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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第二章-始まりを紡ぐ-
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模擬戦闘(仮)

一通りの閑談も済み、そろそろ何時もの声が上がる空気だ。


「よっしゃ、そろそろ飲み行くぜ飲み。」


「おう!待ち侘びたぞエルステッド!」


エルステッドが飲み屋に行く合図を出し、それに千石勝汰が賛同する。

何時ものパターンで、何時も通りの展開だ。


「オーソドックスこそ至高ってね。行こ頼ちゃん♪」


「うん!」


凜が頼子ちゃんの手を引き、他の奴に先んじて会議室を出ていく。

それに続き、皆が部屋から出ていく。


「俺らも行こうや薫。」


「ああ。」


ん?

太一と直太が何やら話している。


「―――でみや――――――。」


「……成る程。」


……でみや?

でみや、でみやでみやでみや出宮か?

その二人は裏口から出ていってしまった。

そしてどうやら、それに気づいたのは俺だけの様だ。


「どうしたん?」


「いや……先に行っててくれ。ちょっと大蔵に話があったんだ。」


「そうか?なら先に行っとるわ。」


「ああスマンな。」


宗司を見送り、太一と直太の二人を追うため裏口から出た。

当たり前だが、既に二人はいない。

耳を澄ませ、足音を探ってみる。

……聞こえない。ならばと、ベリネを使い脳を刺激。聴力を通常の倍にする。

これ痛いからあんまりやりた、お!

聞こえた。

廊下の左の終端にある階段を降っている様だ。

微かにしか聞こえない、これはかなり下まで行っているな。


「……仕方ない。光よりは遅い。でも速い“Quick”。」


Quickを使うことで7倍速で動く。

これなら直ぐに追いつくだろう。

一番下まで降りるとなるとかなり疲労するがな。

その心配は直ぐ払拭された。

足音が階段を降るのを止め、廊下を歩き出したのだ。

Quickを解き、壁に張り付きながら様子を伺う。

……第四十七会議室か。

二人が扉を開け中に入っていく。

……確かここには部屋の中にまた一つ、部屋があった筈だ。

なら、時間を加速させろ“Speed”。

時を止め、さっさと部屋に入る。

直太がいるから急げ!

そして奥の部屋に入る。

扉を閉めた瞬間、Speedは切れ、時は流れを取り戻した。


「本当に来るんだな太一?」


「ああ。正式な依頼を無下にするなんて阿漕な真似しねえって。」


依頼……恐らく出宮を直太に会わせるって依頼だろう。


「で、何の用だ直太ァ?」


「……いきなり出てくるな。」


いつの間にか、長机の上に座る17くらいのガキがいた。

多分『真理の国』から出てきたんだろう。


「まさか、今更組むのに賛成って訳でもねえだろ?」


「当たり前だ。以前の俺ならいざ知らず、重力の枷を剥ぎ、人格の再構築を終えた、人を殺さない事を旨とする拷問師がお前なんかと手を組むわけないだろ。」


「ハ、アハハハハハハハ!詰まんねえ、詰まらなさ過ぎるぞ直太ァ?何でそんなに堕ちたんだよ全くアハハハハハハハ。」


どう考えても昇ってるだろ。


「フ。じゃあ一体何で呼んだァ?まさか、仲間にならねえ宣言だけしたかった訳じゃねえだろ?」


「当たり前だ。でなければ、わざわざ太一に頼んでまでお前を呼ぶわけないだろ。『重力という重苦しい枷は、人間が宇宙に羽ばたくのを防ぐと共に、大地の離反も許さない』。」


げ。

いや、予感はした。戦うだろうというな。

しかしこりゃマズイ。

太一が戦うなら未だしも、直太が戦うとなるとマズイ。

大体やるならIFLCを出た方が良いだろ。


「いい。イイネその意気!最近孤立やら悪やらすら襲ってこないからな。凌駕すべきは人ではなく世界 “World”。斬れぬ物など無い刀。有るならばそれはこの世の物ではない“Swords”。」


