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パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第二章 メルグレイスの事件、ヒルダロア2つの真相

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第46話  ルナの活躍と引き換えに・・・・・

再びサーチ魔法を試す。


やはりルナを感じられない。


岩盤を背にもたれかかる。


ルナは間違いなく、あそこにいるはずだ。


サーチ魔法で見える範囲をくまなく探す。


「!?」


ジャンは気付いた。

「どうしてだ?どうして、今まで気付かなかったんだ!」


ジャンたちが入った扉の反対側、一見壁にしか見えないその先・・・・・わずかに通路が見える。


(隠し扉だ!)


ジャンは、ここ以外にも入口がある!


そう確信した瞬間。


突然、サーチ魔法が何かに遮断されるように通路が見えなくなった。


そして更に、部屋の中央にある祭壇から向こうが、全く見えなくなった。


ジャンは必死に頭をフル回転させる。


(どこだ!?)


その時、ジャンは閃いた。




「ギルドだ・・・・・!」




ギルドには、この街の地理に詳しい人間がいる。


そして、この遺跡についても、知らないはずがない。


ジャンは、迷うことなくギルドへと駆け出した。


夜の街を、全力で疾走する。


ギルドの明かりが見えた時、1日走り回ったジャンの足はもう限界だった。


ジャンは、扉を勢いよく開け放ち、フラフラの状態で中に飛び込んだ。


カウンターには、見慣れた受付の女性がいた。


「どうされたんですか?ジャンさん。そんなに慌てて・・・・・」


彼女は、驚いた表情でジャンを見つめる。


ジャンの全身は汗まみれで、息も切れ切れだった。


「ルナが・・・・・ルナが、消えました!」


ジャンの言葉に、受付の女性は息をのんだ。


「なんですって!?」


「ルナは、古代遺跡に閉じ込められているようです。でも、入り口が・・・・・入り口が開きません!ですが、反対側にも通路があったんです!」


ジャンは、必死に状況を説明する。


受付の女性は、すぐに奥にいたギルド長を呼んだ。


ギルド長は、ジャンの話を聞くと、顔を曇らせた。


「あの遺跡か・・・・・。あそこは、かつてこの街を守っていた遺跡だ。入口は1つではない。他にもいくつかあると聞いている」


ギルド長の言葉に、ジャンの顔にわずかな光が灯る。


「本当ですか!?」


「ああ。地図にも載っていない、隠された入口がいくつかあるらしい。その場所を正確に知る者は、私を含め、もういないが・・・・・」


ギルド長は、大きな地図を広げ、印をつけていく。


「ここ、そして、ここ。そして・・・・・・」


ギルド長は、いくつもの場所に印をつけ、そしてその手が止まった。


「このあたりに、隠された入口があると言われている。ただし、正確な場所ではない。あくまでも伝承だ」


ジャンは、ギルド長に感謝を告げると、再び街へと飛び出した。




ジャンの心は、希望と焦燥が入り混じっていた。


(ルナ、絶対に助ける・・・・・待っててくれ・・・・・!)


ジャンは、ギルド長に教えられた場所へと向かった。


街の地下、そして外縁部。


ジャンは夜通し、すべての場所を手当たり次第に当たっていった。




しかし、どの場所も、行き止まりか、ジャンの力では入ることができない場所だった。


「どうしてだ・・・・・どうしてなんだ・・・・・!」


ジャンは、焦燥感に包まれていた。


ルナの安否もわからない。


そして、ルナを救い出すための道も、見つからない。


ジャンは、何度も、何度もルナにテレパシーを送った。


しかし、返事はない。


ジャンの声は、虚しく闇の中に吸い込まれていく。


「ルナ・・・・・どこにいるんだ・・・・・」


ジャンは、街外れの行き止まりの壁に、崩れ落ちそうになる。


ジャンの心は、絶望の淵に沈みかけていた。



ジャンは、ルナが消えた時のことを思い出した。


光の粒子になって消えていく姿。


あの時、ジャンは何もできなかった。


そして今も、何もできていない。


ジャンの心に、自責の念が重くのしかかる。


「午前中から動いていれば!オレが、もっと早く・・・・・。もっと、冷静に・・・・・。」


ジャンは、自分の無力さを呪った。


ジャンの心に、ルナの笑顔が何度も蘇っては、消えていく。


その時、ジャンの胸の奥にかすかな声が響く。


(・・・・・ジャン・・・・・攻撃・・・受け・・・・・助け・・・)


ルナの声・・・・・・だが、すぐに途切れる。


だが、それきり何も聞こえてこない。


(攻撃を受けてるだって!?なのに、オレは・・・・・・何も・・・・・・!くそ!!)


