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パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第一章 アステリアの街で

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第23話  予期せぬアクシデント

翌朝、ジャンはいつものように塔へ行く前にギルドへと足を運んだ。


昨日の飛行魔法の疲れがまだ残っているのか、足取りは少し重い。


ギルドの扉を開けると、そこにはカイラスの姿しかなかった。


「ジャンか、早いな。みんなはまだ来てないぜ」


「ああ、カイラスも早いな。今日はあのボタンの調査だったな」


「そうだ。昨日ギルドが調べてくれたらしくてな。さっき聞くと特に問題はないって話だ」


2人が窓際のテーブルに座って話していると、ライアス、ルミア、エルミナ、そしてリリエルとルナが次々とやってきた。


全員が揃ったのを確認すると、一人のギルド職員が彼らの元へとやってきて、告げる。


「勇者カイラス様、皆さん。昨日ギルドにて報告のあったボタンについて改めてお伝えしに来ました」


「ああ、頼む」カイラスが頷く。


ギルド職員は説明を始める。


「はい。先ほど簡単にカイラス様に説明させて頂いたので、カイラス様は繰り返しになりますが、・・・・・」


19階で見つけたボタンは、邪悪な魔力や、罠は感じられず問題ない事


実際に押してみたが、何も起きなかった事


ただ、念のため用心した方が良い事


ギルド職員はそのようなことを言い頭を下げた。


「わざわざありがとう」


カイラスが礼を言うと、職員は微笑んで去っていった。


「なんだ、拍子抜けじゃな。ワシの斧の出番はなさそうじゃな!」


ライアスが豪快に笑った。


「そうはいかないわ、ライアス。用心は必要よ」


ルミアが冷静に言い聞かせる。


「そうだね!ワナがなくても、もしかしたらモンスターが出てくるかもしれないもん!」


ルナが言う。


「ルナの言う通りだ。皆、気を引き締めて行こう」


ジャンが真剣な表情で言った。


準備を終え、一行は塔へと向かった。



19階へと転移し、目的の場所へと進む。


行き止まりの壁に近づくと、先日と同じように石板が嵌め込まれている。


その石板の中央に、親指くらいの大きさの、ボタンがあった。


石板の周囲には特に何も見当たらない。


「本当に何もないな」


カイラスがボタンを見つめる。


「カイラス、職員は大丈夫だと言っていたが、一応ワナがないか確認した方がいい」


ジャンが慎重に進言した。


「ああ、そうだな」


カイラスが答える


エルミナがマジックアップの魔法を唱え


ルミアが壁にいくつか魔法を放ってみるが、何の反応もない。


リリエルは回復魔法をいつでも唱えられるよう準備する。


「よし、大丈夫だ。押すぞ」


カイラスが静かに言った。


カイラスが人差し指でボタンを押した瞬間


ゴゴゴゴゴッと鈍い音が響いた。



「カイラス、何だ今の音は!?」


ジャンは叫んだ。


その直後、一行が通ってきた通路の奥で、天井から巨大な石壁が音を立てて落下し、通路を塞いだ。


「な、なに!?」


ルナが悲鳴を上げた。


「くそっ、罠だったのか!」


カイラスが剣を抜き、身構える。


通路は完全に塞がれ、戻る道はなくなった。


一行は閉じ込められてしまった。



「落ち着け!みんな、大丈夫か!?」ジャンが周囲を見渡す。


「うん、大丈夫。でも、どうするの?」リリエルが不安げな声で言う。


そのとき、ボタンのある壁から、青白い光を放つ半透明な身体のロボットのようなものが現れた。


それはゆっくりとした動きで彼らに言った。


「シ カ ク ヲ ダ セ」


ロボットは抑揚のない、機械的な声で言った。


「資格?」ジャンは戸惑いながらも、身構える。


「シ カ ク ヲ ダ セ」ロボットはさらに一歩近づき、その半透明な身体からさらに青い光が強くなった。



