表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人見代行なんでも屋  作者: まっは
第3話 吾朗がいく
13/16

 交渉期限残り六日――

 吾朗は事務所でパソコンを眺めていた。ノートパソコンの液晶画面に映っているエクセルシートには、依頼内容がびっしりと詰まっている。結婚式の代理出席、ペットの散歩、買物代行など――また、年末年始を見越した依頼もいくつか舞い込み、変わった依頼が増えてくるので吾朗一人ではこなせないことが多い。だか、そうしたときは葉月の知人や単発アルバイトを雇い、しっかりと依頼を遂行していた。人を雇う分、経費がかかってしまい身入りは減ってしまうが、売り上げはほしいしきちんとこなせばリピーターになってくれる可能性もある。

 いくつかの依頼が入っているものの、吾朗の頭の中は山健組と神田組のことで埋め尽くされ、迫りくるタイムリミットを思うと、焦りと苛立ちが募っていた。そして、自分の交渉能力のなさや期待に応えられない悔しさも吾朗は抱えている。

「ねえ、吾朗ちゃん?」

 葉月が甘い声で吾朗を呼ぶ。

「ん?どうした?」

「お疲れだと思うけど、ちょっと耳にしたことがあって……」

「なに?」

 吾朗は平静さを保ちながらも、内心はドキドキしていた。大体、葉月がこう言うときは良くない話の方が多く、もしかするとデリヘルに行っていることを咎められるのかもしれない。それか、先日サラのお店に行ったことが気に入らないのか。もしくは神田に対して、葉月は彼女ではないと伝えたことに納得していのか。

「実は昨日ね……うちの店にも来たのよ」

「誰がよ?」

 葉月はヒソヒソ話をするように吾朗に近づいた。彼女から発せられるシャンプーなのか香水なのかわからない甘い香りが、吾朗の心を癒す。

「伊達組の人たちよ」

「マジ?で……?」

「面白いこと言ってたわ。これから山健のシマは自分たちのものになるってね。しかも、こっちが動かなくても神田組が全てやってくれるから、いいカモだってさ」

「それは……薄々気づいていたけ――」

「で、ここからがとっておきなのよ。知りたい?」

 葉月は吾朗の話を遮り、子供に話すような口調で訊ねた。

「知りたい……知りたくてたまらん」

「彼らね、手に入れるものを手にしたら、今度は神田組を潰すみたいよ。つまり、神田組を使って山健組をとり、最終的には神田組もとね……」

「ブタは太らせて食えってか……」

「うん。それで終いには、そんなことも知らないで根本のやつはうちと手を組もうとするなんて、バカだよなって嘲笑ってた」

「確かな話だよな?」

「私の耳を信じられない?」

「やっぱり根本は踊らされているわけか……本人が知らないところで」

「根本さんに伝えたら?友達でしょ?」

「そうだけどさ……」

 吾朗は頷きながらも、腑に落ちないことがあった。頭の回転が早く、先を読む力に長けてる根本であれば、自分たちが使われていることぐらいわかりそうなものだか――もし、本当に伊達組の真意を知らないのなら止めに入らなければいけないが、吾朗はあえて根本が騙されている振りをしていそうな気がしてならなかった。だか、そうすると――根本の狙いは何か。彼はどこを目指し歩こうとしているのか。何をしたいのだろうか。

 吾朗は頭の中にいくつものクエスチョンが浮かび、それが気持ち悪く車酔いのような錯覚に陥っていた。

「吾朗ちゃん?大丈夫?」

「うん…とりあえず連絡してみるか」

「そうねえ。よし……じゃあご褒美にキスしてくれない?」

「は?」

「それくらいいいでしょ?ね?」

 葉月がさも当然かのように目を閉じ顎をあげる。その素早い行動と瞳を閉じているかわいい葉月を前に悪魔の声が吾朗にささやく。

 キスぐらいしちゃいなよ、彼女はあんたを待っているんだから――そろそろ葉月と一緒になってもいいのかもしれないと吾朗の心が動きはじめるのと同時に――無意識に吾朗は自分の唇をゆっくりと葉月に近づけていった。あと十センチ、五センチと。だが、もう少しで二人の唇が重なろうとしたときに、事務所のドアが勢いよく開き、吾朗はあわてて葉月から離れた。