焦燥と恐怖が心をえぐる。


浮かんでは消えるルナの笑顔が、刃のように胸を裂いた。



(ルナは、今まさに何者かに攻撃を受けている!!)


ジャンは疲れを顧みず、時に飛び、時に駆けた。


サーチ魔法を展開する。


しかし映し出されたのは、祭壇までの道だけ。


肝心の入口は見えない。


ならばと探すが、映るのは街並みや郊外、草木や岩ばかり。


ジャンの目の前にある巨大な岩でさえ、サーチ魔法にはただの茂みとして映っている。


入口らしき場所の全てで、現実とサーチ魔法の視界が食い違っている――。


どこにも道はない。


どこにもルナはいない。


このままでは・・・2度と会えない。


思考の隙間に忍び込む恐怖と言う名の、心の奥の闇が、次々とジャンの心を噛み砕こうとする。


「ルナぁぁ・・・・・・!どこに入口が・・・!!」


絶望を吐き出すように叫びながら、ジャンはなおも走り出した。




一方、その頃。


ルナは、暗黒の空間で、死の恐怖に直面していた。


何もしていないのに魔力が少しずつだが、減っているのだ。


そしてルナの前に現れたのは、昨日戦った黒いガス状の物質だった。


それは、まるで生きているかのように、形を変えながらルナに襲い掛かる。


「きゃっ!」


ルナは悲鳴を上げ、後ずさりした。


前日は、ジャンの援護と、ルナの放つ魔法で、かろうじて撃退することができた。


しかし、今回は、状況が全く違っていた。


「アイスウォール!」


ルナは、とっさにアイスウォールを放った。


氷の壁が、ガス状の物質の前に立ち塞がる。




だが、その壁をかわして、ガス状の物質は易々とルナに向かってくる。


「うそ・・・・・!?」


ルナは、驚きに目を見開いた。


昨日、確かに効果があったはずの魔法が、今は全く効かない。


ルナは、再びアイスウォールを放つが、結果は同じだった。


前日のように壁に吸い込まれる事なく


ガス状の物質は、ルナの方へと向かってくる。


「どうして・・・・・どうして魔法が効かないの・・・・・!?」


ルナは、混乱していた。


ルナの魔力は、この空間の闇に吸い込まれていくようで、思うように力を発揮できない。


そして何よりも、ルナは今、杖を持っていなかった。


「杖・・・・・宿に置いてきちゃった・・・・・」


ジャンとギルドへ向かう時、宿のベッドに置いてきていた。


午前中は街で気分転換をするということだったので、昼から杖を取りに戻れば良いくらいに考えていた。


いつものように収納魔導具に入れていれば、間違いなく結果は変わっていた。


そしてそれが、ルナの命取りになっていく。




今のルナの実力であれば、杖がない状態でも、通常の戦闘であれば、よほど強いモンスターでない限り問題なく戦える。


杖はアステリアの王様からもらった杖で、魔力蓄積棒のかけらが埋め込まれている。


そこに溜められた魔力は、前日かなり消費したとはいえ、まだ残っていた。


「くっ・・・・・!」


ルナは、再びガス状の物質に襲われた。


ルナは、とっさに飛行魔法を使い、攻撃をかわす。


だが、その一部が、ルナの腕に触れた。


ルナの腕に、焼けるような痛みが走る。


ルナの服は、瞬く間に溶け、肌には醜い火傷の跡が残った。


「熱っ・・・・・!」


ルナは、悲鳴を上げた。


だがすぐに「アイスブラスト!」を唱えた。


無数の氷の刃の嵐がが、ガス状の物質に向かって飛んでいく。


しかし、それは、かすかなダメージを与えただけだった。


「そんな・・・・・!」


ルナは、前日と同じ状況に絶望に打ちひしがれた。


ルナの魔法は、ほとんど通用しない。


どんなに攻撃しても、ガス状の物質にはほとんどダメージが通らない。


ルナは、まるで絶望の底に突き落とされたかのような感覚に陥っていた。



