表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第一章 アステリアの街で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/152

第5話  ワナ

翌朝、オレがいつもの集合場所へ向かうと、既に全員が揃っていた。ルシウスとゼノンは、何か重そうなリュックを背負っている。


「ルシウス、ゼノン、重そうだな。オレが持つよ」


オレがそう言うと、ルシウスは肩の高さまで手を上げ、「大丈夫」というジェスチャーをした。


その行動に驚いていると、彼はさらに驚くべきことを口にした。


「色々考えたんだが、カイラスたちがBクラスになった。


 オレたちもBクラスだ。


 だから今日から各個人の戦闘力を上げるために低い階をしっかりと攻略しようと思う」


(今まであれほど嫌がっていたことを今日からやる?


 てっきりAクラスになるために、もっとキツイことをするのかと思っていたんだが、本当に改心したのか?)


オレの驚きを察したのか、ルシウスは最近では見ることのなかった笑顔で話しかけてきた。


「驚いてるね。


 オレが今までやって来たことを考えると、そんな反応になるのは仕方ないと思う。


 これはオレが蒔いた種だから、信頼してもらえるようにこれから頑張るよ」


(さて、これはどこまで信じていいのか?)


リリエルとルナの顔が暗いのも気になる。


特にルナは昨日泣かせてしまったしな。


結局、今でも理由はわからないままだが・・・・・。



「今日は18階をじっくり攻略しようと思う。低い階だがどうだろう?」


ルシウスがそう尋ねる。


「それは構わないが、18階に意味はあるのか?


 例えば15階、25階とかキリの良い階や10階、20階といったボス部屋でも良いと思うが」


「ああ、それも考えた。


 21階以上になると特にジャンがひとりになった場合にやられてしまう可能性がないとは言い切れない。


 これはさっきも言ったが、各個人の戦闘力を上げる鍛錬も兼ねている。


 単独で行動するわけではないが、いつもより少し離れて行動する予定だ。どうだろう?」


ルシウスはまともなことを言っている?


ゼノンもうんうんと頷いている。


しかしルナは俯き、リリエルは引きつった笑顔で頷いている。


(これは絶対に何か裏があるな。だけど、少なくとも言っていることはまともだ)



ルシウスはジャンのまだ疑っているような目を見て答える。


「何で11階~19階の中で18階なのか聞きたそうな顔してるね。


 その理由は凄く単純だ。


 16階と18階はそのフロア内にやや大きな部屋があるが、そこを拠点にして戦おうと思ってな。


 その時点で他の階は候補から外れたんだ。


 じゃあ16階と18階の中で18階を選んだ理由は


 これも単純で16階よりも18階の方がモンスターが少しだけ強いからなんだ。


 16階でも良いと思うが、それだと各個人の鍛錬という意味ではやや外れる事になる。


 それにジャンは18階のモンスターでも2~3体程度なら対処できると考えた結果が18階だ。どうだい?」


ルシウスの説明に問題はない。


だが、なぜか引っかかる。


個人の鍛錬というなら、あのリュックは何だろう?


あれを背負うことでハンデだとか言いそうだ。



そんな違和感を抱えながら、オレたちは18階に来た。


「おいゼノン、何かここ変じゃないか?」


ルシウスが、周囲を警戒しながらゼノンに話しかける。


「ああ、おかしい空気感だ。階を変えるか?」



(この二人は何を言ってるんだ?変?おかしな空気感?全然普通だと思うが・・・・・)


ジャンがそう考えていると、ルシウスが言った。


「いや、このまま行こう。


 ただリリエルとルナは安全地帯で待っててくれ。


 知っているだろうが階段から15フィートより外は結界の外側だ。絶対に結界内にいろよ!


 問題なければ全員でこの階で戦おう」


リリエルとルナは頷いたが、顔は暗いままだ。


塔に入る前の引きつった笑顔も、今は消えている。


(やはり、オレだけが気づいてない何かがあるのか?)


