第97話 本気のシオン・決着
ジャンとルナは、全霊を込めて魔力を集中させていた。体中の魔力が、まるで暴れ出すかのように脈打つ。
「「絶対零度!」」
2人の口から放たれた言葉が、空間を凍てつかせた。
凄まじい冷気が、シオン目掛けて収束していく。
それは、あらゆるものを停止させる、氷の究極魔法だ。
絶対零度の白い光が、シオンを完全に飲み込もうとする、その直前
ジャンは、ルナの目を見た。
その視線だけで、ジャンの意図がルナに伝わる。
ルナは大きく頷くと、表情を一層引き締めた。
「シオンちゃん!これでもくらえっ!」
ルナはそう叫ぶと、立て続けに攻撃魔法を放ち始めた。
アイスストリーム、ウインドブラスト、アイスブラスト・・・・・・。
魔法の数々を、ルナが全力で、休む間もなくシオンへと叩き込む。
シオンの周りに展開されていた絶対零度の冷気が、ルナの猛攻によって一時的に攪乱される。
シオンは、ルナの予測不能な怒涛の攻撃に、わずかに対応が遅れた。
その隙を逃さず、ルナのアイスーストリームがシオンの結界膜に直撃する。
「っ!」
シオンの結界膜が、さらに大きく薄くなった。
これまで余裕だったシオンの表情に、わずかな動揺が走る。
その間、ジャンは手を合わせ、七色の光を練り上げていた。
彼の指先から放たれる輝きは、もはや眩しすぎて直視できないほどだ。
ルナの猛攻によってシオンの意識がルナに引きつけられていることを確認すると、ジャンは大きく息を吸い込んだ。
「ルナ!今だ!逃げろ!」
ジャンの叫びと同時に、ルナは魔法の詠唱をぴたりと止めた。
そして飛行魔法で、一気にシオンから距離を取る。
ルナの動きは素早く、まるで風のようだ。
シオンは、ルナの急な撤退に一瞬反応が遅れた。
「今のうちに!」
ルナは小声で言うと、シオンから身を引きつつ両手に魔力を集めた。
たちまち、柔らかな緑の光が手のひらを満たし、温かな輝きが溢れ出す。
「本当に、出来るんだ!」
喜びに瞳を輝かせ、ルナは声を弾ませる。
「ヒール!」
光が彼女の全身を包み込み、疲弊した体を優しく癒やしていった。
シオンの視線がルナを追った。
まさにその時
「レインボーアロー!」
ジャンが、両手を前に突き出した。
七色の光の矢が、空間を切り裂くようにシオン目掛けて放たれる。
その速度は、これまで放ったどの魔法よりも速く、回避は困難に思われた。
シオンの瞳孔が、カッと見開かれる。
彼女の涼しい顔は、初めて大きく驚愕に歪んだ。
レインボーアローが、シオンの結界膜に到達する、その寸前。
シオンは全身の魔力を一点に集中させ、わずかに身をひねった。
それは、紙一重の回避だった。
七色の光の矢は、シオンの身体を掠め、彼女の結界膜を貫通していく。
キィィィィンッ!
甲高い音が響き渡り、結界膜に、これまでで一番大きく、そして深い亀裂が走った。
シオンは、その場に立ち尽くし、全身から力を抜いたかのように、杖を床に落とした。
彼女の目は、ジャンの放ったレインボーアローが通り抜けた、遥か遠くの空間を見つめている。
そこには、七色の光が、わずかに残滓を残していた。
シオンは、ゆっくりとジャンの方を振り向いた。
その目には、怒りとも、悲しみともつかない複雑な感情が入り混じっている。
「お兄ちゃん!・・・・・・それは!それは反則だよ!」
シオンの声は、震えていた。
彼女は、まるで裏切られたかのように、痛ましげな表情でジャンを見つめる。
「あの魔法は・・・・・・膜を突き破るだけじゃない・・・・・・私を・・・・・・私を消してしまうんだよ!」
シオンの言葉に、ジャンの顔から血の気が引いた。
レインボーアローは、結界膜を破壊するだけだと思っていた。
まさか結界膜の内側にまで影響を与える魔法だとはジャンは思ってもいなかった。
「すまない、シオン・・・・・・そこまでとは」
ジャンの声は、後悔と絶望に震えていた。
ルナもまた、シオンの言葉に青ざめ、息を呑んでいる。
「本当に・・・・・・本当にすまなかった・・・・・・もう、レインボーアローは使わない。約束する」