リリエルやルミア、ジャンのように回復魔法は使えない。


長時間の戦闘で、既に薬草なども使い果たしていた。


体力の回復はもちろん、傷の治療も出来ない。


ルナの体力の消耗も激しく、息も切れ切れだった。


ルナは、最後の力を振り絞り、ジャンにテレパシーを送る。


(ジャン・・・・・! 助けて・・・・・!)


ルナの言葉は、悲鳴にも似ていた。


ジャンに助けを求めることしか、ルナにはできなかった。


ルナは、この闇の中で、ただ1人、恐怖に震えていた。




その頃、ジャンも必死にルナを探していた。


何度ルナにテレパシーを送っても、返事はない。


ジャンは、ルナが危険な状況にあることを、肌で感じ取っていた。




ルナは、ガス状の物質の猛攻を受けていた。


アイスブラスト、アイスストリーム、ブリザード。


ルナは、手当たり次第に魔法を放つが、どの魔法も、ガス状の物質には全く効かなかった。


ルナは前日に効いたアイスウォールが無意識の内に頭に残っていたのだろう。


炎系は一切使わなかった。


火傷や切り傷の跡が全身に残り、ルナの心は、絶望に包まれていた。


「どうしたら・・・・・どうやったら・・・・・!」


ジャンに再度テレパシーを送った。


(早く来て!ジャン!ガス状の物質から攻撃を受けてるの!魔力も、もう尽きそうなの!!ジャン、助けて!!)


このようにテレパシーで叫んだものの、ジャンに届いたと確認できたのは

(・・・・・ジャン・・・・・攻撃・・・受け・・・・・助け・・・)

だった。


ここで、ついにルナの魔力は完全に尽きてしまった。


ルナは、再びガス状の物質に襲われた。


ルナは、もう攻撃を避ける事しかできない。


その攻撃が、ルナの身体を貫こうとした、その瞬間。


(これが・・・・・!?ガス状の物質の弱点を見つけた!どうして昨日気付かなかったの?)


ルナはなりふり構わず攻撃魔法を展開する。


魔力が完全にゼロで使う魔法。


残り少ない体力。


ガス状の物からの攻撃。


ルナの心は、ただジャンの名前を呼ぶことしかできなかった。


「ジャン・・・・・、突破口は・・・・・私が・・・作る・・・、ジャン早く・・・早く来て!!」


ルナの最後の叫びは、闇の中に消えていく。


ルナの放つ魔法が、間違いなくガス状の物質を削っている。


しかし、そのたびに彼女の顔色は青ざめ、呼吸は荒くなる。


ガス状の物質がうねりを上げて襲いかかるが、ルナは身を翻してかわし、途切れさせまいと必死に詠唱を続けた。


魔力を使い果たした後に、無理やり放つ魔法。


それは、マジシャンの間では、決して踏み込んではならないとされる禁断の技だった。


体力が満ちており、傷1つ負っていない状況ですら、命を危うくする。


ましてや今のルナは攻撃を受け、残されたわずかな体力さえ削られている。


それでも彼女は、朽ちかけた炎に薪を投げ込むように、体力を強引に魔力へと変換し続けた。


そして途切れることなく次の魔法を叩き込む。


だが、削られていく体力に呼応するように、その魔法の輝きは確実に弱まっていった。


(もう、腕が上がらない・・・だけど・・・だめっ!!・・・・・・お願い!上がってーー!!)


(でも止まったら終わり・・・・・・! これでジャンも・・・・・・みんなも・・・・・・守れるんだから!)


震える手を必死に持ち上げ、ルナはかすれた声で詠唱を続ける。


息は途切れ、肺が焼けるように苦しい。


それでも確実な手ごたえを、感じていた。


(もう少し・・・・・・あと一歩・・・・・・!)


(ここで・・・・・・倒れるわけには・・・・・・いかない!)


だが体力は、限界を超えるほどに追い詰められていた。


(やっと・・・・・次で・・・終わる!! これで・・・・・・みんなを・・・・・・!)


