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パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外  作者: つるぴかつるちゃん
第一章 アステリアの街で

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第15話  思わぬ強敵

塔を訪れたカイラス一行は、1階から慎重に調査を進めていた。


たとえ低層階であっても、突然強いモンスターが現れたり


行き止まりの様子が変わったりしていないか


慎重にチェックしながら進んで行く。



3階では苦戦しているEクラスのパーティーを助け


5階では以前リーフスキンが出て、この場所で助けたEグループにパフェをご馳走になった話もしながら一行は和やかに進んでいった。


Bクラスの6人パーティーだけあって


調査を進めながらでもサクサクと進み


10階のボスも難なく倒し


その日の調査は12階で終了した。



カイラスがギルドへ調査報告に行っている間


残りのメンバーは労をねぎらうためのおつかれさん会を開いていた。



「やっぱり僧侶とマジシャンの組み合わせっていいわね」


ルミアがしみじみと言うと、ルナは驚いたように


「何を言っているんですかー。ルミアさんは両方の魔法を使えるじゃないですか」


と返す。


「両方の魔法が使えるとかじゃなくて、リリエルがウインドカッターを放つと同時にルナがアイスアローを放つなんて、私一人じゃできないのよね」


そうルミアは説明する。


リリエルは「同時に魔法を放つのは、どう転んでも無理ね」と同意した。


ルミアは苦笑いして「まあ、できるヤツもいるんだけど……」と続ける。


その言葉に、リリエル、ルナ、そしてエルミナは驚愕の表情を浮かべた。


リリエル「えぇ!?そんな人いるの!?」


ルナ「えぇ!?そんな人いるんですかー!?」


エルミナ「はぁ!?そんなヤツ人間じゃない!」


驚く3人に、ライアスは豪快に笑って言った。


「がははは、いるなあ」


その言葉に、リリエルとルナはさらに驚く。


リリエル「ちょっと待って!ルミアとライアスは知ってるの?」


ルナ「でもエルミナは知らないのー!?」


ルミアは楽しそうに「ふふふ、機会があったら紹介するわ」と答えた。



そんな話をしていると、カイラスも戻ってきたので、みんなで改めて飲み直し


適当な時間になったところで全員はジャンの様子を見に行き、そこで解散となった。


カイラスは神父の話を少し聞いてから教会を出た。


教会の外にはリリエルが一人で待っていた。




「リリエル?どうしたんだ?」


カイラスが尋ねた。


顔を上げたリリエルは心配そうな顔で答えた。


「うん、ルナがもう少しだけジャンのそばにいるって言うから待ってるの。ルナは今、安定してるとはいえ、一人だとちょっと心配だから」


カイラスは、ルナがまだ来ていないことを確認し、リリエルに聞く。


「リリエルに確認したいことがある。早ければ明日、遅くてもおそらく明後日には21階の調査に入ることになる。 そこにはメガプロプトスがいると聞いた。」


カイラスは複雑な表情になり、続ける。


「ルナは、そこでメガプロプトスにルシウスとゼノンが殺されるのを間近で見たとも聞いた。メガプロプトスと戦うことになってもルナは記憶が戻ったりしないか?」


リリエルは真剣な表情で答える。


「戻る可能性はあるわね。メガプロプトス・・・・・強いわよ。それだけじゃなくて想像以上の速さなの。普通は41階に出るモンスターだけど、行くの?」


カイラスは決意を込めて「ああ、そのつもりだ。攻略法があれば教えてくれ」と答えた。


こうしてしばらくの間、カイラスとリリエルは話し合った。


ただし、もしルナの記憶が戻った場合は、戦闘をすぐ中止して戻ることも確認し合った。


話し合いを終えるとカイラスは宿へ戻り、リリエルはルナが戻ってくるのを待ってから宿に帰って行った。



翌朝、再び塔の調査のため、前日の続きから進み始めた。


モンスターは昨日より強くなっていたが