 いいところだったのに――そう吾朗は内心悔しがりながら入口に目を移す。すると、そこには思いがけない人物が立っていて、突然の来訪者に葉月といいムードだったことなどすっかり忘れ、背筋に寒気が走っていた。

「突然、すみませんね。ちょっと近くまで来たんでね」

 古川は気持ち悪いくらい愛想のいい表情を浮かべた。彼は何も言わずイスに腰を降ろし、一緒に引き連れてきた男は警護のように目を光らせている。

「はあ……いらっしゃいませ。どちら様でしょうか。ご依頼ですか?」

 吾朗は古川のことを知らない振りで訊ねた。

「おや、おや……冗談ですよね。私を知らないはずはないし、私がここに来た理由もわかっているのでは?」

「全くわかりませんがね……」

 吾朗は首を横に振りながら、古川の目的を察していた。きっとちょこまかと動き回っている自分が目障りなのだろう。古川は根本と手を組みたがっているのだから、そこに割って入ってくる吾朗が目障りなのは間違いない。

「とぼけても無駄ですよ。こちらは全て知ってますから」

「全てというのはどういうことですか?」

「あなたの全てですよ。今、あなたが山健組と神田組を繋げようとしていることとか、あなたが酒と女に弱いこと。そして、そこにいるかわいいお嬢ちゃんのことも。いいですか、人見さん。あなたが今していることは、カタギのやることではありません。これは我々の世界の話ですので、手を引いたほうがいい。今日はその忠告に来たんですよ」

「忠告ねぇ……ただ、こちらも仕事ですからね。依頼人の要望を断るわけにはいきませんよ」

 吾朗は臆することなく言うと、とっさにある考えが閃いた。現状――吾朗の感触では交渉は決裂に終わる可能性が高く、何か特別な策や案がない限り打破出来ない。しかし、相手が自ら懐に飛び込んできたのだから、この手を利用すればいいのではないだろうか。古川が何を考え、どうしたいのかわからないが、今はそのことを探るいい機会だ。そして、古川の出方によっては山健組の交渉相手を伊達組に変え手打ちの方向に進めてもいいだろう。

 吾朗は頭をフル回転にすると、主導権を渡すことを嫌いとっさに口を開いた。

「にしても……天下の伊達組がこんな田舎で暴れるとはどうかと思いますがね。大した金にもならないでしょうし、無駄な労力を使うだけでは?」

「我々は売られた喧嘩を買っただけで、非は向こうにありますよ」

 古川は鼻で笑うと、さも当然という表情を浮かべた。

「飲み歩いている一般市民には全く関係のないことですけど、このあたりで手打ちをしたらどうです?何なら自分が間にはいりましょうか?」

「結構。ヤクザは顔を大事にしますから、今更手打ちにしたら笑われますよ。もう、ここまできたら引き下がれるわけがない」

 古川の今の言葉で、全面戦争は避けられそうにもないそう吾朗は確信する。

「だけど……あなたたちがしていることはちょっと強引すぎませんか?」

「ほぉ……」

「あの伊達組がわざわざ神田組と手を組むなんて信じられませんね。どうせなら、正々堂々戦ったらどうですか?どうせいつかは神田組も食べるんですよね」

「おや、おや……何のことを言っているのでしょうか。今回、先に手を組みたいと言ってきたのは神田組の方ですよ」

「根本が?」

「誰がとは言えない」

「神田組長ですか?」

「だから、手のうちを晒すさらすようなことはしないし、言えないですよ。ただこの喧嘩に彼らが便乗してきたのは間違いないでしょう」

 吾朗はてっきり伊達組が神田組を利用しているかと思っていたが、今の話が事実ならば全てがひっくり返るだろう。さらに、古川の言い草から伊達組に近づいたのは、根本や神田ではないような気がしてならなかった。

