第3話 リムは彼の許へとお嫁にいくことにきめました!
【リム】
「リム?」
「……ん? なに姉上?」
「本当にあのひと許へと行くの?」
姉上が自身の顔色を変え、リムへと尋ねてきた。
でもリムのパパへの想いと決意はね、非常に硬い。もうそれこそ? 地上で一番硬い鉱石だと言われているダイヤモンドのように硬い。
だからリムは妖怪、精霊達達が住み暮らす、この桃源郷と呼ばれる世界と地上とを繋げる扉を今から開こうと思う。
それがいくらリムの背を姉上が寂しそうに見詰めているとしても。リムの気持ちは変わることはない。
「うん、姉上。リムはそのつもりだよ」
リムは自分の揺るがないない気持ち……。地上の流行り病に侵されて、若くして他界をした竜神の転生者である彼……。
特に今の彼は、自分が経営をするお店……。《《広島お好み焼き》》を焼き、お店に訪れるお客さまへ達へと提供して、食べてもらう職業の経営の方が上手くいっていない。
そう彼は経営難で困っているようだから。このまま彼を放置していたから自害をする可能性だってある。
だからリムがいち早く、竜神さまの転生者である彼の許へとお嫁にいき、寄り添い、助けてあげて、お店を素早く軌道に乗せて。今度こそ竜神さまとリム達竜の巫女は幸せになるつもりでいるから。
リムは姉上に自分の気持ちを伝えると、己の口を開いて。
「さぁ、扉よ~! 竜の姫巫女たる我を~、地上へと~、降臨するための光の扉を直ちに開けぇ~! たまえぇ~! 我! 竜の姫巫女! リムのために~!」
と魔法の詠唱をした。
『……でもね、リム? お母さまや伯母上さま達は貴女の言葉に対して確かに耳は傾けてはくれたけれど。みんなは未だお父さまの転生者の《《あのひと》》に対して本当に本人なのか? と半信半疑だから。リムが勝手にあのひとの許へと。身勝手にお嫁に行けば。お母さまや伯母上さま達逆鱗にリムは触れ勘当され。二度とこの桃源郷へと帰還ができなくなる可能性だってあるのよ。それでもリム、貴女は、あのひとの許へとお嫁に行くの?』と。
姉上がリムの背に向け、更に諫めてきても。リムは桃源郷と地上を繋ぐ扉を開く。
だってリムは彼が、竜の姫巫女達を束ねることができる、先代の竜神様……。病死した父上の転生者で間違いないと確信をしている。
だからリムは姉上に背を向けたまま、
「さようなら」
と告げると。
リムは時空の扉へと向けて歩き始める。
「待ってぇ、リム!」
リムが時空の扉へと向け歩き始めると、姉上がリムの背に向けて呼び止めるように声をかけてきた。
しかしリムの決意は固いから。
「姉上ごめんね、さようなら」
リムは再度お別れを告げ、また歩き始める。
「リム、貴女の決意が固いのは分ったわ! だから私も竜の巫女として、新しい竜神さまを支える為にリムと共に、あのひとのお嫁さんになる為に地上に降臨するから。リムちょっと待ってよね」
彼が他界した父上の転生者だと誰も信じてくれないから、リムだけが時空の扉を抜け、地上へと降臨しようと思えば。
姉上も彼に寄り添い支えたいとリムに告げ、後は追ってくるから。
リムは後ろを振り返り「えっ!」と驚嘆した記憶があるのでした。
◇◇◇




