第4話
…ウザイ。
「ねーねー、いーじゃん。一緒に歌おうよー」
ただいま、同じクラスの唐木佐奈に、めちゃくちゃ強引にカラオケを一緒に歌わされようとしています。
「だから、俺、歌苦手なんだって…」
さっきからそう何度も言ってるのに、彼女は一向にそれを聞こうとしない。
全くなんだってんだ。
人の話はちゃんと聞こうって、小学校の時習わなかったのかよ。
「大丈夫だって、私が一緒に歌うんだからぁ」
カンケーねぇっつーの。
おめーが歌おうが歌うまいが、俺は絶対歌わねぇ。
「いーじゃんよー!」
あーー!!!誰か俺をコイツから助けてくれぇ!!!
しかも腕に触ってくんなぁ!!
そう、思ったときだった。
俺の真正面の、少し離れたところから、優しい、今にも消え入りそうな声が聞こえてきた。
「―――――――――恭ちゃん」
「え……?」
一瞬、周りの音が消えた。
俺の、心臓の音しか、聞こえなかった。
―――――――声を発したのは、頬を真っ赤にして俯いている、水島明菜だった。
その隣には…大介?
…何なんだ?
一体大介は何がしたいんだ?
俺の疑いの視線にやっと気づいた大介。
彼はニンマリと、白く小さな歯を見せながら、俺に向かって大きくピースした。
…はぁ!!??
俺の腕には、まだ唐木がしがみついていた。
「何々ー?どーしたの?」
アホかお前は。
本気でそう思った。
ちゃんと状況ぐらい飲み込んどけって。
俺は思いっきり唐木をシカトした。
――――――やっと顔をあげた水島の頬は、まだとても赤くて。
なぜかその顔が、とても愛しくて。
もっと近くで彼女を感じたいと思った。