「それで、神田組と話はまとまりそうですか?」

「言いたくありませんが、まああと少しでしょう」

「条件は?」

「そこまでは言えません。あなたは今、我々の敵ですからね」

「ごもっとも」

「しかしまあ、根本さんはちょっと喰えない男だ。頭がキレるし、未来を見据えて行動している。神田組にはもったいないくらいです」

「ヤクザも高齢化でいい人材は少ないですもんね。それに、今どきヤクザになろうなんて人はどうかしてますよ」

 吾朗は皮肉をこめたジャブを放つと、今まで黙っていた古川の付き人たちの顔に怒りが滲み吾朗を睨みつけた。

「それはともかく……根本さんは昔からあのような男だったんですか?昔を知る人見さんですから、彼のことを少し教えていただけませんか?」

 古川は余裕を見せながら吾朗のジャブをかわし、お前のことはなんでも知っているぞ――というようにカウンターにでた。

「アドバイスもなにも……友人だったのは昔の、いや大昔のことでアドバイスなんかできませんよ」

「そうですか……残念だ。まあ、さっき言ったように手を引いてくれることを望みますよ。もし、お困りのことがあればお力になりますしね」

「それなり……とは?」

 吾朗は取引を持ち出されわざとらしく首を傾げた。何を言われようが、されようが依頼人は辻であり寝返りつもりなど毛頭ない。

「決まってますよ。お金ですよ。わかっているくせに」

「じゃあ、手を引かないとなれば?」

「そうですねえ……変なことを言うと恐喝になるので言えませんが、ヤクザをなめない方がいいとだけは言っておきます。あなただけが痛い目にあうとは限らないしね」

 古川は大袈裟に視線を葉月に向け口元を緩めた。この仕草だけでも立派な恐喝罪が成立するが――

「さて、忠告はしました。これからどうするかはあなた次第ですね。今後、人見さんと会わないことを期待してます」

「それはこっちもね」

 吾朗の捨て台詞に古川は頷くと、席を立ち上がり事務所を出ていく。忠告をしないといけないくらい、古川も追い詰められ焦りがあるのかもしれない。いくら伊達組とはいえど、組同士が手を結ぶことは一筋縄ではいかないだろう。そこには、自分たちの顔とプライドや様々な思惑が渦巻いているに違いない。だが、吾朗は古川と対峙してどこか隙がありそうな気がしてならなかったと同時に、自分の肩に背負っている見えない荷物が、軽くなっていくのを意識していた。


 交渉期限残り四日――

 夕方、吾朗は根本と約束を取り神田組の事務所を訪れていた。この事務所は表向き、普通のオフィスに見えるものの、ドアを開けた途端――いかつい男たち数人が出迎え、もし知らずに入ったのなら命はなかっただろう。さらに、すみません、ちょっと道を教えていただきたいのですが、そう訊ねたのなら――地獄への道ですかと案内されても違和感はない。

 吾朗はそんな男たちに周りを囲まれながら、座り心地の悪いソファーに腰をかけ根本と向かい合っていた。

「こないだ、神田組長と会ったぞ」

 吾朗は前置きをなしに低い声で言った。

「ああ。親父はなにか言ってたか?」

 根本は話の先が気になるのか、体の重心が前にでていた。

「基本的には、山健組と手を組むのは賛成のようだ」

「やっぱりそうか」

「それで、もしお前がその気なら座を譲るってさ」

「それは本当か?」

「ああ……あとな、山健組から条件を提示された。ただ、その前に……お前、どうするんだ?トップに立てるこのチャンスを逃したら後悔しないか?ここはひとまず丸く収めて、お前は実績を作っておくべきだろう」