Bクラスの6人パーティーは、多少速度は落ちるものの危なげなく順調に調査を進めていった。


そして、18階に到着した。


少し進んだところで、ルナの顔色が明らかに悪くなったため、パーティーは結界内に戻った。


リリエルは心配そうに


「カイラス、悪いんだけど今日はここで終わりに・・・」


そう言いかけると、リリエルの言葉を遮ってルナが言う。


「大丈夫。大丈夫だから」


顔色が悪いまま答えた。


カイラスは「配慮に欠けていた。ここ18階は・・・・・、そうだったな」と静かに言った。


ルナは「私は大丈夫。調査なんだから進まないと・・・・・」と前を向く。


ルミアは優しく

「無理しなくてもいいのよ。ひとまずここは飛ばして、上の19階に行きましょうか?それか今日はここまでにしても問題ないのよ」と提案した。


ルナは決意を固め、頭を下げながら


「ご迷惑おかけしました。この階を進みます」と言った。


「決心は固いみたいね。分かったわ。でも、どうしても、と言う時は言ってね。私たちのパーティーだけで調査するから、大丈夫そうな階の時に一緒にやりましょう」


ルミアはそう言うと、ルナの背中をポンと叩いた。


「ありがとうございます」ルナはお礼を言う。


一行は再び進み始め、少し開けた部屋に到着した。



ライアスがエルミナに尋ねた。


「なあエルミナ、今個別の支援魔法がかかっているわけだが、ここで全ステータスアップをかけるとどうなるんだ?」


現在、パーティーメンバーにはパワーアップ、テクニカルアップ、スピードアップ、マジックアップ、ディフェンスアップの5種類全てが個別にかけられていた。


これら5種類を同時にかけるのが全ステータスアップだが


個別にかけた後に全ステータスアップをかけることは誰もやったことがなく

そんな発想自体なかった。


そのため、エルミナも少し興味を持った。


「考えたことなかったなあ、さすがに下がることはないと思うけど、やってみますかー。全ステータスアップ!」エルミナはそう言って魔法をかけた。


しかし、ルミアは「特に強くなった気はしないわね」と言った。


「やっぱりそうかー。こうなるんじゃないか?とはなんとなく思ってたけどなー。ライアス、サンキュな」


エルミナも、こう言ったものの少し残念そうだ。


ライアスは「悪いな、魔力だけ消費させてしまって」と申し訳なさそうに謝った。


「まあまあ、何事も経験ってことで。あ、おいルナ?顔色悪いぞ」


エルミナはこう言うとルナの異変に気づいた。


ルナの顔は青くなっていた。


「心配かけてごめんなさい。ここで・・・・・この部屋でジャンさんが大量のモンスターに襲われたと思うとちょっと・・・・・ちょっとだけ休憩したら大丈夫なので気にしないでください」


ルナは震える声で言った。


カイラスは提案した。


「そうだなあ、誰が適任か・・・・・ルナとライアスの二人で先に19階の階段まで行くか?」


ライアスは「ああ、ワシは構わんぞ」と快く承諾した。


しかし、顔色が青いままのルナは

「いえ、このあたりのモンスターは結構強いので分散する方が危険だと思います。休憩は少しで大丈夫……今この瞬間もモンスターがそこの角から飛び出してきてもおかしくないので」

と答えた。


ルミアはルナの背中に手を置いて言った。


「ちょっとだけ楽になると思うから回復魔法かけるわね。ヒール」


すると、ルナの顔色はスーッと良くなった。


その瞬間、みんなが同時に変な違和感を覚えた。



そして、リリエルはライアスの腕の怪我に気づいた。


ライアスの腕に手を当てて


「腕、怪我してるじゃない。ヒール。ここは比較的強いモンスターが多いんだから、少しの怪我でも気を付けて」と言った。


ライアスは笑いながら問いかけた。


「がははは、この程度はかすり傷さ。だけど・・・・・、何かこう・・・言葉にできない変な違和感ないか?」


リリエルは、納得したように答えた。


「やっぱりそうなのね。気のせいかとも思ったけど」


カイラスは、みんなを励ますように声をかけた。


「みんな、気を引き締めて行くぞ」


みんなは頷き、しばらくするとクリブンが現れた。



挿絵(By みてみん)