出宮の瞳が、金色と鋼色の半分になっている筈だ。


「……“ボーリョクジュウル”。」


「はん。殺しをしないってえのに、んな危険なボール使うのか?ハハハハハ!正に矛盾の塊だぞ!アハハハハハハハ!」


“ボーリョクジュウル”とは、重力を球体化し相手にぶつけて攻撃するモノだ。

ぶつけるなんて可愛く言うが、大分えぐい技だ。

乱回転しており、更に回転している向きに重力負荷がかかっている。それにより、重力の刃を形成している。

直接球に当たらなくとも、斬られる可能性がある。当たれば切り刻まれ、更に開放される重力の芯からの重力負荷で潰される。

えぐい。えぐ過ぎる。


「無論使う相手は選ぶ。コレを避けられそうな奴か、殺されても仕方ない奴、その2種類にしかやらん。そしてお前は、そのどちらもある。放ってもなんら問題ない。そうだろ?」


「たりめーだろ馬鹿野郎。おら、さっさとこいよ。」


ダメだいくな。

俺がこの非常口からでるのをま―――


「言われなくてもいってやるよ!」


ヤバイ!

伏せ!

瞬間、俺の上を重力が通過し、俺の背中を軽く押していった。

そして非常口を真っ二つにもした。

ヤバイって・・・。

扉の向こうはまだ静かだ。

戦闘音は聞こえない。


「どうした?何でボールしか撃たん?んなもんいくらでも切り裂いちまうぞ?」


「疑問が多い奴だ。部屋の中で本気を出せる訳ないだろボケ。」


うむ正論だ。

ボケは余計だがな。


「じゃあ外に行くか。『火となり灰となれ』、“千刃の谷”。」


「ちょ!馬鹿止めろいでみ―――」


太一の制止虚しく、出宮が放った千の刃は壁に突き刺さり、爆発した。


「っ・・・?あれ?破片が飛んでこない?」


「大丈夫か薫?」


眼前にあった筈の壁は、爆発により崩れ去っていた。

ならば、俺に破片が襲い掛かってくるのが当然だろう。

その襲い掛かってくる予定だった破片は、全て床に散らばっていた。

どうやら直太が重力を使って落としてくれた様だ。


「あ、ああ。ありがとう直太。いるのばれてたんだな。」


「当然。」


「あ?おお木更津薫。」


「違う如月だ!」


その間違え方は以前の直太の専売特許だぞ。


「ああ糞出宮!やるなら外に行け。」


「ハハハハハ怒るなよ太一。てめえが創った壁が壊されたからってよォ。」


「怒るだろ普通。下行くぞ。纏う重力。完全なる圧死。そして切断“TrampledToDeath”。」


直太を重力が包んでいく。

さながら黒い鎧だ。


「アハハハハハハハいいぞ。ついて来い!」


出宮が、穴が空いた壁に飛び込み落下していった。

次いで直太も落下していった。

俺も続きたかったが、此処はまだ8階だ。

常人が自発的に飛び降りていい高さは3階が限度だろ。

ま、受動的なら何階からでも構わない。だってそれ完全に殺しに掛かって・・・と、どうでもいいか。


「ほら、エレベーター創ってやるから見てこい。俺は壁直さなきゃならんからな。」


「お、ナイス。」


出現したエレベーターに―――


「じゃあ行ってらっしゃい!」


ガンという音と、少しの衝撃が伝わってきた。

……は?


「ちょっとまわあああああ!」


エレベーターは急落下した。

俺は絶叫マシン嫌いなんだよ!


「く、おわ!?」


そして急停止。

内臓が持ってかれそうだった……。


「やっと来やがったか如月ィ。遅えんだよ馬鹿。」


「……あ?わざわざ待ってたのか?」


「出宮が、観客がいた方が盛り上がるだろ?とかほざいたからな。」


黒い鎧から声が聞こえてくる。

何時もより低く、重っ苦しい声だ。


「あっそ。じゃあいいぜ始めてくれ。」


「言われずもがな。」


「アハハハハハハハ。行くぞ直太ァ!」

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