「それはそうだ。しかし、やっぱり条件次第だ」

「じゃあ、まず山健組は協力金として五百万円を差し出すと言っている」

「シマのことはどうだった?」

「正直、渡せないそうだ」

 吾朗は渋い顔つきで言った。今日のために辻と打ち合わせをしていたが、辻がシマを譲ることだけは首を縦にしなかった。このままではまとまるものもまとまらない――そう吾朗は思ったが腹の中に温めておいた代案を提示すると、辻はその案に頷き交渉を進めるよう吾朗に指示していた。

「実はな金の成る木がある」

「なんだ?」

「山健組と神田組で新しく会社を作るんだ。資本金は山健組が出すし、その会社の代表は神田組の人間にする。仕事は今、山健組系が請け負ってる仕事を横流ししてもらって、売り上げを手にする」

「そうきたか……山健リフォームとか山健工務店とかの仕事を新会社に流すってわけだな……考えたなあ」

 根本が感嘆の声をあげる。

「もちろん、出資は山健組だがお前の好きなように仕事を進めていいし、いずれは自分たちだけで仕事を取ってきてもいい。これを機に悪質性の高い仕事とは手を切ったらいいじゃないか。お前、ビジネスは得意なんだろ?知らんけど……」

「知らんのかい」

「なんとなくな……それに、神田組長、辻さん、古川がみんなお前のことを褒めたぞ。頭がキレるいい男だって」

「古川さんが?」

 根本が驚きを隠さず訊ねた。

「この間、うちに来たんだ。邪魔するなって忠告しにな」

「ほお……で?」

「彼らも焦ってるんじゃないか?お前とすんなり話がまとまらなくて苛ついてるかも」

「なくはない……な」

「どういうことだ?」

「あいつらの条件は今ひとつ信用ならないから俺は態度を保留してるんだ。それに、最近になってうちの中で伊達組と手を組んだ方がいい賛成派と反対派で揉めてる。だから俺は悩んでるわけだ」

「そうか……俺が耳にしたことなんだか、お前は踊らされている可能性がある。しかも、今回の話はお前から持ちかけた話なんだろう?」吾朗は、唯一無二の親友を心配しながらさらにつづけた。「これは俺の推測だが、神田組の中ではお前のことを陥れようと考えてる奴もいるはずだ。お前には泥だけをかぶせて……あとはそれを引き継ぐような感じで……どうだ?」

「まさか、そんな奴はいないと思うし、信じたいがな」

「そもそも……今回、伊達組と手を組んだ方がいいと言ったのは誰なんだ?あの古川の感じだとお前でもなければ、もちろん組長でもないだろ?」

「まあ……お前だから言うが若頭補佐の小野寺だ」

「じゃあ、そいつを洗ってみた方がいい。俺はお前が心配なんだ」

「う……ん」

 根本が唸り声をあげながら考えはじめる。

 吾朗のこうした推測は確かではないが、葉月の話と古川の言葉をまとめると、根本は誰かしらに操られているような気がしてならなかった。

「よくよく考えるとお前の話は正しいかもしれない」根本がぽつりと呟くと、つづけて言った。「実は小野寺が妙な動きをしているらしい話は耳に入ってきているし、俺にすぐにでも手を組んだ方がいいと助言してくる」