ルナとルミアは瞬時に反応し、同時に「ファイアーボール!」と叫んだ。


「ゴオオ」


という音と共に


「ギィアギィア」


と声を上げ


燃えながらクリブンは近くにいたエルミナに体当たりをした。


「ドン!」と強い衝撃が走り


エルミナは壁まで飛ばされ「キャーッ」と悲鳴を上げた。


壁に叩きつけられ、「ガハッ!」と苦しそうにうめいた。


リリエルはすぐに駆け出し、エルミナにヒールをかける。



次にクリブンは近くにいたライアスに向かっていった。


ライアスが斧を振り下ろすと同時に、カイラスが後ろから剣で切りつけた。


「ザザン!」と音がしたが、斧はわずかに刺さっただけで、剣の傷も大して深くはない。


ライアスは驚き叫ぶ。


「なんなんだ!あいつは!3階あたりにいるザコのくせしやがって!」


「ギィィ」と呻くと


クリブンは再びエルミナに向かって突進してきた。


すぐ隣にいたリリエルがウインドカッターで応戦したが、致命傷にはならず、クリブンはそのまま突進してきた。


エルミナとリリエルは「なっ!!」と驚き


回避しようとするが、クリブンと壁の間に挟まれてしまった。


「ゴホッ」と二人とも苦しそうにうめいた。


二人は決して避けられないわけではなかった。


しかし、油断があった。


2階から4階に出てくるクリブンであれば、ウインドカッターで簡単に真っ二つになり絶命するはずだった。


リリエルもエルミナも、その認識だった。


だからこそ、ウインドカッターでも倒せなかったクリブンに対し、反応が遅れてしまった。



カイラスは、以前ジャンが言っていた「フレア1発では倒せないクリブン」の話を思い出していた


「フレアだ!フレアで攻撃しろ!」カイラスは叫んだ。


ルミアが「フレア!」と唱えた瞬間


「きゃーー!」とルナの悲鳴が聞こえた。


『ドサッ』


ルナもフレアを唱えようとしていたが、後ろの通路から新しく現れたクリブンに体当たりされ、壁の近くまで飛ばされて倒れたのだった。


カイラスは、ルミアがフレアを唱えた瞬間、リリエルとエルミナの元へ駆け出し


二人の上で炎上しながら絶命するクリブンを蹴り飛ばした。


すぐにカイラスはリリエルにヒールをかけ、リリエルはエルミナにヒールをかけた。


ライアスはすぐに新しく現れたクリブンを斧で攻撃し、リリエルがウインドカッターを見舞うと、ルミアがスターフレアで攻撃して絶命させた。


リリエルはルナの元へ走り、ヒールをかけた。



カイラスは叫んだ。


「今日は一旦離脱、ここから近い19階へ続く階段へ急げ」


一斉にみんなが走り出した。


途中で1匹クリブンが出たが、今度は油断なく、ルミアとルナがフレアで攻撃し、他のメンバーは、次の攻撃に備えたがクリブンは絶命した。


6人は無事階段に着くと上がり、19階の転移装置で外に出た。


カイラスは全員が無事なことを確認し、話し始めた。


「以前、ジャンと塔の調査に行った時、クリブンと瓜二つのモンスターが出る話をしていたことがあるんだ」


ライアスとルミアはハッとして顔を見合わせた。


ライアス「思い出したぞ、確かジャンがフレア1発では倒せないって言ってたヤツか」


ルミア「そうよ。あの時は出なかったし、以前リリエルとルナがいない時にも調査で18階を通ったことがあるけど、その時も出なかったから油断していたわ」


「なぜクリブンが出る時と出ない時があるのか分からないが、再度18階へ行ってみようと思うが、みんなの意見が欲しい」


カイラスはみんなに尋ねた。


全員が行くと返事をし、もし集団のクリブンに襲われた時はすぐに逃げることも確認し合った。


再び18階へ行ったが、そこは通常通りでクリブンが出ることはなかった。




その後、調査は打ち切りにし、全員はギルドへ戻って会議を開いた。


カイラスはすぐにギルド長へ報告し、カイラスが戻ってきて間もなくギルド長がやってきた。


「私も経験があるが、あのクリブンを見た時は驚いたよ。そのクリブンに遭遇しながらも、よくぞ全員無傷で帰ってきてくれた」


そのように言い、ギルド長のリーザンは一行を労った。


話し合う中で、18階で出現するクリブンは何かの条件で出るという意見でまとまったが、情報が少なすぎて、どのような条件なのか引き続き調査をするということで会議は終わった。


この話を中途半端に聞いていた、とあるCクラスの4人パーティーがいた。


このパーティーは過去、塔が正常だった時に20階まで行ったことがあり


カイラスたちが会議をしている間に塔の18階へ向かっていた。




このパーティーは全員男で、戦士、僧侶、マジシャン、ホワイトマジシャンの4人構成だった。


「クリブンに手こずるようなBクラスパーティーなんかいらねぇ、 オレたちがBクラスだ」


と意気揚々に18階へ行ったが、何度試してもクリブンは出なかった。




この日は会議終了後、翌日は19階から調査する旨を確認し、カイラスたちは解散した。


リリエルとルナは教会へ行き、ジャンの様子を見たが、意識は回復していなかった。


二人が宿に向かって歩いていると、カイラスを見かけたので声をかけた。


カイラスは、2人が泊まっている宿を、自分たちが泊まっている宿に変更しないかと提案した。


何か連絡事項がある時など、すぐに動けるため、リリエルとルナはすぐに宿の変更手続きをした。


また、ギルド職員はジャンが泊まっていた宿をキャンセルしておいた。




翌朝、カイラスたちがギルドへ行くと、例のCクラスパーティーが早朝に18階でクリブンと遭遇し

僧侶のみが生還したという話を聞いた。








最後までお読みいただきありがとうございました。

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