第100話 レゾナンス・ディヴィーヌの反動
ジャンとルナは魔力を送り続ける。
神聖な光が悪魔を完全に包み込んだ。
悪魔は、苦悶の叫び声を上げながら、徐々にその姿を消していく。
黒い瘴気は、光の中に溶け込むように拡散し、やがて何も残らなかった。
悪魔が消滅した、その瞬間。
結界が、フッと音を立てて消滅した。
ジャンとルナは、まるで糸が切れたかのように、その場に倒れ込んだ。
全身の魔力を使い果たし、意識は混濁している。
しかし、彼らの表情には、悪魔を打ち倒したという達成感と、シオンを救ったという安堵感が浮かんでいた。
シオンは、悪魔が消滅したにもかかわらず、その場に立ち尽くしていた。
彼女は、ジャンとルナの2人に駆け寄ろうとするが、足が動かない。
体からは力が抜けきっているが、悪魔の持つ力だけは、確かにシオンの中に残っているのを感じていた。
そして、その影響なのか?
シオンの瞳は、これまでに見たことのないほど、深く、そして澄んだ輝きを放っていた。
何とか足を動かそうとするシオンだったが、荒い呼吸の中で膝をついた。
その場にへたり込み、苦しげに息を吐く。
「上手く行・・・・・・」
ルナは、そこまで言ったところで、意識を失った。
「ルナ・・・・・・」
ジャンは、弱々しい声でルナの名を呼んだ。
かろうじて伸ばそうとした手は、途中で力尽き、彼の体もまた、意識の淵へと沈んでいった。
「ルナ!?」
ソフィアは、悲鳴を上げ、ルナに向かって駆け出した。
倒れているルナの体を揺すりながら、何度も「ルナ!ルナ!」と泣き叫ぶ。
リディアは両手を口に押さえ、目を見開いてその光景を見つめていた。
あまりの衝撃に、言葉が出ない。
フィリーネは、何とか歯を食いしばり、必死に意識を保っていた。
そして、へたり込んでいるシオンに向かって、震える声で尋ねた。
「ジャンと・・・・・・ルナは・・・・・・どうなったの?」
シオンは、荒い呼吸の中で、掠れた声で答えた。
「悪魔が・・・・・・分離・・・・・・されるとき・・・・・・悪魔の持つ・・・・・・力を・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・使って2人を救った・・・・・・だから・・・・・・生きて・・・・・・いる・・・・・・でも・・・・・・、数日間は・・・・・・、目が覚めない」
シオンの言葉に、フィリーネは安堵の息を漏らしたが、まだ疑問は残る。
「悪魔は・・・・・・完全にいなくなったの?」
フィリーネの問いに、シオンは再び苦しげに答えた。
「わずかに・・・・・・残ってる・・・・・・でも・・・・・・もう、暴走は・・・・・・しない・・・・・・はず・・・・・・」
シオンはそこまで言うと、意識を失い地面に倒れ込んだ。
ソフィアは、ひたすらルナの名前を叫んでいる。
シオンが倒れる姿を見て、フィリーネは、一瞬呆然としたが、すぐに我に返った。
「リディア、ソフィア!2人とも、手伝って!」
フィリーネの声に、2人も我に返り、大きく頷いた。
3人は協力して、飛行魔法で、ジャン、ルナ、シオンの3人を教会まで運んだ。
砂地には、彼らの激しい戦いの痕跡だけが、静かに残されていた。
夕闇が教会を包み始めた頃、静かに響く聖歌の代わりに、寝息がわずかに満ちていた。
エヴァンとエレオスも、ソフィアから情報を聞いて駆けつけ、その場に加わっていた。誰もが口を開かず、長い沈黙が続く。
「この3人、本当に幸せそうに寝てるけど、こっちの身にもなってほしいものだわ」
フィリーネが、ふと小さく笑いながら呟いた。
その視線の先には、穏やかな寝顔を見せるジャンとルナ、そして幼く見えるシオンがいた。
ソフィアがルナの寝顔を見つめながら、優しく答える。
「そうですね・・・・・・ふふっ、本当に幸せそう」
その時、ベッドの上でシオンがゆっくりと目を開けた。
そして、ゆっくりと体を起こす。
フィリーネが心配そうに
「大丈夫なの?」
と声をかけると
シオンは
「私はもう大丈夫」
と、少し大人びた口調で返した。
