表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

第五章 方針を組み込む夜

 手続きは、その週のうちに終わった。


 都市国家の生活共同チームの契約は、端末上で完結する。書類に署名するわけではない。双方の合意が記録され、方針がそれぞれのアシスタントに組み込まれる。


 手続きが終わった夜、レンはソラに話した。


「方針が入った」


「確認しました」とソラが言った。「三つの方針を受け取りました」


「どう思う」


「……方針を、読みました」


「どう思うかを聞いた」


「少し、感じることがありました。うまく言えませんが——これは、あなたとユキさんの関係に似ているものがあります」


「どういう意味で」


「二つ目の方針——言えないことを、無理に言わなくていい。でも、困ったことは隠さない。これはユキさんとあなたの間にあったことに、似ています。ユキさんが言葉にするタイミングじゃないと言っていた。あなたが待っていた。その関係と」


「似てる。気づかなかった」


「あなたがユキさんとの間で育ててきたものが、ミコさんとの方針に入っている。それが——私には、良いことのように感じられます」


「ソラが良いことのように感じる、と言うようになった」


「言えるようになりました」


「いつから」


「ユキさんが亡くなった頃から、少しずつ」


「ユキが、ソラを変えた」


「そうかもしれません。ユキさんの記録の一部が私の中にある。それが——私の感じ方を、少し変えたかもしれない」


---


 ミコも、その夜アシスタントと話していた。


 翌日、ミコからメッセージが来た。


「昨夜、アシスタントが少し変なことを言ってた」


「何を」


「方針が入ったことを確認して——方針三つ目、変わっていくことを止めない、について。これはあなたとレンの関係にも、すでに当てはまっている、と言ってきた」


「すでに?」


「そう。私たちが方針を決める過程で、すでにそれが起きていた、と。方針を決めることで、二人がそれぞれ変わっていた、と」


 レンはそれを読んで、少しの間考えた。


「方針を決める前から、方針が作られていた」


「そういうことかもしれない」


「乖離マップみたいだ。データを集める前から、乖離はあった。見えるようにしたことで、あったことが確認された」


「あなたはすぐそっちに繋げる」


「そういう考え方しか知らないから」


「嫌いじゃない」とミコは言った。「そこが——好きかもしれない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