君は存在のあやふや
悪魔にも天使にも言える事だが、彼等には二種類ある。
それは善か悪かである。
勘違いしてもらっては困るのだが、悪魔はイコールで悪ではないし、天使はイコールで善ではない。
良い悪魔、というと若干の語弊があるかもしれない。
確かに良い悪魔ではあるが、人当たりの良い悪魔だ。善、とは言えないな。
天使の場合、良い天使はイコールで善だし、悪い天使はイコールで悪だ。
そして悪い悪魔はイコールで悪。
悪ははっきりして逆に清々しい。
俺はそれを知っている。
4歳の頃貰った魔術の本で知ったんだ。
父親が、電磁工光学成形社の社長である田中太一から貰った物で、俺の誕生日プレゼントに、とくれたらしい。
タイトルは“ディアボロリブリ”。主に悪魔について書かれた魔術書だ。
天使については申し訳程度しか書かれていない。
ディアボロリブリには、基本的な悪魔の種類である煉悪魔や王悪魔の説明や、名を冠している強力な悪魔やらが載っている。
そして名を冠している悪魔は、召喚され、誰かと同化している場合、右下に小さく現世と記入してある。
この情報は随時更新されていく。
さて、ここまではほんの前置き。
本題はここから。
ディアボロリブリの最後のページには、妙な悪魔が載っていたんだ。
は?うるさい、ここは俺だけでいいの。
……おほん。ランク0、名前無し、絵も無し。シルエットも無し。
見るからに妙な悪魔だ。
幼い知識欲から来る好奇心がコレに食いつかない筈がない。
悪魔の召喚は別に難しい事ではない。
悪魔の種類か、名前を知っており、それが記載されている魔術書を持っていればやれる。
後は魔術に対する基礎知識と、魔術の才能。これだけあればどんな悪魔でも召喚し、同化する事が出来る。
俺の場合、4歳の時点でクリアしていた条件は名前と魔術書だけだった。
そこで、俺は根気強く待つことにした。
図書館に通って、魔術に触れた本を読みあさる事で基礎知識もクリアした。
けれど最後の条件、魔術の才能は勉強だけではどうにもならない。
仕方ないから俺は、取りあえず召喚動作を行ってみたんだ。
そしたら出来ちゃった訳だね。
いやー全く驚いたよーだってね、まさk―――