ジャンは、深い後悔の念を込めて、そう告げた。
その言葉に、シオンはしばらく黙っていた。
そして、ゆっくりと、その顔から笑顔が消えていく。
「お兄ちゃん・・・・・・そんなすごい魔法を使えるんだ・・・・・・想像以上だよ」
シオンはそう呟いた。
微笑みを失った顔は、次に何を見せるのか予想もつかないほど無表情だった。
次の瞬間、シオンの目つきが、カッと変わった。
これまで見せていた遊び心や、余裕の表情は完全に消え去った。
そこに宿るのは、研ぎ澄まされた、獲物を狙う狩人のような冷徹な眼光。
シオンの全身から、今までにないほどに膨大な魔力が噴き出し、空間全体がその圧力に震える。
ジャンとルナは、その異様な気迫に思わず息を呑んだ。
「まずいっ!シオンの、本気はこれからだ!」
ジャンの声が、かすかに震える。
ルナもまた、全身に鳥肌が立つほどの恐怖を感じていた。
シオンは、落ちていた杖を拾い上げると、無言でそれを構えた。
次の瞬間シオンの杖の先から、途轍もない量の魔力が放出される。
「ファイアーボール!ファイアーアロー!・・・アイスストリーム!ファイアーストリーム!ウインドブラスト!アイスブラスト!・・・」
シオンは、ルナが使える『全ての攻撃魔法』を、一瞬の間に、しかもほぼ同時に放ってきた。
それぞれの魔法が、別々の軌道を描き、ジャンとルナを襲う。
それは、まさに嵐のような猛攻だった。
ジャンとルナは、防御か回避しか選択肢がなかった。
「それこそ反則だろっ!・・・・・・ファイアーウォール!アイスウォール!ロックウォール!」
ジャンは、シオンからの猛攻を必死に防ぐ。
だが、ジャンの作った魔法の壁は次々と打ち砕かれ、その度にジャンの結界膜が薄くなっていく。
ルナもまた、飛行魔法を駆使して回避するが、シオンの魔法は、まるで彼らの動きを先読みしているかのようだ。
「ウインドカッター!ファイアーアロー!」
シオンの魔法は、容赦なく2人を襲う。
ジャンはあらゆるウォール魔法を展開して防ぎ、ルナは間一髪でウインドカッターを避けた。
しかし、彼らの結界膜は、急速に薄くなっていった。
「ジャン!もう、もたないよ!」
ルナの悲鳴のような声が響く。
彼女の結界膜は、透明な膜の輪郭がほとんど見えなくなるほどに薄くなっていた。
ジャンの膜も、ルナと同じように薄くなっていた。
シオンは、再び、無言で杖を構える。
「ッ!」
ジャンは、歯を食いしばる。
妹の放つ魔法の精度と速度は、もはや彼らの想像を遥かに超えていた。
そして、シオンが放ったファイアーアローが、ジャンの結界膜に直撃した。
パリン、と、まるでガラスが割れるような乾いた音が、空間に響き渡った。
ジャンの体を覆っていた透明な膜が、完全に消滅する。
シオンの目が、ルナに向けられた。
その瞬間、ルナの顔が真っ青になった。
ジャンを失った今、シオンの容赦ない攻撃が、間もなく自分を襲う。
ルナは、恐怖に震えながら、両手を高々と上げた。
「ま、待って!シオンちゃん!参った!降参する!」
ルナの声が、空間に響き渡った。
彼女の全身は、恐怖と疲労で限界に達していた。
ルナの言葉を聞いた瞬間、シオンの冷徹な表情が、まるで魔法が解けたかのように、ふっと緩んだ。
そして、満面の笑顔になり、小さくガッツポーズをした。
ジャン、ルナ、そしてシオンの3人は、その場に大の字になって倒れ込んだ。
その瞬間、ルナとシオンの結界膜も消滅した。
荒い呼吸だけが、静まり返った空間に響き渡る。
全身の疲労と、張り詰めていた緊張が解けた安堵感で、誰一人として身動きが取れない。
ジャンとルナの体は、魔法の反動と疲労で鉛のように重い。
シオンもまた、全力を出し切ったのだろう、その胸の上下動は激しい。
しばらくの間、ただ呼吸の音だけが響く静寂が続いた。
やがて、一番最初に動いたのはシオンだった。
「ふぅ・・・・・・」
小さな息を吐きながら、シオンはゆっくりと体を起こした。
疲れ切った表情の中に、どこか満足げな笑みが浮かんでいる。
次に、ジャンが重い体を持ち上げた。