シオンの視線が、見慣れない2人の男性を捉える。
エヴァンと目が合うと、エヴァンは落ち着いた声で自己紹介した。
「エヴァンだ。エレオス、リディア、ソフィアとパーティーを組んでいるリーダーだ」
「私はシオン。ジャンの妹です」
シオンも丁寧に答える。
次に、エレオスが明るい声で続いた。
「僕はエレオス!さっきエヴァンが言ったように、このメンバーとパーティーを組んでるんだ!」
ソフィアが申し訳なさそうに、エヴァンとエレオスに頭を下げた。
「せっかくの休みだったのに、ごめんなさい・・・」
エヴァンは小さく首を振る。
「ジャンとルナには助けてもらったんだ。これくらいどうってことはない」
エレオスはシオンの方へ向き直り、満面の笑みを浮かべた。
「シオンはカワイイなあ!僕の彼女になってくれ!」
エレオスの突然の言葉に、ソフィアとエヴァンは目を丸くして驚き、フィリーネは
「まったくもう・・・」
とばかりに額を押さえてため息をついた。
エレオスの隣に立っていたリディアが、無言で立ち上がると、そのままエレオスの頭に遠慮なくげんこつを食らわせた。
「いったーっ!何するんだよ、リディア!」
エレオスは頭を抱えて叫ぶ。
しかし、シオンは笑顔で、とんでもないことを口にした。
「彼女になっても良いですよ♪」
その言葉に、リディアはもちろん、頭を抱えていたフィリーネまでもが、驚きのあまり目を見開いた。
エレオスは「よっしゃー!」と大喜びでガッツポーズを取る。
シオンはいたずらっぽく笑いながら言った。
「その代わり、1つだけ条件があります」
エレオスは意気揚々と胸を張った。
「どんな条件でも飲むぜ!」
「私と、1対1で戦って勝てたら、エレオスの彼女になりますよ」
シオンがにこやかに言い放つ。
エレオスは
「それくらいの事なら!」
と、すぐにでも引き受けようとした。
リディアとソフィアは揃って目を瞑り、エレオスに向かって手を合わせて頭を下げている。
「な、なんだよそれ?お前たち!」
エレオスは抗議の声を上げる。
フィリーネが、怒っているエレオスに追い打ちをかけるように告げた。
「さっき、砂地に行く時に聞いたんだけど、シオンは、ジャンとルナ2人を相手にしても勝っているのよ」
途端にエレオスの顔色は真っ青になり、ガタガタと震えだす。
シオンは、なおも笑顔でエレオスに尋ねた。
「今からでも戦いますか?」
エレオスはものすごい勢いで首を横に振る。
「い、いや、遠慮しとくぜ・・・・・・」
「せっかく私に彼氏ができると思ったのに、ざーんねんっ!」
シオンが悪戯っぽい笑顔で言うと、ソフィア、リディア、フィリーネは、こらえきれずに笑い出した。
それを見ていたエヴァンも、小さく口元を緩めて笑う。
しかし、エレオスだけは1人、顔を青くして震え続けていた。
「とんでもない自己紹介になっちゃったけど、話は朝のことに戻すわね」
フィリーネはそう言って、改めて場を仕切り直した。
シオンは、どこか遠くを見るような瞳で尋ねる。
「レゾナンス・ディヴィーヌについて聞きたいの?」
フィリーネは首を横に振る。
「それもあるけれど、一番は、シオンの中にいる悪魔について聞きたいわ」
シオンはゆっくりと語り始めた。
「私の生まれ故郷、カロスタインについて、お兄ちゃんから聞いてる?」
フィリーネは静かに頷き
「ヒルダロアの南側にあった村、と聞いてるわ」
と答えた。
ソフィアが「え!?」と言うと、息を呑む。
「確かその村は・・・悪魔に滅ぼされた村・・・・・・そこが・・・シオンとジャンの!?」
シオンは静かに頷いた。
ソフィア、リディア、エレオスは驚きに目を見開く。
エヴァンは冷静を装ってはいるが、わずかにその顔に動揺の色が浮かんでいた。
シオンは、視線を伏せながら続けた。
「その時はまだ子どもだったから、正確には覚えてないけれど、悪魔の足元で息絶えている両親を見て逆上したのは覚えている・・・・」
フィリーネは、痛ましげにシオンを見つめる。
「辛かったでしょう?」
ぽつりと言葉をこぼした。
「悪魔と魔力の波長が同じだって気づいた瞬間、もう必死で。正直、そのあとの記憶はあんまりはっきりしてないんだ」