カイラスたちの前に現れた半透明のロボットは、抑揚のない機械的な声で「シ カ ク ヲ ダ セ」と繰り返す。


その声は、静まり返った通路に不気味に響いた。


ジャンは警戒を強める。


「なんだ、こいつは・・・・・!」


カイラスがそう叫び、剣を構えた。


「行くぞ、ライアス!」


「おう!」


カイラスとライアスが同時にロボットに斬りかかった。


カイラスの放つ鋭い剣閃と、ライアスの斧の重い一撃がロボットに命中する。


だが、その攻撃はまるで霧を斬るかのように、何の手ごたえもなくロボットの体を通り抜けた。


カイラス「なっ!?」


ライアス「なんじゃと!?」


二人は驚愕の声を上げた。


ロボットは攻撃を意に介することなく、ただ「シ カ ク ヲ ダ セ」と繰り返している。



「物理攻撃が効かないのか・・・・・!」


ジャンはそう呟き、後方で構えていたルミアに視線を送った。


ルミアも頷き、両手を前に出す。


「アイスストリーム!」


冷気をまとった嵐がロボットに向かって飛んでいく。


だが、それもまた、半透明な体をすり抜けて背後の壁にぶつかり、音を立てて砕け散った。


「ファイアーストリーム!」


ルナも続けて炎の濁流を放つ。しかし結果は同じだった。


「そんな・・・・・」


ルナは信じられないといった表情で、自分の手をじっと見つめている。


リリエルは不安げな表情を浮かべながら魔法を放つ。


「ウインドカッター」


風の刃がロボットを襲うも、やはり通り抜けるだけだった。


だが、相手は一切攻撃してこない。



それでも何かできないかと、リリエルはジャンに指示を仰ぐ。


「ジャン、どうしたら・・・・・!?」


リリエルの焦った声に、ジャンは冷静に応じた。


「落ち着け、リリエル。一切の攻撃は効かないみたいだ。まずは様子を見よう」


「でも、このままだと・・・・・」


焦りの表情でリリエルが言うと、ジャンは安心させるような声で言った。


「大丈夫、きっと何か方法があるはずだ」


エルミナは静かにジャンたちの背後に立ち、支援魔法を唱え始めた。


「パワーアップ、スピードアップ、マジックアップ、ディフェンスアップ、テクニカルアップ・・・・・!」


彼女の魔法によって、カイラスたちは、能力が向上する。


「エルミナ、ありがとう!」カイラスはそう言って、再びロボットに向き直った。


「もう一度だ、みんな!タイミングを合わせてくれ!」


カイラスとライアスが再び物理攻撃を仕掛ける。


リリエル、ルナ、ルミアもそれぞれの魔法を放った。


しかし、何度攻撃を繰り返しても、ロボットは攻撃は通り抜け無傷のままだった。


カイラス「くそっ、なんてやつだ!」


ライアス「ちっとも効かんぞ!」


カイラスとライアスが苛立ちを募らせる。ルミアも眉をひそめ、


「こんなことは初めてだわ・・・・・。あらゆる魔法も物理攻撃も、まるで存在しないかのように通り抜けていく」と、戸惑いを隠せない。


「ねぇジャン。どうしたらいいの・・・・・?」


ルナが不安そうにジャンの袖を引いた。


誰もが希望を失いかけている中、ジャンだけはただ一人、冷静にロボットを観察していた。



攻撃が効かないのは、相手が半透明だからか?


いや、それだけではないはずだ。


ジャンは思考を巡らせる。


このロボットは一体何者なのか。


なぜ「シ カ ク ヲ ダ セ」だけを繰り返すのか。


ジャンは収納魔導具から杖を取り出した。


前日に練習していた、魔力でモンスターを攻撃する技を試してみようと思ったのだ。


「みんな、下がっていろ!」


ジャンが叫び、杖を構え集中する。


杖の先端に魔力が集中し、青い光を放ち始めた。


「ハッ・・・・・!」


放たれた魔力は、一直線にロボットへと向かう。


しかし、それもまたロボットの体をすり抜けて、背後の壁でドーンと破裂した。


「くそ!やっぱり、だめか・・・・・」


ジャンは落胆したが、そこで一つの閃きが頭をよぎった。


攻撃は無効。


だけど杖や素手なら?


