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パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第二章 メルグレイスの事件、ヒルダロア2つの真相

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第68話  ヒルダロアを散策しよう 夕方~夜

ーーー 『夕方』 街を染める橙の光の中で ---



市場の喧騒を抜け出した3人は、ようやく静かな路地へ辿り着いた。

石畳を包む影は長く伸び、橙色に染まる光が家々の壁をやわらかく照らしている。


「ふぅ・・・・・」

ジャンは大きく息を吐き、頭をかいた。


「昼から迷子だの、スリの濡れ衣だの・・・・・もう勘弁してほしい」


「ご、ごめんね・・・・・」

ルナは小さく肩をすくめ、申し訳なさそうにうつむく。


「私が勝手に露店に夢中になっちゃったから・・・・・」


彼女のうつむいた顔を見て、ジャンは思わず苦笑する。

「まあ、あれは人混みもすごかったしな。仕方ないさ」


ジャンは優しい眼差しをルナに向け、安心させるように言った。


「本当にそう思ってる?」

ルナは少し顔を上げ、不安げにジャンを見つめる。


「思ってるさ」

ジャンは意地悪そうな笑顔で答える。


「むー・・・・・ちょっとだけ疑わしい」

ルナは頬を膨らませ、不満そうに口を尖らせた。


言い合う2人の横で、フィリーネはそっと空を見上げていた。


夕陽を受けて淡く染まる空。昼間のざわめきが嘘のように遠のき、鳥の鳴き声が穏やかに響く。


「せっかくですし、少し休んでいきましょう」

フィリーネは静かに微笑み、2人に提案した。


その表情は、心からこの平和な時間を大切に思っているようだった。



彼女の提案で、3人は広場近くの小さな公園に足を向けた。

石造りの噴水の縁に腰を下ろすと、涼やかな水音が耳をくすぐる。

挿絵(By みてみん)