ソフィアとリディアは、悲しそうな表情でシオンの言葉に耳を傾けている。
「私は最近、目が覚めたの。お兄ちゃんとルナお姉ちゃんが来ることが分かって、レゾナンス・ディヴィーヌを2人の頭に流し込んだと同時に、私のいる位置が分かるようにしたんだ。あとは2人が助けてくれる時に、私も結界の内側から魔力を押し返したんだよ。そして・・・結界を壊せた」
シオンは淡々と説明した。
フィリーネは目を丸くし、ゆっくりと言葉を漏らした。
「レゾナンス・ディヴィーヌも古文書に出てくる失われた魔法で、確か邪悪な存在をチカラごと消し去る魔法だったはずよ」
「よく知ってるんだね」
シオンは感心したように目を細める。
ソフィアがおずおずと手を胸に寄せ、疑問を口にする。
「で、でも・・・、チカラはシオンの中に残ったって・・・そう言ってましたよね?」
シオンは穏やかに頷く。
「うん、たぶん・・・だけど、悪魔と全く同じ魔力の波長だったからできたことだと思うよ」
フィリーネは考え込むように言った。
「ジャンとルナは魔力波動が似ている・・・、シオンと悪魔は魔力波動が全く一緒・・・もしこの2つの共鳴が衝突したら・・・・・・」
シオンは静かに頷いた。
「だから2人には早いと言ったのに・・・・・・。私とお兄ちゃん、どちらが強く共鳴が起きるか・・・・・・お兄ちゃんには分からなかったんだよ」
フィリーネは、ジャンの寝顔を見つめながら、優しく微笑んだ。
「ジャンとルナらしい決断だわ。少しでも早くシオンを救いたかったのよ、きっと」
シオンは俯きながら、寂しそうに語った。
「だけど、せっかくレゾナンス・ディヴィーヌを使ってくれたのに、わずかに悪魔が残っている・・・・・・悪魔を取り込んだ時の応用で、悪魔の力を行使しなかったら、お兄ちゃんとルナお姉ちゃんは倒れて、私は世界の敵になっていた・・・・・・」
フィリーネは、そんなシオンの言葉に、くすりと笑った。
「シオン?あなたは悲観主義者?ジャンとルナは今回、目が覚めるんでしょ?」
シオンは力強く頷いた。
「数日後、遅くても1週間以内には・・・必ず」
「なら良いじゃない。2人は目が覚める、あなたも無事。今はそれで良いでしょう?ジャンとルナがもっと強くなったら、その時、もう一度挑めばいいわ」
フィリーネの言葉に、シオンは、ほっとしたように微笑み、小さく頷いた。
その場にいる全員の顔に、安堵の表情が浮かんだ。
しばらく時間が経ち、ソフィアが、おずおずと口を開く。
「あの・・・・・・もし今、何か必要な物があれば、私が買ってきますよ」
シオンは、眠る2人から視線を外し、ソフィアの方へ向ける。
「今は特にないよ。みんな、もう疲れてるでしょう?ここは私が見ておくから、いつでも帰ってくれても良いよ」
フィリーネは、シオンの言葉に頷き、周囲を見回した。
「そうね。シオンの邪魔になってもいけないし、私たちも一度帰って、休んだ方が良いわね」
リディアとエレオスも、名残惜しそうにしながらも、フィリーネの提案に同意した。
エヴァンは静かに頷き、シオンに軽く頭を下げた。
こうして、フィリーネ、ソフィア、リディア、エヴァン、エレオスの5人は、シオンに労いの言葉を残し、教会を後にした。
医務室に残ったのは、シオンと、穏やかな寝息を立てるジャンとルナだけだった。
教会の静寂が、シオンの心に重くのしかかる。
その顔には、先ほどまでの笑顔はなかった。
「お兄ちゃんのバカ・・・・・・死んでいたかもしれないのに!!」
シオンは、うつむき加減に呟いた。
その声は、誰もいない空間に吸い込まれていくようにか細かった。
「お兄ちゃんとルナお姉ちゃんは、この先、もっと魔力の波動が似て来るんだから・・・・・・そうなった時にやってくれれば良かったのにっ!」
悔しさと、切なさが入り混じった感情が、シオンの胸を締め付ける。
「2人に教えたのは、間違いだったのかな?」
シオンはルナを見ながら言葉を紡ぐ。
「ルナお姉ちゃんも、あの時死んでいたかも知れないんだよ・・・・・・無茶はしないで!!」
