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パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第一章 アステリアの街で

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第28話  2つの魂

「セレスとリアーナ、二人の魔力が似ておったと話したが、二人が仲良くなるにつれて、その魔力はますます似ていったのじゃ」


ベルトランの言葉に、オレは息をのんだ。


魔力が似ていく…? 


そんなことがありえるのか? 


「リアーナが風邪を引けば、セレスがお見舞いに行った。そして、セレスが畑で美味しい野菜がとれたと言えば、リアーナの家へ届けた」


ベルトランは、まるでその光景を見ていたかのように、懐かしそうに語る。


「リアーナに恋人が出来たと言えば、セレスは自分のことのように泣いて喜んだ。その恋人が後に旦那になるラカイアじゃ。そして、セレスがアシュレイと結婚することが決まれば、リアーナは盛大にお祝いした」


その話は、まるで遠い昔の物語のようだった。


二人の女性が、互いを思いやり、まるで姉妹のように、いや、それ以上に深く結びついていた。


「こうして二人は、仲良くなれば仲良くなるほど、まるで2人に一つの魂が宿ったかのように、似ていった。外見は違えど、心と魔力は、完全に同じ波長を刻んでおったのだろう」


オレは、ルナの母親であるリアーナの顔を思い浮かべようとした。


だが、ほとんど思い出せない


「その後リアーナも結婚が決まった。セレスも盛大に祝った。」


2人は、それぞれの人生を歩み始めた。それぞれの道を選んだ。



「セレスが、おぬしを身ごもった時、アシュレイとセレスは静かな所で子育てをしたいと、ヒルダロアを離れた。」


それが、今のオレの故郷・・・・・すでに消え去った、あの村、カロスタイン。


「じゃが、その静けさは、悪魔によって破られてしもうたのだがな」


ベルトランは、悲しげに首を振った。


「その時セレスは、リアーナとの繋がりが、どれほど深かったか知らなかったのじゃ。じゃがその繋がりは、確かに存在しておった」


オレの心に、一つの疑問が湧き上がった。


なぜ、母さんとリアーナは、そんなにも魔力が似ていたのか。


まるで、運命に導かれるように、二人は出会い、そして、互いの魔力が共振した。


そして、塔の異常。



なぜ、母さんは、そんなにも深い悲劇を背負わなければならなかったのか。


オレは、その答えを求めて、静かにベルトランを見つめた。


しかし、彼は、ただ悲しげに、そして、どこか寂しそうに、遠い目をするだけだった。


その先に、何が待っているのか。


ベルトランの話を待った。



「セレスとリアーナ、二人の交流は、引っ越してもなおしばらく続いておった.セレスがおぬしを身ごもった時、リアーナも子供が欲しいと願うようになった。おぬしが生まれた時には、リアーナも身ごもっていた。リアーナは、幼いおぬしを見ては、抱っこし心底喜んでおった。そして、それを見てセレスもまた、嬉しそうに微笑んでおった。二人の喜びは、まるで共鳴するかのように、互いの心を満たしておったんじゃのう」


ベルトランの声が、遠い過去を語るかのように響いた。


オレの記憶にはない、穏やかで温かい光景。


オレは、その光景を想像した。


ルナの母リアーナが、幼いオレを抱いて微笑んでいる姿。


そして、それを見守る母さん。



ベルトランは続ける。


「だがその頃から、塔の中で、非業の死を遂げる者が現れ始めた。それは、ただの偶然で、腕に見合わぬ者が高層階に行っただけというのであれば、どうってことはなかったのじゃが・・・・・」


ベルトランは、言葉を濁した。その表情は、ひどく暗かった。


「セレスが以前住んでおった家に引っ越す者すべてが、例外なく非業の死を遂げたのじゃ。」


その言葉に、オレは背筋が凍った。



「セレスの子供の頃を知る者の ごく一部が、セレスの呪いじゃと囁き始めた。その噂が広まると、誰もその家には引っ越さなくなった。」


セレスの呪い!?


その言葉が、頭をよぎった。


母さんが、そんなことをするはずがないじゃないか!


それは、あまりにも理不尽な話だった。


「リアーナは、思い出の家が誰も住まなくなっていくのを見て、悲しんでおった」



ベルトランはやや明るい顔になった。


「しばらくしてリアーナに子供ができた。女の子じゃった。ルナじゃな。それをセレスに報告すると、本当に喜んでおった。」


少しの沈黙


「しかし、子育ては簡単ではなかった。仲は良かったが、隣の家であれば・・・・・でも隣町。徐々に交流は少なくなっていった。2人は、それぞれの生活に追われ、会う機会も減っていったんじゃ」