「臭うな。ひょっとしてお前の知らないところでなにか動きがあるんじゃないか?」

「クソヤローが……もし、そうならただじゃすまんぞ。それにな、俺は奴らの思惑には気づいていたが知らない振りをしてたんだ」

「どういうことだ?」

「うちが山健のシマを手にしたら、伊達組がそれを奪うだろうとな」

「は?知っていて話に乗るつもりだったのか

?」

 吾朗は先見の目がある根本のことをよくわかっていたものの、改めて耳にすると驚きが勝っていた。

「だが、そうなったら徹底して戦うつもりでいた。そのくらいの覚悟はあった。だが、もしそこに小野寺が絡んでいるのなら話は別だな。この話はなかったことにするしかない」

 根本は力強く言った。しかし今まで、信じてきた人間に騙されかけたことは腹ただしいに違いない。

「だが、これはあくまで俺の推測だ。さっきも言ったが俺は交渉を抜きにしてでも、お前が心配なんだよ」

「ありがとよ……親友」

「それで次の手はどうする?」

「辻さんに少し待つよう言ってくれるか?こっちは小野寺と話す」

「じゃあ、前向きなんだな?山健組と手を結ぶことに……」

「ああ……そして、伊達組を潰す」

「ただ、ひとつ条件をつけたい」

「なんだ?」

「さっきの会社の話だが、社長をお前がやることだ」

「はあ?バカ言うなよ」

「本気だ。お前がいればこっちは安心だし、保険の意味もこめてお前を社長にしたい。だってな……いざ蓋を開けてみたら話が違うなんてこともあり得る。お前がいてくれれば助かるんだよ」

「たしかにそうだけど……」

 もはや、根本は人間不信に陥っているのかもしれない。さらに自分が組長になったときに、ヘマをしたら求心力がなくなると考えているのだろう。

 吾朗は根本の気持ちを察しながらも、ヤクザのフロント企業の社長など到底無理なことで受け入れることはできなかった。

「一応、辻さんに相談してみるが……正直やりたくない」

「そこを何とか頼む。俺のためだと思って力を貸してくれよ」

 根本が頭を下げる。この男がこうした姿を見せるのはいつ振りだろうか。中学生だった頃、お金を貸してくれと言ったときだったか――そして、そのとき貸した千円が返ってきたかどうかは忘れてしまったが、つい懐かしさがこみあげていた。

 吾朗は、意識を現実に戻すと首の関節を鳴らしたあと言った。

「なあ……頭をあげろよ。友人だろう?」

「じゃあ……いいのか?」

「社長じゃなくて、違う形ならいい」

「たとえば?」

「そうだなぁ……アドバイザー的な役割とか。う…ん。相談役はどうだ?」

「なるほど……いずれにしても役員ポストだな。うん……それでも安心だ」

 根本が腕組みをしながら大きく頷く。

「じゃあ、辻さんに相談してみる。なあ、改めて聞くけどいいんだな?」

「ああ……小野寺はほぼ確実に俺を裏切るはずだ。あいつは許さない。あっ、少し待ってくれ」

 根本はそう言うとスマホを耳に当て話はじめた。吾朗が耳を澄まして聞く。どうやら、小野寺の居場所がわかったらしくすぐにでも連れて来るよう根本が激しく怒鳴っている。彼の表情は怒りに滲み、こめかみには血管が浮き出ていた。

 吾朗はそんな根本を眺めながら、一応話が前進できたことを辻に伝えようと思い、スマホをてにした――そのときいいタイミングで着信音が鳴った。液晶画面には辻の名前がでている。きっと辻も今日の交渉の場を心配しているのかもしれない、そう吾朗は思いながらスマホを耳にあてた。

「はい。人見です。ちょうど良かったです。お話があったので……え?はっ?襲われた?」

 吾朗の復唱した危険な言葉に、スマホを手にしていた根本が反応し顔を吾朗に近づける。

「え……組長がですか?は?根本ですか?ここにいますよ。はい、わかりました。とりあえずそちらに向かいます」

 吾朗は、あわてた様子で電話を切ると立ちあがった。

「どうした?なにかあったのか?」

「山健組の村木組長が襲われたらしい」

「なんだって?」

「しかも……目撃した人の話によると、襲った人物は神田組の人間じゃないかって」

「まさか……」

「小野寺かもしれないぞ」

「あいつ……バカが……」

 根本はこの世の終わりかのように顔面を蒼白させると、両手で頭を抱えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