シオンはそう言うと、ゆっくりと立ち上がり、窓の外に目を向けた。
教会の高い窓から見えるのは、瞬く星々が散りばめられた満天の星空だった。
「お兄ちゃんと、ルナお姉ちゃんが死んじゃって、私が悪魔になって世界の敵になってたら・・・・・・」
シオンは目を瞑って、静かに呟くと身震いした。
目を開けた時、星の光が、シオンの瞳に宿る。
その瞳の奥には、確固たる決意が宿っていた。
「私は、私のやるべきことをやる!」
静かに、そして力強く、シオンはそう呟いた。
その時、コンコン、と医務室の扉をノックする音が聞こえた。
シオンが少し驚き、扉を開けてみると、そこに立っていたのはソフィアだった。
ソフィアは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「夜遅くに・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
そう言って、ソフィアは手に持っていた小さな袋をシオンに差し出した。
シオンはそれを受け取り、中身を覗き込む。
「これは?」
「あの・・・・・・これ・・・・・・ルナが好きなお菓子。シオンの口に合うか分からないけど食べて」
シオンは、ソフィアの優しい気遣いに、少しだけ表情を和らげた。
ルナの方に目をやると、穏やかな寝顔がそこにあった。
「ルナお姉ちゃんが起きてたら、きっと美味しそうにパクパク食べちゃってるよね」
シオンがそう呟いた、その時だった。
ベッドで眠るルナの右手が、ピクッと小さく動いた。
シオンとソフィアは、その動きに同時に気づき、互いに顔を見合わせる。
ソフィアが、はにかむように言った。
「今、夢の中で食べてるのかも・・・・・・」
シオンも、ルナの寝顔を見て、「くすっ」と笑うと小さく頷いた。
「きっとそうだね・・・・・・」
ソフィアは、おずおずとシオンに尋ねた。
「あの・・・・・・迷惑かも知れないけど、もし良かったら・・・、今日はここに泊まって、ルナを見ていたいんだけど・・・・・・」
シオンは、ソフィアの真剣な瞳を見て、少し考える。
「それは良いけど、ここで寝ると、明日つらくない?」
ソフィアは、ゆっくりと首を横に振った。
「さっき、手が反応していたから・・・・・・今晩中に目が覚めたら、と思うと、どうしても一緒にいたいと思って・・・」
シオンは、ソフィアのルナへの深い友情と愛情を感じ取り、静かに頷いた。
翌朝早く、ソフィアは、医務室の扉に手をかけ、振り返る。
「あの・・・・・・このこと・・・、誰にも言わないでほしい・・・です・・・」
そう小さく呟き頭を下げると、ソフィアはそっと医務室を出て行った。
そして夕方になると、エヴァン、エレオス、リディア、ソフィア、フィリーネの5人が、連れ立って見舞いに訪れた。
彼らはジャンとルナの穏やかな寝顔を眺め、シオンと会話を交わした後、夜には教会を後にする。
しかし、夜遅くになると、ソフィアだけが再び医務室を訪れ、ルナの傍らに身を寄せて泊まるということが3日続いた。
4日目もいつものように夕方にみんながやってきて、それぞれの時間を過ごした。
帰る際、フィリーネは、「私、シオンに話があるから、みんなは先に帰ってて」と告げた。
エヴァンたちは、フィリーネの言葉に従い、教会を後にした。
全員が帰った後、シオンはフィリーネに「どうしたの?」と尋ねる。
フィリーネは返事をせず、医務室の扉を開けて誰もいないことを確認すると、静かに扉を閉めた。
その一連の動作を見たシオンは、緊張した面持ちで、改めて「どうしたの?」と問いかけた。
フィリーネはシオンの目の前に立つと、真剣な眼差しで切り出した。
「ソフィアのことで話したいことがあるの」
シオンは、心を痛めている様子で、
「ソフィアは疲れてきてるよね」
と答えた。
フィリーネはシオンの言葉に深く頷いた。
「ええ、そうなの。昨日から、戦闘中も眠いのか、ミスをするようになってきたわ。死と隣り合わせなのに、今日は特にひどくて・・・・・・見ていて本当に心配なのよ」