子どもたちが鬼ごっこをして駆け回り、遠くでは楽師がリュートを爪弾いていた。

昼間の賑やかな喧騒とは違う、どこか穏やかで懐かしい空気。


「はぁー・・・・・やっと落ち着いたよー」

ルナが背伸びをしながら座り込む。


「お前は落ち着くどころか、今にも寝そうだな」


ジャンがからかうと、彼女はむっと頬を膨らませた。


「だって、太陽がポカポカして・・・・・ちょっと眠くなるんだもん」


「分かります」

フィリーネも微笑む。

「こうして水の音を聞いていると、心がふわっと軽くなるのよ」


その言葉に、ジャンは改めて2人の横顔を眺めた。

ルナはいつも通り無邪気で、屈託のない笑みを浮かべている。

フィリーネは静かに目を細め、優しい影を落とすような佇まい。

昼のドタバタも、今では遠い夢のように感じられた。



やがて、ルナが噴水の水面に小石を投げ入れた。

波紋が広がり、夕陽の光を揺らす。


「ねぇ・・・・・こうやってのんびりするのも、悪くないねっ」

ルナは穏やかな表情で水面を見つめる。


「いつもは走り回ってばかりですからね」

フィリーネは口元に微かな笑みを浮かべて応じる。


ジャンがルナを見て

「お前にしては珍しい発言だな」


そう言うとにやにやと笑う。


「ひどーい!私だってたまには落ち着くんだから!」

ルナは頬を膨らませ、少し不満そうに言った。


ルナはそう言いながらも、水面に映る3人の影をじっと見つめていた。


ふと、声が少し柔らかくなる。

「ねぇ、こうして3人で並んでるとさ。なんだか、家族みたいだね」


その一言に、ジャンとフィリーネは思わず顔を見合わせた。


「家族・・・・・ね」

ジャンが優しい声で呟く。


「私には、ちょっと不思議な感覚だわ」

フィリーネが静かに笑う。


「でも・・・・・嫌じゃないわね」

フィリーネは心から安らいでいるような、穏やかな表情をしていた。


ルナは照れ隠しのように笑いながら、水面を軽く突いた。

「じゃあ決まり!今日だけ特別に、3人で家族ごっこ!」


「ごっこって・・・・・」


ジャンは苦笑しつつも、胸の奥がほんのり温かくなるのを感じていた。


フィリーネが、ここでルナを見て言った。

「ルナは子どもですね。」


フィリーネの口元は、微笑みをたたえている。


「私が子どもって・・・・・ジャンとフィリーネは夫婦ってこと!?やだー!やだ!やだーーーっ!」


顔を真っ赤にしながら両手をバタバタさせるルナを見て、ジャンは困惑した。

「おいおい、勝手に話を飛躍させるな!」


「ち、違うもん! でも、そうなるでしょ!? だって“家族”って言ったら・・・・・!」


わたわたと慌てるルナに、フィリーネが静かに首を振る。

「落ち着いてください。私はジャンの妻ではありませんよ」


フィリーネは冷静な表情でルナをたしなめる。


「ほ、ほんとに?」

ルナは顔を上げ、不安そうにフィリーネを見つめる。



だがその視線を受け止めたフィリーネは、ふっと目を細めて微笑んだ。

「そうね。でも、せっかく“家族ごっこ”をするのなら、役割をきちんと演じるべきかしら」


「え?」

ルナが目をぱちくりさせる。


ジャンが思わず口を挟んだ。

「おい、まさか!?」


だがフィリーネは一歩進み出て、ジャンの隣にすっと立った。

「あなた、今日は子どもにどんな遊びを教えてあげましょうか?」


「は? お、オレ?」

突然“夫”扱いされ、ジャンは目を白黒させる。


しかし、ルナの反応を見た瞬間、口元にニヤリと笑みを浮かべた。

「そうだな・・・・・じゃあ、一緒に庭の掃除でもさせるか? 子どもの教育にいいだろ」


「ちょ、ちょっと待ってぇ!?」

ルナは両手をぶんぶん振り回す。


「なんでフィリーネがお母さんで、ジャンがお父さんなのよ! ジャンはあたしの恋人なんだからっ!」


「まあまあ」

フィリーネはわざとらしく頬に手を当て、くすりと笑う。

「子どもがそんなこと言うなんて・・・・・・早すぎますわよ」


「そうそう。子どもはまず宿題を終わらせてから言え」

ジャンも楽しそうに乗っかる。


「ちがーーうっ!!」

ルナは顔を真っ赤にしてジャンの腕に飛びついた。

「ジャンは私のなんだからっ!」


「“なんだから”って言い方がもう、完全に駄々っ子だぞ」

ジャンは吹き出しそうになりながらも、なんとか笑いを堪える。


「そうよ、ジャン。子どもが駄々をこねる時は、きちんと叱ってあげないと」

フィリーネが真顔で続ける。


「なるほどな。よーし、ルナ。ちゃんと聞け」

ジャンはわざと低い声で言い、ルナの額を軽くつついた。


