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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第七章-真実操作-
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洗練すべき加工の修復

「完全は愛すべき象徴。修復は美しい。“洗練すべき加工の修復(サイコウチク)”。さあ甦れ。代わりに私は幾筋もの命を受ける。」


……何処からか声が聞こえる。

多分男。いや女かも。

何にしても、俺の体から痛みは消えた。


「……おかしいな。魂だけなのに痛みがあったのか。」


「お早う涼治君。気分は爽快かな?」


「ん……んん?毬か?」


戻ってきたのか。

という事は魂だけでも眠れた訳だな俺。

[何を馬鹿な事を言っている。戻ったのは貴様だ。]

え?

言われてキョロキョロと辺りを見渡してみる。

……確かに此処はいつもの世界みたいだ。

金石の家があるのが何よりの証拠だな。


「良かったな更月涼治。失った片足を取り戻す事が出来て。」


「……ネフィリム。」


正面に目を戻すとそこにはネフィリムがいた。

……特に感情を表に出しているという事はないな。


「それは孝の両腕を切断し、センマイカを殺した事に対するボーナスだ。有り難く受け取っておけ。」


「……あんたはそれで良いのかよ。」


「……何?」


[おい、場がこれで治まっているのだ。馬鹿な事は止めろ。]

うるさい。


「スマタカシの両腕は俺を直した奴が直すかもしれない。けど!センマイカは死んだんだぞ!?何でそんな冷静でいられるんだよあんたは!」


「……言った筈だ。殺されても文句は言わないと。男に二言は無い。」


「そりゃそうかもしれない。でも……センマイカはあんたの仲間だったんだろ!?」


「その通り。」


「なら……。」


ならなんでそんなに冷静でいられるんだよ……。

有り得ない、有り得ちゃいけないそんな事は……。


「俺も悲しくない訳ではない。センマイカは俺の良き友だった。だからこそだ。奴も俺と同じく文句は言わない。ならそれを、その矜持を、守ってやるのがあいつに対するせめてもの手向けだ。」


「……そんなのは屁理屈だ。それで死んだ奴が喜ぶなんて……。」


「屁理屈で結構。この世はそれで構成されているのだからな。」


く……。

[……やれやれ。]

駄目だ、俺。

こいつには勝てる気がしない。

[当然だろう。シェミハザと同化しているやもしれん相手なのだ。ベレトの術式兵装だけでは力不足に尽きる。]

そういう事じゃないよ……。

あらゆる面で、こいつには勝てない。


「仲間の死は元より、敵の死まで負おうとする。それでは真実に辿り着く前に潰されるぞ更月涼治。」


「……煩い。」


「今の君は俺に勝てないと思っているが、全く以てその通り。君程度の魔術師では俺に勝つなど到底不可能。今の状態では然も有りなん。そこでだ、更月涼治。」


「……なんだよ。」


ネフィリムが来ていたスーツのジャケットを脱ぎはじめた。

上着を投げ捨て再び話し掛けてくる。


「その可能性を極限まで無にしてやろう。ベレトの箱庭に俺を招待しろ。」


「え?」


“ロード・デス・ウォーヘル”に……?

一体何を考えているんだ?

[……成る程。良かろう許可する。招け。]

は?

お前まで何を……。

[分からんか?奴は手の内を晒すと言っているのだ。]

……何でそんなことを。

[さあな。もしかすると奴は、貴様とは戦いたくないのかもしれん。]

それってどういう―――


「ベレトか悪魔との相談は済んだか?早くしてくれると有り難いんだが。」


「……分かった。あんたを招く。44の軍勢、無限であり夢幻の攻域。最高末路の生き地獄、解放にして開放の死路。準備は出来た。最上の待つ戦争を辿れ。“ロード・デス・ウォーヘル”。」


……そして、俺に“倒される”ための準備をしろ。

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