だったに違いない。さて、この皮の正体は伊那(いな)嶺師(ねし)、38歳。この辺に住んでた一般人だ。死亡推定時刻、もとい中味が家出した時間は、大体8時間くらい前。つまり2月29日、午前2時頃だな。」


「ふーん。変な名前だな。」


だから中味も愛想尽かして出てったんかね。


「残っているのは皮膚と爪と体毛のみ。他は血の一滴まで行方不明だ。」


「成る程。どう考えても人外の仕業だな。」


「頭がいかれてなきゃ誰だってそう考える。問題は誰がやったかだ。」


そうそう。

これが、俺達IFLCが殺人事件なんかの捜査に首を突っ込む理由だ。

事件自体はどうでもいい。

赤の他人がいくら殺されようと関係ないからだ。

肝心なのは犯人の所属だけ。

IFLCか、ワレラか、そしてW.W.Sか。

そこが肝心なのだ。

俺達、まあ特にIFLCとW.W.Sだが、表面状敵意など欠片も持ち合わせていない。

が、実際はいつ衝突してもいいようお互いに力を蓄えている。

強大な力が3つもあれば、そのうち均衡が崩れるかもしれないってのは、誰だって考えうる事だろ?


「ワレラではなさそうだな。あいつらが死体を残すとは思えないし、残すにしてもこんな中途半端には残さんだろう。」


「確かに。今すぐにでも圧縮したい気分だからな。」


「それは調査が終わってからにしろよ。で、魔術的痕跡は?」


「それが無いんだ。つまり、魔術師の仕業というのも考えにくい。奴らは基本的に体術を使う。“攻撃”、“防御”、“強化”、“操脳”、“魅惑”、“壊死”。どれも基本的に物理的要素を伴う。魔術と呼ぶにゃどれもこれもお粗末なもんだ。ちげえか?」


「そうか?どれもこれも強力だと思うけどな。」


“攻撃”は達人的な攻撃を放つ。

“防御”はあらゆる衝撃を防ぐ。

“強化”はBB弾を実弾並の威力にする。

“操脳”は生き物を操る。

“魅惑”は相手の隙を生み出す。

“腐食”はあらゆる物を腐らせる。

戦いたくなんてねえな。


「まあ何にしてもだ、呪文を使えば、賢者みてえな野郎でも魔術的痕跡を残してしまう。それが無いってことは、魔術師の仕業というのも考えにくい。」


「魔術師か……。」


そういえば……。


「あ?どうかしたか薫?」


「いやさ、俺魔術師とパイプ繋がったんだった。」


「へえ。そりゃいいや、今後のために。」


「つってもまだ入学1週間とかだけどな。」


……いやしかし、適正審査1000オーバーなら或いは。

C.D.Cに入ってもおかしくはない、か。


「取りあえず状況は分かった。少しばかり行きたい所が出来たから、行っていいか?」


「おう行ってこい。どうせ後は片付けだけだ。実物をお前に見せることが出来たからな。」


「了解だ。じゃあまた。」


「おう。」


Quick。

体を加速させ走り出す。

目指すはW.W.S。

会うべき奴は更月涼治だ。

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