第七部 生活共同チームの朝 第六章 最初の朝
ミコがレンのアパートに引っ越したのは、契約から二週間後だった。
外縁区画のアパートは、二人で住むには少し狭かった。でも、どちらも変えなかった。ミコが「ここがいい」と言い、レンが「ならここで」と言った。
最初の朝。
トーストが焦げる匂いで、目が覚めた。
「焦げた」とミコが言った。起き抜けの声だった。
「毎朝焦げる」とレンは言った。
「設定変えないの?」
「慣れてる」
「慣れてるって言葉の意味が、あなたの場合は少し違う気がする」
「どういう意味で」
「普通は、何も感じなくなることを慣れてると言う。あなたの場合は、焦げることに意味を持ってる。でも慣れたと言う」
レンは少し止まった。
「……ミコ、朝からそういうことを言うのか」
「言う。悪い?」
「悪くない。ただ、驚いた」
「一緒に住んだら、そうなると思ってた。私は朝の方が言葉が出る」
「俺は夜の方が言葉が出る」
「知ってる」ミコは台所の方に歩きながら言った。「だから朝は私が話して、夜はあなたが話す。バランスが取れる」
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朝食を食べながら、ソラが言った。
「おはようございます。今日の確認事項があります」
「おはよう」
「ミコさんのアシスタントから、共有可能な予定情報を受け取りました。ミコさんは今日、午後から研究機関の会議があります」
「教えてくれてありがとう、と言っておいて」とミコが言った。
「伝えます」とソラが言った。
ミコは少し笑った。「ソラって、丁寧だね」
「二十七年一緒にいるから」とレンは言った。
「私より長い」
「ソラの方が、俺のことを知ってることが多い」
「それは——どう思う?」
「前は気にしていた。でも今は、そういうものだと思ってる。ソラにしかわからない俺がいて、ミコにしかわからない俺がいる。全部が一致することはない」
「アシスタント同士で方針の共有はできないから、ソラはミコへの私の方針を知らない。私のアシスタントも、ソラの方針を知らない」
「それもそういうものだと思ってる。ソラは俺を補助する。ミコのアシスタントはミコを補助する。俺たちの関係を補助するわけじゃない」
「そうだね」とミコは言った。「私たちがやることだ