「や、やだぁー! なんでジャンまで本気でお父さんぶってるのよ!」


ルナは顔を真っ赤にして足をばたつかせるが、2人は息の合ったやり取りで完全に“夫婦役”を演じ続ける。


「ふふ。いい子にできたら、あなたの好きな甘ーいケーキを作ってあげるわね」

フィリーネが穏やかに微笑んだ。


「え、本当!? ・・・・・・じゃなくて、ちがーう!!」

ルナは一瞬釣られかけて、慌てて叫ぶ。


ジャンはついにこらえきれず、声を上げて笑った。

「ははっ・・・・・・やっぱりルナ、完全に子どもだな」


「ジャンまでぇっ!」

ルナはぷくっと頬を膨らませ、涙目で抗議する。


そんなルナに、フィリーネはふっと真顔に戻り、静かに言った。

「ええ。あなたが子どもなのは、間違いないわね」


「なっ・・・・・・!」

ルナの頬がさらに膨らむ。


「子どもじゃないもん! 私だって立派な冒険者だしっ! もう知らない! 家族ごっこなんてやめた!」


ぷいっとそっぽを向くルナ。


その様子に、ジャンとフィリーネは思わず目を合わせ・・・・・・。

次の瞬間、フィリーネはくすっと笑い、ジャンは声を上げて笑った。


沈みゆく陽が、噴水を黄金に染めていく。

その光の中、3人の笑い声が、静かな広場にいつまでも響いていた。




楽師のリュートの音色は、どこか切なくも優しい旋律に変わり、人々のざわめきは次第に夜の灯火へと移り変わろうとしていた。


「そろそろ戻りましょうか」

フィリーネが立ち上がる。


「うん。晩ごはんの前に、ちょっと休憩できてよかったね」

ルナも伸びをしながら頷いた。


「結局、食べることばっかりだな」

ジャンが笑うと、ルナは「だって大事でしょ!」と胸を張る。


3人の声が、夕暮れの公園に溶けていった。



宿へ戻る道すがら、街灯に次々と火が灯されていく。

橙から藍へ、そして夜の帳が下り始める。


その移ろいを感じながら、ジャンは心の奥で思う。

こうした静かな時間が、ずっと続けばいい。


彼は小さく息を吐き、隣を歩く2人に目を向けた。

無邪気に笑うルナと、穏やかに歩調を合わせるフィリーネ。


その姿が、今はただ、愛おしかった。

そして夜が、ゆっくりと街を包み込んでいく。




ーーー 『夜』 灯りに照らされる想い ---



夜の帳が下り始めると、街の灯火が一斉にともされた。

石畳の通りを並ぶようにランプが照らし、窓辺の灯りが柔らかく漏れる。


昼間の喧騒とは違う、穏やかで落ち着いた空気。


「わぁ・・・・・きれいだね」

ルナが立ち止まり、目を丸くして夜の街を見渡す。


屋台の灯りが宝石のように並び、遠くから楽師の笛の音が聞こえてくる。


「こうして見ると、同じ街でも昼間とは別の場所みたいだな」

ジャンが呟く。


「光の魔法がなくても、人の手でここまで明るくできるんですね」

フィリーネも感心したように周囲を見回す。



3人は歩きながら、ふと広場の中央に出た。

そこでは小さな夜祭りのように、露店が並び、灯籠が空に向かって揺れていた。


子どもたちが笑い、恋人たちが寄り添い、楽師の音色に合わせて人々が踊る。

「すごい。こんなのあるなら先に言ってよ!」

ルナがジャンの袖を引っ張る。


「オレも初めて見るんだ。偶然だな」


「わーい! 偶然でもいいから、思いっきり楽しもうよー!」

ルナの声に押されるように、3人は人波へと足を踏み入れた。


祭りの賑わいの中、ルナは屋台の灯籠を両手で受け取り、嬉しそうに見上げる。

「見て見て!これ、願い事を書いて空に飛ばすんだって!」


「願い事・・・・・ね」

ジャンは少し迷いながらも、紙片を受け取る。


フィリーネは静かにペンを走らせる。


ルナは勢いよく文字を書き込み、ジャンはしばらく考え込んでから、短く一行だけ記した。

3人は並んで灯籠を掲げ、夜空へと放った。


淡い光がふわりと舞い上がり、群星の間へ吸い込まれていく。


「わぁ・・・・・!」

ルナの目が輝く。


その横顔に、ジャンは思わず視線を奪われた。


ルナの瞳には、灯籠と星が映り込み、まるで夜空そのものを抱いているように見えた。


「ジャン?」

不意に気づかれて、ジャンは慌てて視線を逸らす。


「な、なんでもない」


「ふふ・・・・・怪しいなぁ」


隣でそのやり取りを見ていたフィリーネは、微かに笑んでから、そっと空へ視線を戻した。

「願いが叶うといいですね」



人波を抜けると、広場の端には石造りの橋があり、その下を川が静かに流れていた。

水面に映る灯りが揺れ、涼しい夜風が頬を撫でる。


「静かだね」

ルナが欄干に寄りかかる。


「昼間が騒がしすぎただけだろ」

