Strike
今日受ける最初の授業は“攻撃”でござる。
[講師の名前は、深宮厳迩。情報によれば筋骨隆々の熱血漢らしい。]
熱血ね。言っても大概だろうよ。
[どういう意味だ?]
このご時世、最早怒鳴る事に何の意味もないなんて事は、その辺の虐待野郎共でも分かることだ。
怒鳴る事で得る物と言えば、開放感と、相手の怯えと鬱憤だけだからな。
[成る程。では怒鳴られる事はないと。]
多分な。
「授業を始めるぞ!」
……当てが外れたかも。
[どうせなら、ジェイカー・リットネスかベルサーチ・マリオネットに探りを入れておけば良かったのではないか?]
阿呆。お前が思っている程、俺は彼らと仲良くなっていないよ。
漫画じゃあるまいしな。
[そうか?]
そうさ。
ほら、授業が始まるし黙れ。
「“攻撃”について授業を行う。さて、先ず“攻撃”とは何か。所謂物理攻撃呪文だ!分かるか!物理攻撃なのだよ!」
おい……この人の沸点が分からんぞ。
[私にも分からぬ。]
「ただ、これで攻撃する訳ではない。あくまでもこれは前段階だ。“攻撃”を唱えた瞬間、何処からともなく拳が降ってきて、それが!打撃を与える!かと思ったかこの野郎てめえ!」
一体誰と話して、誰と戦ってんだあの人。
[私にも分からぬ。]
「“攻撃”は自らの体に攻撃体勢を宿すモノだ。そして“攻撃”を掛け、右ストレートを……はっ!」
深宮が、教壇からこちらに向け右ストレートを放ってきた。
一番前列にいた奴が反り返る。
二列目の奴も反り返る。
最後列にいた俺には軽い風が届いただけだったが……。
無茶苦茶やるなあの人。
[相当だな。実技は第三科だろ?物凄く先走っているな。]
「とまあこんな具合だ。今のは“攻撃”を二十掛けて、一気に一撃として放ったのだ。一ではこんなことにはならんから安心しろ。」
当たり前だろ。
一々あんなことになっていたら大変だ。
「私の様に鍛練を積み、王悪魔と同化すれば、今のように風圧で相手を圧倒出来るぞあっはっはっは!」
[ふん。王悪魔だと?名を冠しているならいざ知らず、基本程度で何を威張っているのだ奴は。]
いや、別に威張ってはないと思うぜ?
[星二十ごときでうだうだ言っておるのだぞ?それが威張っていないのであって何なのだ?]
はいはい分かった分かった。
その後、悪魔のぶつぶつ文句を言う声と、“攻撃”から筋肉についての講義に転換した授業に挟まれ、俺は若干ノイローゼ気味になったとさ。