フィリーネの声に頷くことさえできず、シオンは沈痛な面持ちでただ黙し、胸の奥に隠した真実を抱え続けていた。
フィリーネは続けて、小声で切り出した。
「ソフィア、夜は宿にもいないし、かといって、好きな人ができたわけでもなさそうで・・・」
そこまでフィリーネが言いかけたところで、シオンが「実は・・・・・・」と、やや躊躇いがちに話し始めた。
「ソフィアには・・・、口止めされているんだけど・・・・・・」
フィリーネは、シオンの言葉に少し身を乗り出した。
「ソフィアに何かあったの?」
シオンは首を横に振る。
「えっと・・・ね、ソフィアは毎晩夜遅くに、ここに来て、翌朝早くに宿に戻っているんだよ」
フィリーネは、全てを察したように大きくため息をついた。
「やっぱり・・・・・・そうだったのね。休日明けに、ソフィアは『フレアを覚えたから、ルナに見てもらうんだ』って、張り切っていたから、何かいつもと違うとは思っていたのよ」
シオンは、ルナお姉ちゃんの寝顔に視線を向けながら言った。
「ソフィアは、早くお兄ちゃんとルナお姉ちゃんに目覚めてほしいんだね」
フィリーネは、くすりと笑いながら訂正した。
「2人と言うより、ルナね」
フィリーネの言葉につられて、シオンも小さく笑った。
シオンはフィリーネに問いかけた。
「今日もソフィア来ると思うけど・・・、どうする?」
フィリーネは決意したように頷いた。
「来るまで待つわ」
そして、夜遅くなって・・・・・・。
コンコン、と医務室のドアがノックされ、扉が開いた。
ソフィアが元気よく顔を出し、手に持つ袋を見せながら
「シオン、今日はこれ買って・・・・・・」
そこまで言いかけたところで、ソフィアはフィリーネがいることに気付き、悪戯がバレた子どものような表情になった。
フィリーネが大きくため息をついた瞬間
「ごめんなさい!今日は宿に帰って寝る!」
ソフィアは慌てて帰ろうとした。
フィリーネが「待ちなさい」と言うと、ソフィアは冷や汗を流しながらピタリと止まった。
フィリーネは、緊張しているソフィアに優しく言葉をかける。
「緊張しなくても怒らないから、入ってきなさい」
小さくなったソフィアが、恐る恐る医務室に入ってくる。
シオンは、ソフィアのその動作があまりにもおかしくて、プッと吹き出してしまった。
フィリーネは、ソフィアに告げる。
「ソフィアだけ、明日は休むってことにしておくから、今日と明日は、ルナに付いてあげなさい。私はもう夜遅いから、帰るわね」
そう言ってフィリーネは、ソフィアの肩を軽くたたくとドアの前まで行き、シオンとソフィアに手を振り、医務室を出て行った。
シオン「まずは、100話まで読んでくれて、本当にありがとうございます! いやほんと、ここまで来たんだね!」
リディア「まったくだよ。読んでくれなきゃ100話なんて迎えられないでしょ?感謝だよ!!」
ジャン「ところでオレたち、なんで普通にここに集まってるんだ?
本編ではオレもルナもレゾナンス・ディヴィーヌで意識不明になってるはずだが」
ルナ「ねえそれ! 私も言おうと思ってた! むしろ来れた自分に一番びっくりしてるよ!」
エヴァン「あとがき空間は“本編の理不尽をぶち壊す異世界”だからな・・・・・・もう慣れた」
カイラス「慣れるな」
エレオス「でも100話記念だし! 今日は特別だし! いーじゃん、細けぇことは!!」
ライアス「がはははっ、記念日ぐらい気合い入れて集まらんとな!」
フィリーネ「さて・・・・・・そんな賑やかな場に、今日は珍客がいるわね?」
ソフィア「こ、こここここの人・・・だ、誰ですか!? 名前のところ、???になってます!」
???「ふふ・・・・・・100話記念なら、顔を出しても良いかと思いましてよ?」
リリエル「えっ、あの、あなた・・・・・・初対面・・・・・・よね?」
ルミア「全員初対面のはずだけど、落ち着きすぎじゃない? この人」
???「皆さまは初めましてですわ。ですが」
男「ワタシとは知り合いだ」
シオン「いやいやいやいや! ちょっと待って!?