もしかしたら・・・・・。


相手は攻撃してこない。


危険はないはずだ。


ジャンは仲間の落胆した表情を横目に、杖を握りしめたまま、ロボットへと走り寄った。



「ジャン、何をするつもりだ!?」


カイラスが制止しようとするが、ジャンは一気ロボットとの差を詰めた。


そして、ジャンは杖を振り上げると、ロボットの半透明な体に一気に杖を振り下ろした。


「ジャン!」


リリエルの声が響く。


ジャンの持っている杖ではなく、ジャンの手とロボットの体が触れた瞬間、まばゆい光が放たれた。


それは、ルミアやルナ、リリエルが放った魔法の攻撃の光とは全く違う、内側から発せられるような強烈な光だった。


「なっ!?」


ジャンは驚きで声を上げた。


ジャンはロボットに金縛りをかけられたように、動けなくなっていた。


「シ カ ク  ショ ウ ゴ ウ」


ロボットの機械的な声が、はっきりとそう告げた。


ライアスは叫ぶ


「資格照合って何なんだよ!?」



カイラス「な、なんだ!?」


全員がその言葉に驚き、目を丸くする。


カイラスはジャンの異常に気付き、動き始めようとした瞬間。


光はさらに強さを増していった。


「イ ッ チ」


ロボットの声が再び響いた瞬間、部屋全体が太陽のように明るく照らされた。


あまりのまぶしさに、全員が目を閉じる。


そして、光が収まったとき、そこにはジャンの姿もロボットの姿もなかった。


「ジャン!」


「ジャン!?」


リリエルとルナが、悲鳴にも似た声を上げ、ジャンのいた場所へ駆け寄る。


しかし、そこにはただひんやりとした石の床があるだけだった。


「どういうことだ・・・・・。ジャンはどこへ行ったんだ?」


カイラスが呆然と呟く。


「あのロボットと一緒に消えたみたいだけど・・・・・」ルミアが戸惑いながら言った。


「くそっ、どうすればいいんだ!通路も塞がれて、ジャンもいなくなっちまった!」ライアスが拳を握りしめ、悔しさをにじませる。


「落ち着いて、ライアス。まずはここから脱出する方法を考えましょう」


リリエルが冷静になろうと努めながら言った。


エルミナ「でも、どうやって・・・・・」


その時、彼らが閉じ込められた通路の、元来た方向を塞いでいた壁が、音もなくゆっくりと開き始めた。


「壁が、開いた・・・・・?」


エルミナが驚きの声を上げる。


壁は完全に開き、元の通路が姿を現した。


「行こう、ギルドに戻るんだ!」


カイラスが皆を促し、彼らは急いで塔を後にした。


全員が塔を出た時には、既に夜になっていた。




ギルドに戻った彼らは、すぐに一連の流れをギルド職員に報告し、その職員はすぐにギルド長を呼び出した。


リーザン「なるほど・・・・・。ボタンを押すと通路が塞がり、半透明なロボットが現れて『資格を出せ』と要求した、と」


ギルド長が深刻な表情で、カイラスたちの話を聞いていた。


リリエルが震える声で話す。


「はい。そして、ジャンがロボットに触れた途端に光が放たれ、二人は消えてしまいました」


リーザン「物理攻撃も魔法攻撃も一切通用しなかったというのも、前代未聞だな・・・・・。そして、『資格照合』『一致』……。一体、何を意味するのか・・・・・?」


ギルド長は腕を組み、深く考え込んでいた。


「とにかく、分かったことは、あの場所は我々の手に負えるものではないということか・・・。そして、ジャン君の身に何が起こったのか、早急に調査する必要がある。そういう事だな」


「お願いします、ギルド長・・・・・!ジャンを助けてください!」


ルナが泣きそうな声で訴えかける。


ギルド長はルナに優しく微笑んだ。


「大丈夫だ、ルナさん。君たちの報告はとても貴重だ。この情報をもとに、全力で調査を進めよう。必ず、ジャン君を見つけ出す」



ギルド長の言葉に、ルナは少しだけ落ち着きを取り戻したが、それでもジャンの姿が消えた光景が脳裏に焼き付いて離れない。


「ギルド長・・・・・、私たちも何か手伝えることはありませんか?」


カイラスが、自分たちの無力さに打ちひしがれながらも、精一杯の言葉を絞り出した。


ギルド長は、カイラスたちの焦った顔を見渡すと、静かに頷いた。


「君たちの証言が最も重要だ。そして、君たちはあの場所を一番よく知っている。もちろん協力を頼みたい。 ただし、くれぐれも無理はしないように。君たちまで危険な目に遭わせるわけにはいかない。明日朝一番から、ジャン君の捜索及び、何が起きたのか調査を行う」



「はい!」


全員が力強く返事をした。




しかし、彼らの心に重くのしかかる不安が消えることはなかった。








最後までお読みいただきありがとうございました。


ジャンはどこへ消えたのでしょうか?

数話ほど、パーティーの心情をメインに書いています。

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