膝に手をつき、荒い呼吸を整える。
ルナは、まだ倒れたままで、力なく呻いている。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・シオンちゃん、降参するって言ったら、終わらせてくれて・・・・・・よかったぁ」
ルナが掠れた声で呟くと、シオンはくすりと笑った。
「うん。だって、これで目的は達成できたからね。お兄ちゃんとルナお姉ちゃんが、どれだけ戦えるか分かったし、それに・・・・・・楽しかったもん♪」
シオンの言葉に、ジャンは苦笑した。
「楽しかった、か・・・・・・最後の方ではオレたち、ほとんど防御か回避しかできなかったがな」
ジャンは立ち上がり、ルナの方へ手を差し伸べた。
ルナは、その手にすがりつくようにして、ようやく体を起こす。
まだふらついているルナの肩を、ジャンはそっと支えた。
「それにしても、シオン・・・・・・お前の魔法の練度は、尋常じゃないな。まさか、あの短時間でルナの使える魔法を全て記憶し、それを同時に、しかも完璧な精度で操るとは・・・・・・」
ジャンの言葉には、妹への驚きと、感嘆の念が込められていた。
シオンは、照れたように頬をかいた。
「えへへ・・・・・・でも、お兄ちゃんもルナお姉ちゃんも、ちゃんと私の攻撃に対応できてたじゃない。特に、最後のレインボーアローは、本当に驚いたよ。あれは、ただ結界膜を破るだけじゃなくて・・・・・・生物の存在そのものに干渉する魔法だから」
シオンの瞳に、再び、あの時の真剣な光が宿る。
「あの魔法は、触れたものほとんどを消し去る効果があって、もし直撃していたら、私はこの世界から消えてしまっていただろうね。だから、何とか回避できて、本当に助かったよ」
シオンの言葉に、ジャンは深く息を吐いた。
妹を消してしまう可能性のある魔法を、放ってしまったことへの後悔が、再び胸に込み上げてくる。
「すまなかった、シオン。本当に、そこまで恐ろしい魔法だとは知らなかったんだ」
ジャンが心底申し訳なさそうに謝ると、シオンは優しい目で兄を見上げた。
「いいんだよ、お兄ちゃん。私も、試すためとはいえ、少しやりすぎたかなって反省してる。それに・・・・・・お兄ちゃんが私のことを真剣に心配してくれてるのも、よく分かったから」
シオンはそう言うと、ふわりと微笑んだ。
その笑顔は、かつての無邪気な妹の顔そのものだった。
ルナも、ジャンの腕の中で頷く。
「シオンちゃん、本当に強いね・・・・・・私、もう全然歯が立たなかったもん」
ルナの声には、悔しさと同時に、シオンの強さを喜ぶ気持ちが混ざっていた。
「ルナお姉ちゃんも、最後は怒涛の攻撃で私を追い詰めたじゃない。あれは、本当に焦ったんだよ?まさか、あれほど集中して、複数の魔法を同時に放ってくるとは思わなかったから」
シオンがそう言うと、ルナは少し照れたように俯いた。
「だって、ジャンが目を見たから・・・・・・ジャンが何か考えてるって、すぐに分かったんだもん!だから、私にできることを、全部やろうって!」
ルナは、誇らしげにジャンを見上げた。
ジャンは、ルナの健気さに、優しく微笑む。
「ああ、ルナは本当に最高のパートナーで、最高の恋人だよ。オレの意図を完璧に汲み取ってくれた」
ジャンの言葉に、ルナの顔がみるみるうちに赤くなる。
「もう!ジャンったら、そんなこと言ったら、私、照れちゃうよー!」
ルナはそう言いながらも、ジャンの腕にそっと体を寄せた。
「でも、シオンちゃん・・・・・・本気になった時のシオンちゃんは、本当に怖かったよ・・・・・・。まるで、今までとは別の人みたいだったもん」
ルナが、震える声で言った。
シオンは、一瞬遠い目をする。
「うん・・・・・・そうだね。あれは、私の中に眠る力が、少しだけ目覚めた時だったから。お兄ちゃんとルナお姉ちゃんが、私の真意にたどり着こうと全力を出してくれたから、私も本気で応えようと思ったんだ。それに・・・・・・私自身も、今の自分の力を試してみたかった、というのもあるしね」
シオンの言葉は、どこか達観した響きを持っていた。