“男”と???が知り合いってどういうこと!? 怖いんだけど!!」
ジャン「ていうか男、なんで当たり前みたいに座ってるんだ?
お前、本編どころか正体すら不明だろ。まずは名前を明かせ」
男「100話記念だからな。特別だ。読者よ、よくぞここまで読み進めた。・・・・・・名前か。前にも言ったが、まだ無い」
ライアス「お前が一番“作者側”みたいな顔で喋るな!」
エヴァン「てか“???”の人、本編まだ登場してないんだよな?」
???「そうですわね。本編が進めば・・・・・・ふふふっ」
ルナ「出たっ! 意味深なこと言う人だもん!!」
フィリーネ「しかも落ち着き方が普通じゃないわね・・・・・・」
リディア「男の方も男の方で、正体不明のまま100話に混ざるってどうなのさ」
男「本編に出るまで明かさん」
シオン「いや、引っ張るね!? あとがきで散々しゃべってるのに!?」
エルミナ「まあ、100話くらいお祝いムードでいいんじゃない?」
ソフィア「そうですね・・・・・・。あ、あの・・・・・・ほんとに・・・読者の皆さんのおかげで、ここまで来られました!」
ルミア「ありがとう。本当にね。100話って、読んでくれる方がいないと絶対に迎えられないもの」
リリエル「これからも、ジャンとルナの物語を見守ってくれると嬉しいわ」
そのとき。
シオン「あれ? もしかしてだけどさ。これで“未登場の人物も含めて”全員出た感じじゃない?」
ルナ「たしかに!すごいよー・・・・・・こうして見ると壮観だねっ!」
(全員が「おおーっ」と感心した空気になる)
男「いや、まだ“あと1人”出てない」
全員「えっ!? 全員じゃなかったの!?」(ざわっ)
ジャン「ちょっと待て。おまえ、今“まだ1人”って言ったよな? 誰だよそれ」
???「作者が、“本編登場までは絶対に明かさない”と言っていましたわ」
(全員、沈黙)
エヴァン「え、誰? 本当に誰?」
リディア「知らない人でしょ絶対これ!!」
ルミア「ていうか、そんな重大発表みたいに言うのやめてよ! 気になるじゃない!」
ライアス「まあ、作者が言うなら仕方あるまい・・・・・・」
ジャン「オレたちより作者が強い世界だしな」
ルナ「ううっ、気になるよー!」
シオン「まぁ、そのうち分かるよ。たぶん。きっと。知らんけど!」
(全員、笑)
ジャン「オレは早く本編で起きたい」
ルナ「私も!」
シオン「じゃあ、締めるよっ!」
全員「次回もお楽しみにっ!!」
???「ふふふっ・・・これで本編登場時、私たちの心証はますます悪くなりますわね」
男「ふむ、それこそが“あとがき”に出る目的だ」
ソフィア「な・・・なに!? 一体、どういう・・・」
ーーーーーー 作者 あとがき ーーーーーー
作者のつるぴかつるちゃんです。
いつもご覧頂きありがとうございます。
ついに100話まで書くことが出来ました。
これも読者のみなさんのおかげです。
今回のあとがきは登場人物のほぼ全員を出させて頂きました。
いかがだったでしょうか?
残り1人は少し先で登場しますが、既にピンと来ている方もいるかもしれませんね。
あとがきもお楽しみ頂けると、これ以上の喜びはありません。
本編は普通に続けながら、あとがきは本編に触れる事はありつつも、本編とは関係なくコミカルに書ければ、と思っています。
別のあとがきで、キャラたちに話してもらいましたが、ひとまず
【パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外】
のラストがだいたい決まり、脳内再生の映像は見終わりました。
そこに向けて書き進めますが、今年はいつもの年と違い、バタバタが収まらず、本編の更新も止まってしまう場合があるかも知れません。
また、あとがきが書けない場合もあるかもしれませんが、温かく見守って頂けると幸いです。
【パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外】
応援してくださってありがとうございます。