ジャンは苦笑したが、どこか声が柔らかい。


ふとルナが小さく呟いた。

「今日、楽しかったなー」


「オレもだ」

ジャンが即答する。


「わたしも」

フィリーネが静かに加わった。


3人の声が、夜風に溶けていく。

ルナは欄干に肘をつき、空を見上げた。

「ねぇジャン」


「ん?」


「明日も、その先も、こうして一緒に過ごせたらいいなって・・・・・思うんだ」

唐突な言葉に、ジャンの胸が熱くなる。


だがどう返せばいいか分からず、視線を川面に落とす。

「バカみたいに当たり前のことを言うなよ」


「えー、バカって言った!」

ルナが頬を膨らませる。


けれど、その横顔は柔らかく照らされた灯りに包まれ、どこか大人びて見えた。


「・・・・・でも」

ジャンは小さく付け加えた。


「オレも、そう思ってる」

その言葉に、ルナの頬が一気に赤く染まり、フィリーネはそっと目を伏せて笑った。


川の水音と夜祭りの余韻に包まれながら、3人はしばらく無言で夜空を見上げた。

そこには灯籠の光と星々が混ざり合い、まるで未来を照らすかのように輝いていた。




祭りの賑わいを後にして、3人はゆっくりと宿へ戻っていた。

石畳を照らす街灯の明かりが柔らかく揺れ、遠くから笛の音がまだかすかに届く。


昼間の騒動も、夕暮れの静けさも、夜の灯籠の美しさも、そのすべてが心に余韻として残っていた。


「今日は、特別な一日だったな」

ジャンがぽつりと呟く。


「ほんとだね」

ルナは両手を後ろに組み、跳ねるように歩いている。


「ええ。塔の探索では味わえない時間でした」

フィリーネも頷いた。


しばらく静かに歩いたのち、ジャンがふと顔を上げる。


「そういえば・・・・・南の塔も、北の塔も、西の塔も。18階だけは全く同じ作りだったよな」


フィリーネの目が鋭く光る。

「つまり、東の塔も、同じ可能性が高い。確かめるべきね」


「行こうよ!」

ルナも勢いよく手を上げる。


だが次に出た言葉は、やっぱりルナらしいものだった。


「だって東の塔ってトルナージュの街だよね!海に近いんでしょ?海の幸、絶対美味しいよ!いっぱい食べよ! 魚に貝にエビに・・・・・わぁー想像するだけで・・・・・じゅるり」


口元を抑えながらヨダレを垂らしそうになるルナに、ジャンは思わず額を押さえる。

「結局、食べ物か」


「だって、それ大事だよ!」


「まあ、いいけどな。東の塔へ行こう」

ジャンは呆れ笑いを浮かべつつも、しっかり答えた。


「そうですね」

フィリーネも苦笑しながら、楽しげにルナを見る。


「海の幸も、塔の秘密も。両方確かめに行きましょう」


3人の声が夜道に響き、やがて宿の扉へと吸い込まれていった。




宿に戻ったフィリーネは1人部屋のベッドに腰を下ろし、思案に沈んでいた。


  18階だけが同じ構造。


偶然なんて思えないわ。


きっと造り手は、そこに何かの意図を込めたはず。

けれど・・・・・・今考えても分からないのよね。


霧の奥に隠された謎を、私1人で暴こうとしたところで答えが出るはずもない。


だからこそ、余計に気になるのかしら。

心の奥に小さな棘を残したまま、やがて必ず向き合うことになるのでしょう。


でも、それは今じゃないわ。


今はただ、歩みを止めずに進むことが大切。



明日は新しい街。

見知らぬ人々と出会い、どんな声を聞くのかしら。


ひょっとすると、また旅人同士でしか語れない秘密や、街の者にしか知り得ない噂に触れられるかもしれない。


そう思うと、胸が高鳴ってしまう。



そして新しい食卓。

まだ見ぬ料理の香り、そこに集う人々の笑顔や会話・・・・・


どんな形であれ、きっと心を満たしてくれるひとときになるわね。

重い謎を抱えているからこそ、そんな小さな楽しみが、何より尊く感じられる。


あぁ、楽しみだわ。

フィリーネは少し、心を弾ませる。


彼女は窓の外に広がる星空を仰ぎながら、静かに瞳を閉じた。




一方、ジャンとルナは・・・・・



ソファーに並んで腰掛けていた。


「ねぇジャン、やっぱり18階って特別なんだよ!」

ルナが真剣な顔で言う。


「ああ。偶然じゃない。東の塔も必ず・・・・・何かがある」

ジャンは低く答える。


だがその会話の合間にも、ルナは彼の肩に寄りかかり、指先でそっと袖をつまむ。


「でもさ、もし怖いことがあっても、大丈夫。ジャンがいるから」


「おい、真面目な話してるんだぞ」


「真面目だよ?」

ルナは上目遣いで微笑む。


「だって、信じてるんだから」

ジャンは言葉を失い、ただ小さく息を吐いた。


(まったく・・・・・こいつは)