最後の力を振り絞り、残された体力を魔力へと変換する。


ルナの手のひらには、かろうじてアイスアローの形が生まれかけていた。


(お願い!!飛んでっ! これで・・・終わるんだから!)


「はぁ・・・・・・、はぁ・・・・・・、アイス・・・・・・っ・・・・・・」


しかし、詠唱を終えるより早く、ガス状の物質が襲いかかる。


鋭い衝撃がルナの体を貫いた。


だが、もはや声を上げる力すら残されていなかった。


「・・・・・・ぁぁ・・・・・・っ・・・・・・」


喉の奥から漏れたそれは、悲鳴というにはあまりに弱々しく、風に掻き消されるかのように儚かった。


(いやっ! 魔法が・・・・・・まだ・・・・・・!あと少し・・・なのに・・・体が・・・)


かろうじて形を保っていたアイスアローは、放たれる事はなく、ルナの手のひらの上で細かな亀裂を走らせ、破片が涙のように零れ落ちた。


散った氷片は儚い光を残しながら空気に溶け、冷気さえもすぐに消え去っていく。


(ジャン・・・・・・ごめん・・・・・・ね)


その切ない想いを最後に、ルナの意識は静かに闇へと沈んでいった。


力なく崩れ落ちたルナの身体を、ガス状の物質がゆっくりと飲み込もうとする・・・・・。




時系列は少し戻る。



ジャンは教えられた入口をくまなく探したが、成果はなかった。


休んでいる暇などない。


(・・・・・・壁に囲まれてるみたい・・・・・・でも、魔力が・・・・・・?)


ルナのかすかな声が脳裏に蘇る。


見えない壁――それも魔法によるものか。


ルナ自身の魔力に影響を与えているのだろうか。




ジャンは地図を睨み、まだ行っていない場所に気付いた。


「・・・・・・ここだ!」


飛行魔法で向かった先は、噴煙を吐き続ける山の麓。


岩肌に苔や草木が張りつく中、異質な岩がひとつだけ紛れていた。


「これか・・・・・・!」


ジャンが手をかざすと確信が走る。


ここがルナのいる場所への入口だ。


魔力を注ぐと岩は音を立てて開き、闇へと続く通路が現れた。


魔法のライトで明かりを灯し、飛行魔法で一気に飛び抜ける。


下へ、さらに下へ――。


やがて行き止まりの壁に突き当たった。


押すと壁は動き、奥にかすかな光が差す。


それはルナと共に作ったアイスウォールの輝きだった。


「ルナ・・・・・・!」


叫びながら踏み込むと、視界にルナの姿が映る。


氷の棺に閉じ込められ、その中で不気味なガス状の物質が渦巻いていた。


「ルナ!!」


ガス状の物質が意識のないルナを抱え込み、飲み込もうとしている。


ジャンは即座にスターフレアを放ち、氷を砕いた。


轟音と共に壁が崩れ、ガス状の物質が解き放たれる。


同時にルナの体が宙へ投げ出された。


ぐったりした彼女を再びガスが捕らえ、取り込もうとする。


「ルナーーー!!」


絶叫しながら、ジャンは効かないと知りつつも再びスターフレアを放つ。


ファイアーボールレインを応用し、炎がルナだけを避けるように調整する。


炎が奔流となってガス状の物質を焼き、わずかにダメージを与える。


呻くようにうごめいたそれは、ルナを手放した。



その一瞬の隙をつき、ジャンは飛行魔法で宙にいたルナをしっかりと受け止める。


そして、迫り来るガス状の物質をファイアーストリームの魔力の奔流で押し払いながら、地面へと優しく下ろした。


「よし・・・・・!」


着地と同時に、ジャンはスターフレアを解き放つ。


閃光の爆発が敵の動きを封じ、その余波に重なるように分厚いアイスウォールを立ち上げる。


氷の壁はガスの猛攻を遮断し、2人を包む堅牢な防壁となった。



すぐにジャンはルナに声をかける。


「ルナ!、大丈・・・・・!?」


ジャンはルナの姿を見ると凍り付いた。


とてもそれが、現実だとは思えなかった・・・・・



最後までお読みいただきありがとうございました。

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