ルシウスは緊張感を持った声で言う。


「ゼノンとジャンは先頭を行ってくれ、オレは少し遅れて周辺を警戒しながら行く」


ジャンはルシウスに同意して言う


「分かった、気をつけろよ」


「ああ」


(ん?見間違いか?今、ああと言った時に2人が一瞬ニヤッとしたように見えたんだが……)


ゼノンが行く合図をした。


ますます怪しいが、何を企んでいる?


考えても分からないから、ひとまず行くか。


しばらく進むと、モンスターが現れた。


挿絵(By みてみん)


「あのグラスホッパーは倒せるか?打ち漏らしてもワシがフォローする」


ゼノンが、真剣な表情でオレに声をかける。


「ああ、やってみる。ファイアーボールレイン!!」


「ギギャー!」


断末魔とともに、グラスホッパーは倒れた。


(よし、18階なら、支援魔法無しでもギリギリ倒せるな)


部屋までたどり着くまでに、モンスターに遭遇したのは一度だけだった。


「間もなく勇者が来るだろう。


 さっきはモンスターは1匹だけだったから大丈夫だとは思うが無理はするなよ。


 何かがおかしいからな。


 ワシは19階に続くルートを見て、すぐに帰ってくる」


ゼノンも、ルシウスと同じように警戒している。


本当に2人は人が変わったようだ。


(オレは昨日寝て、実はまだ夢の中にいるのか?ほっぺをつねってみる。うん、痛い。これは夢じゃないな)


そんなことを考えていると、またモンスターが現れた。


挿絵(By みてみん)


「次は、マッシュルームパフか」


いつものステータスをアップさせて、「ファイアーアロー」を放つ。


ボウっと燃えながら、マッシュルームパフは倒れた。


(ルシウスは遅いな)


ジャンがそう思っていると


(「噂をすれば」だな、噂はしていないが・・・・・)


ダッシュでルシウスが来た。


彼の顔は、切羽詰まった表情だった。


「ゼノンはどうした!?」


「19階へ続くルートを見て来ると言って向かったが……」


「大量のモンスターが来るぞ。ゼノンが帰って来るまでここで足止めだ!」


ジャンは自分に支援魔法をかけているので、ルシウスにも支援魔法をかけた。


「支援魔法をかけた、ルシウスならここのモンスターは楽勝だろう」


「いや、数が多すぎる」


ルシウスがそう言うと、彼が入ってきた通路から、ワラワラとモンスターが出てきた。


その刹那、ゼノンが走ってきた。


「こっちもダメだ、もう来るぞ。ワシは18階入口に戻れる通路を見て来る!」


そう言ってゼノンは、18階の入口に続く通路へ走って行ったが、すぐに戻ってきて叫んだ。


「ルシウス!一瞬だけ手伝ってくれ!多くはないがモンスターが来てる!」


ルシウスは、迷うことなく叫んだ。


「分かった!すぐ行こう。ジャン、戻って来るから1~2分耐えてくれ!」


オレは、ゼノンに支援魔法をかけると同時に叫んだ。


「分かった1~2分だな、何とか耐えるさ。ゼノン!支援魔法をかけた。そっちも気を付けてくれ!」


ゼノンも、力強く頷いた。


「ああ、分かった!」


こうしてゼノンとルシウスは行ってしまった。



この部屋の構造は、1ヶ所だけ19階に続く通路があり、2ヶ所が18階の入口に続く通路になっている。


それ以外は全て行き止まりの通路だ。


(今オレが最初にやってきた通路はモンスターで溢れ、19階に続く通路も間もなくモンスターの群れが来るらしい。


 18階の入口に戻るためのもう一本の通路は、ゼノンとルシウスが向かったが、支援魔法をかけた2人だ。


 多少モンスターが多くても、やられることはまずないだろう)


「よし!!やるか!!1~2分の辛抱だ」


そう声を出した途端、19階へ続く通路からもモンスターが現れ始めた。



だが、オレはこの時、ゼノンとルシウスが通路に出た時


2人で目を合わせ、ニヤリと笑ったことは知る由もなかった。






最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