それは、自然なことだった。


だが、その自然な流れが、何の因果か悲劇を呼ぶことになる。


「セレスが例の紙を見つけた日、彼女はヒルダロアにあるリアーナの家に行って、この紙を見つけたと報告したのだよ。これで、ワシのかけた制限魔法が解け、力が元に戻ると・・・・・力が戻ったら、リアーナ、ラカイア、セレス、アシュレイ、サラフィナの5人で一緒に戦ってみようと言っておった」


オレは、そこで不思議に思った。


そんな記憶はない事を告げると


「そうじゃろうて。おぬしは、あの時、セレナは、おぬしの師匠であるサラフィナに魔法を教えて欲しいと頼みサラフィナに預けておったからのう。リアーナはセレスと再会し、喜びを分かち合った。リアーナは、久しぶりだから、とその日泊まるように言った。じゃがセレスは、おぬしが寂しがるからと、その言葉を断り、帰って行ったんじゃよ」


運命とは、過酷なものだ。


もし、あの時、母さんがリアーナの家に泊まっていれば・・・・・。


そんな「もしも」を、オレは何度も考えた。


ベルトランは少し考えるそぶりをして続けた。


「そして、ルナが12歳になったある日、リアーナはいつものようにラカイアと一緒に塔に行った。何のイタズラなのか・・・・・」


ここでしばらく黙った。


「2人は前日、23階で戦っておった。特に何の問題もなく1日そこで鍛錬をしたんじゃがな。なぜその日に限って、わざわざ下の階の、よりによって18階だったのかのう・・・・・?」


ベルトランは再び考えていた。


オレは黙って続きを待った。


ベルトランは、ため息をつくと、再び話した。


「それは2人に聞かんと分からん。今となっては聞く事も出来んが・・・・・じゃが・・・・・その18階で悲劇が起きてしもうた」


しばらくの沈黙。


ベルトランはその日の光景を思い出しているのだろうか?


「詳しくはモヤがかかったようになって、ワシにも見えぬ。じゃが・・・・・」


ベルトランは、苦しそうに言葉を絞り出した。


「あの実力の2人であったら、18階程度で命を落とすはずがなかったのじゃ・・・・・。事実、前日には23階で難なく戦っておったのじゃから・・・・・。ワシに見えるのは、頭を抱えて震え、動けなくなったリアーナの姿だけじゃ」


リアーナが、頭を抱えて震える?


なぜ?


オレの心に、いくつもの疑問が湧き上がった。


「モンスターに襲われそうになったリアーナを、ラカイアが身を挺して守った。じゃが、リアーナは全く動けなくなっておった。ラカイアはまるで、なぜリアーナが動けなくなったのか知っておるかのように、必死の形相で戦っておった。そこに、一体ずつじゃが、モンスターが襲ってきた。」


ベルトランの言葉は、まるでその場にいたかのように、鮮明な光景をオレの頭の中に描き出した。


「ラカイアも、必死に戦い続けた。じゃが、疲労は徐々に溜まっていく。人間、無限に戦えるわけではない。ラカイアの疲労も限界に達した時、モンスターに・・・・・。その後は・・・・・言わなくてもわかるじゃろう」


オレは、言葉を失った。



ルナの両親が塔で亡くなったことは聞いていた。


だが、まさか、そんな悲劇的な最期だったとは。


母さんに続いて、母さんの親友だったルナの母親リアーナも、そしてルナの父親も・・・・・。


オレは、そのあまりにも残酷な現実に、震えが止まらなかった。


「リアーナが住んでおった家・・・・・そこに引っ越してきた者は皆、なぜか塔の18階で死んでしもうた。どんなに腕が立つ冒険者であろうと、例外なく・・・・・」


ベルトランの言葉は、まるで呪いの言葉のようだった。


「リアーナが住んどった家は空き家になり、新しく引っ越してきた者も、皆、18階で亡くなる。リアーナの家は、いつしか『18階のたたり』と呼ばれるようになり、リアーナの家も誰も住まなくなってしもうたのだ」



オレは、その恐ろしい話に、ただただ立ち尽くすことしかできなかった。


母さんが住んでいた家は、呪いと言われ。


リアーナが住んでいた家は、たたりと言われる。


そして、今もなお、2つの家は空き家のままだという。


「ワシが仕込んだ塔の18階、36階、45階の秘密は、もう誰も知らぬはずであった。じゃが、なんのイタズラか・・・・・なぜおぬしは、ワシの所に来て、この話を聞くことになったのかのう」


ベルトランは、意味深な・・・だけど、どこか諦めたかのように、遠い目をした。


その目に映るものは、過去の悲劇なのか。


それとも、未来に待ち受ける、希望か、はたまた、さらなる悲劇なのか。


オレは、ただ、運命の過酷さに打ちのめされていた。




最後までお読みいただきありがとうございました。


18階のたたりと、セレスの呪いは2章で回収予定です。

お楽しみに!


今、投稿時に再度読み直してみましたが

ベルトラン!お前、知っててジャンに言わなかっただろう!?

と突っ込んでます。(笑)


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