Second
{お早うございます。HAJACK第九地区に2224年2月25日の朝が来ました。今日のお天気をお伝えします。今日は概ね晴れでしょう。しかし気温が低く冷たい風が吹きそうです。防寒具はしっかり着用して外出しましょう。降水確率は30%。最高気温4度、最低気温-3度。これ以上の詳細はお天気発信地にて確認して下さい。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240225。アドレスは、hmjc://wws.otenki-hasshinti/22240225です。}
[起きたか。]
……ああ。
体中が痛い。
おまけに冷たい。
一体俺は……どう、なっちまったんだ?
[深夜3時48分36秒、貴様は寝所をベッドから床に変えた。ただそれだけの事だ。]
成る程。説明ご苦労。
目を開けば、確かにベッドと並んで横たわっているのが分かった。
床の硬さと寒さで強張った体を起こし、伸びをする。
「……っふう。あのさ、落ちたのに気づいたのなら起こしてくれよ。そうすりゃ朝をハッピーに迎えられるんだから。」
[随分気持ち良さそうに寝ていたのでな。貴様、案外望んでそっちに行ったのではないか?]
「そういう深読みはいらないから。次からは起こしてくれ。」
[了解した。]
契約した所で下に向かうことにした。
一昔前はどうだったか知らんが、今の家屋の断熱は凄まじい働きを見せてくれる。
エアコンなど点けずに冬を過ごすことはよくある。
炬燵は永遠に不滅だがな。
朝の諸々の準備を済ませ、家を出た。
「う……。寒風吹きすさぶとはこのことか。」
[“火”を使ってやろうか?不可視の火、燃えぬ火くらい出せるぞ。]
いや止しとくよ。目立つ可能性もあるだろ。
[嘗めているのか?他人にばれない様使うなど朝飯前だ。]
それでもだよ。それに、少し経てば服が順応してくれる。
まだあーだこーだ言っている悪魔の戯れ事を聞き流しながら、歩を進める。
今日は何の授業を受けようかな。
[昨日の今日なのだから、ジェイカーの“腐食”を受けたらどうだ?]
“腐食”か……。
[乗り気でないなら別に無理強いはしない。]
いや、そういう訳じゃないけど。
やっていたら受けさせてもらおうかな。
やってなけりゃ他の面白そうな授業を受ければいいし。
[そうだな。私も現代に呪文が、どういう具合で伝わっているか気になる。いや、確かめねばならぬ。]
結果から言って、ジェイカー・リットネスの腐食講座は開催していた。
さあ、本当の意味での初授業だ。