第5話
「おい、大介!」
唐木を何とか追い払った俺は、ニヤニヤしながら近づいてきた大介に声をかけた。
「ん?」
「ん?じゃねーだろボケ!一体あれ、どーゆーつもりだよっ!」
水島の真っ赤になってた頬を思い出す。
胸が熱くなった。
「何?嫌だったん?」
まだ大介の顔はニヤついている。
すごくむかついた。
「…嫌って訳じゃ…ねぇけどよ…」
半分俯いた気持ちになる自分が嫌で。
大介だけじゃなく、自分にもむかついた。
そんな俺を見て、大介は口を開き始めた。
「俺さぁ、小学校の頃まで、お前の事恭ちゃんって呼んでたじゃん?」
…だったっけ。
まぁそんな感じだったとは覚えてるけど。
「で、なんとなーくそれ思い出しさ。水島に呼ばせたときのお前のが見たくてよぉ」
悪趣味なヤツめ…。
「水島に、じゃんけんして、俺が勝ったら俺の言うこと一つ聞いてもらっていい?つったら、あの子純粋だからさ…何も疑わずにいいよって答えたんだよ。で、結局俺が勝って、呼ばせてみたワケ。オッケ?」
何がオッケ―だ。
ふざけんなっつ―の。
俺で遊ぶな!!!
「お前さ、合コン来てるんだから、人のことじゃなくて、自分の彼女探せよ」
俺が呆れたように言ったら、大介は普通に答えた。
「だってお前たち見てるほうが楽しいもん。マジおもろい」
ハァ…。
ま、大介らしいといえばそうだが…。
俺は小学校の頃から全然精神年齢が成長していない大介に何となく安心した。
そんな俺の気持ちに気付いたか気付かなかったのか、アイツは、
「俺ってまだがきだよなぁ」
と、一言つぶやいた。