ジャンは、そんな妹の成長を眩しく感じながらも、同時に漠然とした不安も覚える。
シオンが持つ力の深淵を、まだ自分たちは理解しきれていない。
「ふう・・・・・。オレたちは、まだまだ未熟だな」
ジャンはそう言って、自嘲気味に笑った。
ルナもまた、うんうんと頷いている。
「でもね、お兄ちゃん、ルナお姉ちゃん。2人が力を合わせれば、どんな強敵にも立ち向かえるって、私は信じてるよ。私との戦いで、2人の絆がより一層深まったことも、きっと意味があるはずだから」
シオンはそう言って、兄とルナの顔を交互に見た。
その瞳には、2人のことを深く信頼し、そして大切に思っている気持ちが込められている。
「戦ってみて思ったんだけど、お兄ちゃんとルナお姉ちゃんって、Aクラスじゃない? もしかしてSクラスだったりして!?」
シオンが首をかしげて尋ねると、ルナは待ってましたとばかりに胸を張り、自慢げにプレートを取り出した。
「ふふん、ちゃんとAクラスだよ!」
きらりと光るプレートを見たシオンは「すごい!」と感嘆の声を上げる。
するとジャンが苦笑しながら
「すごいって・・・・・・そのAクラスを簡単に撃破したやつがここにいるがな」
と言ってシオンを見る。
ひときわ大きな笑い声が響き、みんなの顔がほころんだ。
ルナは興奮冷めやらぬまま、ぱっとシオンの方へ駆け寄る。
「シオンちゃん!聞いてよ!わ、私、ヒールが使えたんだよっ!」
シオンは驚きよりもむしろ納得したように、穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「やっぱり・・・・・・そうだと思っていたよ。ルナお姉ちゃんなら、必ずできるはずだって。ほんとうに良かった」
そのやり取りを見ていたジャンが一歩近づき、照れくさそうに口を開く。
「すごいじゃないか、ルナ!!お前の頑張りが、ちゃんと力になったんだな」
褒められたルナは、恥ずかしそうに笑いながらも胸を張って、皆に自慢げに見せるように両手を突き出した。
その小さな仕草に、場の空気はさらに温かくなっていった。
「シオンが言う通り、きっと意味があるはずだ。オレたちは、もっと強くなる」
ジャンの言葉には、固い決意が宿っていた。
ルナもまた、ジャンの腕の中で力強く頷いた。
「さてと、そろそろベルトランの所に戻るか。あいつのことだから、オレたちが何をしているか、きっと分かっているだろうしな」
ジャンがそう言うと、シオンはにこりと笑った。
「うん。おじいちゃんなら、きっと全部お見通しだよ」
3人は、再び顔を見合わせ、顔を交わした。
疲労困憊ではあるが、彼らの心は、不思議と満たされていた。
「お兄ちゃん、ルナお姉ちゃん。私の隣に来て」
シオンの静かな声に、ジャンとルナは思わず顔を見合わせた。
何をするつもりなのか?
疑問を抱きながらも、2人は彼女の隣へ歩み寄る。
「はい、手をつないで」
促されるままに、ジャンはシオンの左手を、ルナは右手を取った。
3人の手が重なった瞬間、シオンは真っ直ぐ前を見据え、小さく告げる。
「行くよ」
ジャンとルナは、わけが分からないままシオンを見つめ返す。
その視線を受けながら、シオンはにこりと笑い、短く詠唱した。
「転移!」
光が弾け、視界が一瞬で白に包まれる。
まばたきをした次の瞬間、3人は再びベルトランの前に立っていた。
「て、転移魔法!?」
ジャンは息を呑み、目を見開いた。
仲間を連れての転移・・・・・・古文書で読んだ理論とはまるで別次元の術だ。
ルナも、目をきらめかせて声を上げる。
「すごい!シオンちゃん、すっごーい!」
はしゃぐルナを横目に、ベルトランは穏やかな眼差しで曾孫娘のシオンを見つめた。
「2人はどうかね、シオン?」
ベルトランの問いかけに、シオンはほんの一瞬だけ言葉を探し、それから小さく首を振った。
「まだ早いと思う。まだ今は早いかな」
淡々と告げる声音には、深い憂いが滲んでいた。
しかしジャンはすぐに反発する。
「そんなことはない!今回は疲労が重なっただけだ。万全の状態なら、オレたちは問題なくやれる!」
