第3話
「ねね、やっぱ中村君、カッコいいよねぇー!!」
「……うん」
こんにちは。
あたし、水島明菜です。
今日は佐奈達からの誘いで、合コンに来てます。
ホントは、あたしなんかにこんな場所、似合わないんだけど…。
辺りの華やかさを見て思った。
あたしも、佐奈達みたいになりたかったから…。
もっと、明るい人間になりたかったから…。
度胸試しで、行くことにした。
「あ、私、中村君と歌ってこよっかなー」
隣でジンジャエールをすすっていた佐奈が、突然立ち上がった。
佐奈は今日、すっごく気合い入れてきてる。
メイクもバッチリ。髪型もバッチリ。
整った顔が、更に綺麗に、輝いて見える。
それに比べてあたしは…
メイクもそんなにできないし、髪なんかもいつも通り。
どこをどう細工すればいいのかわかんなかったし、とりあえず、リップクリームだけ付けてきた。
でも、そんなんじゃ全然足りないよね。
みんな頑張っておしゃれしてきてるのに、あたしだけ普段通り。
やっぱ浮いちゃうよ…。
「私、中村君狙ってるんだぁ。もーカッコよすぎ!!!」
そう言って、佐奈は中村君のとこに小走り気味で行っちゃった。
…やっぱあたしには無理だぁー…。
もう帰りたい…。
あんなふうに男の子誘ったりできるわけないよぉ…。
しかも、憧れの中村君…。
「はぁ…」
ニコニコ笑っている佐奈を横目に、あたしは一つ、小さな溜息をついた。
「水島」
「え…?」
誰かに、名前を呼ばれた。
「坂井君…?」
落ち込んでるあたしの名前を呼んだのは、坂井君だった。
今回は、明菜視点です。
次回も頑張るんで、よろしくお願いしますっ!