呆れたはずなのに、胸の奥は温かさで満たされていく。

こうして笑い合える時間が、ずっと続きますように・・・・・・そう願わずにはいられなかった。



しばらくして、2人はベッドへ移動した。


ルナがベッドに、ぽすんと腰を下ろした瞬間に、少し頬をふくらませる。

「今日の“家族ごっこ”、やりすぎだったんだから」


ぷいっと視線をそらしながら抗議するその様子に、ジャンは苦笑を浮かべて隣に座った。

「悪かったよ。けど、ルナの慌てた顔が可愛くてさ」


「も、もう・・・・・・! ほんとに意地悪!」

ルナは赤くなりながらもジャンの腕を軽く叩く。


しかしその表情は、怒っているというより照れているようだった。



ジャンはそんなルナを見つめ、ゆっくりと抱き寄せる。

「でも、オレの恋人はルナだけだ。これは絶対」


不意に耳元で囁かれ、ルナの顔が一層赤くなる。

「ほんとに?」


「ああ」


「なら・・・・・許してあげる。でも次は絶対、フィリーネが“お母さん役”をやるのはダメだからね」


「ああ、もうしない」

2人は見つめ合うと、そのまま強く抱きしめ合う2人。


互いの鼓動が伝わる距離でしばらく寄り添い、やがて自然と顔が近づいた。


ルナが小さく目を閉じ、唇が触れ合う。

最初は控えめなキス、けれど次第に甘さを帯びていく。


名残惜しそうに唇を離した後、ルナは少し潤んだ瞳で微笑む。

布団に潜り込み、ジャンの胸に額を預けながら、小さな声で呟いた。


「ねぇ、ジャン。明日も一緒に、笑っていようね」


その囁きにジャンが優しく頷くと、ルナは安心したように瞼を閉じ、すぐに穏やかな寝息を立て始めた。


窓の外では月が雲間から顔を出し、2人を淡い光で包み込んでいた。




静かな夜の中、2人は寄り添ったまま眠りについた。





カイラス「ここまで読んでくれて、ありがとう。みんなのおかげで、今日も無事に塔を降りられたな」


エルミナ「今日の家族ごっこ、面白かったわね。ジャンとフィリーネ、本気で演じてたもの」


ルナ「面白かったじゃないよっ! ひどかったんだよ!? フィリーネなんてお母さんぶって、ジャンはお父さん気取り!  本気で夫婦みたいにして……!」


カイラス「じゃあ、ジャンが父親じゃなくて、フィリーネが母親じゃないならいいのか?」


ルナ「うん、それならいい! ジャンは恋人だもん」


エルミナ(にっこり)「そう、なら決まりね。今度は私たち3人で家族ごっこしましょう。カイラスが“お父さん”で、私が“お母さん”、そしてルナは、もちろん 子どもね」


ルナ「待って待って待って!? なんでまた私が子どもなのよっ!?」


カイラス(腕を組みながら)「家族構成的に、そうなるだろう」


ルナ「失礼なっ! 私、もう立派なレディなんだからねっ!」


カイラス「仕方ないな。帰ったら、基礎魔力からやり直すか」


ルナ「ちょ、ちょっと!? なによそれっ! 私、もう子ども扱いどころか、見習い扱いじゃないっ!」


エルミナ(楽しそうに笑って)「ふふっ、いいじゃない。お父さんがちゃんと面倒見てくれるわよ?」


ルナ「よくないよっ!! 私、もう優れたマジシャンだもんっ!!」


カイラス「まあまあ、ルナ。泣くな泣くな。お父さんが肩車してやる」


ルナ「いらないってばぁ! やめてぇー! 子ども扱いしないでぇ!」


エルミナ「ほんと、見てて飽きない子ね。ジャンが惚れるのも、ちょっと分かる気がするわ」


ルナ(顔を真っ赤にして)「そ、そんなこと言わないでぇぇぇ! もう、家族ごっこなんて大っ嫌い!」


カイラス(笑いながら)「反抗期真っ最中だな。育てがいがある」


ルナ「育てなくていいからぁぁ!」


エルミナ「というわけで、次回もきっと賑やかになると思うわ」


カイラス「うむ。ではー」


エルミナ&カイラス「次回もお楽しみに!」



ルナ「ちょっとぉ! 私の立派なレディ宣言、無視しないでぇぇぇっ! しかも勝手に締めないでよぉ!」


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