ルナも力強く頷き、胸を張って言う。
「そうだよ!私、もっと戦えたし・・・・・・次なら絶対に大丈夫!」
楽観的な態度を隠さない2人の言葉に、ベルトランの眼差しはわずかに険しさを帯びた。
「ジャン、ルナ。・・・・・・シオンの判断に従うように!」
静かに告げられたその声には、揺るぎない重みがあった。
シオンはベルトランの言葉に支えられるように、安堵の笑みを浮かべて頷いた。
一方でジャンとルナは、視線を交わし、その言葉に納得できないようだった。
なぜシオンに従う必要があるのか。問い返そうとした瞬間。
「表の世界では、きっとかなり時間が経ってるはずだから、私たちは行くね、曾おじいちゃん」
シオンがそう言って見上げると、ベルトランはゆっくりと頷いた。
「また、いつでも来るがよかろう」
その返事を受けて、シオンは再び2人を振り返る。
「はい、お兄ちゃん、ルナお姉ちゃん。もう一度、私の隣に来て」
「わーい!また転移魔法なんだね!」
ルナはまるで遠足前の子どものように笑顔で飛び出した。
「ねぇねぇ、今度はどこに行くの!?」
ジャンも、興味を隠しきれない顔で彼女の隣に立つ。
「行きたいところは?」
シオンが問いかけると、ジャンは即答した。
「アステリアのギルドへ」
「うん」
シオンは頷き、再び呪文を紡ぐ。
「転移!」
光が瞬き、3人の姿は霧散するように消えた。
気配が途絶え、広間に残されたのはベルトランただひとり。
「ふむ・・・・・・あの2人は、シオンを救うために使うんじゃろうな。これまで数々の奇跡を起こしてきた2人じゃ。・・・・・・死ぬなよ」
その呟きは、誰に届くこともなく、広大な空間に静かに溶けていった。
カイラス「今日も読者のおかげで、無事塔から“あとがき”へ帰還できた。感謝する」
ライアス「がははは、3日連続で“野郎だけ”のあとがきとは、珍しいのう!」
エヴァン「こういう事もあるさ」
エレオス「いやー、でもよ。おっ〇いちゃん、消えなくてよかったー」
ジャン「おい!シオンを“おっ〇いちゃん”呼ばわりすんな!!」
カイラス「本編の最後がまた、意味深だな」
男「さあ、昨日の続きだ」
エレオス「いやいや! もう順位バレてるんだから続きなんていらねぇって!」
カイラス「ん? 3位? この女性・・・誰だ? 本編にいないぞ」
男「103話で登場する“あれ”のことだ」
ジャン「ああ。正体はそこで明かされるんだ。次はリディアだが・・・、意外と大きいんだな」
ライアス「うむ、そうじゃのう。エレオス、お主、あんな奥さんもらえて幸せじゃな」
エレオス「はぁ!? 奥さんどころか、付き合う気すらねぇよ!」
カイラス「そうなのか?、この先の本編で、それなりに仲良くしていた気がするが」
エレオス「あれの、どこが仲良く見えるんですかねぇっ!」
エヴァン「そして、栄えある1位は、シオン」
ライアス「がははは、よかったのうエヴァン。ランキング1位の娘に抱きつかれて!」
エヴァン「・・・・・・」
男「ふっ、エヴァンはダンマリか」
ジャン「妹が『おっ〇いランキング』で1位って・・・複雑だな」
エレオス「ジャンとルナの2人を倒したわけだから、最強でもあるわけじゃん!」
カイラス「そういえば、前回の最初に“あいつの順位が気になる”と言ってたが……誰のことだ?」
男「言葉のあやだ。深く考えるな」
エレオス「ランキングとかどうでもいいからよ! 女なら誰でもいい、彼女欲しい!」
エヴァン「“誰でもいい”と言ってるあたりが、彼女が出来ない原因だと思うが」
ライアス「がははは、このまま話していると長引くぞ」
カイラス「では締めようか」
全員「次回も、お楽しみに」
ルミア「ねぇ、フィリーネ。あんな狭い密室に、男だけ集まって何をしてると思う?」
フィリーネ「どうせロクでもない話よ。誰がタイプだとか、お尻や胸が大きいのは誰か?とか、・・・そんなのに決まってるわ」
ルミア「はあ・・・、やっぱりね。薄々気づいてたけど、想像以上に、くだらないわね。男どもに見つかる前に、行くわよ、フィリーネ」




