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第二話 入隊

入隊を期に、一人暮らしを始めた部屋に、時計のアラーム音が鳴り響く。

柏木 松(かしわぎ まつ)、それが俺の名前である。


午前6:30、その時間に起きた後、顔を洗って着替え始める。

今日は、面接が終わってから丁度一か月後、入隊の日である。

面接の時点で入隊は確実なのだが、そこから各支部に分類される。

主に6つに分けられる。支部長や隊長、副隊長やその側近が居る本部。

本部以外は主にする仕事で分けられる。戦闘が第一支部、救助・復旧が第二支部、警護が第三支部、インターネットなどの管理が第四支部、そして公的な仕事を行う第五支部。

能力(アリエル)…そのような特殊な力を使用する人能力者は主に第一から第三支部へ、第四、五支部は一般人が所属している。しかし、支部長や福祉部長などは能力をアリエルを利用する人の様だ。

そんなことを考えながら支度をしていると、もう出発する時間だ。

街を歩きながら駅へと向かう。

___平和。街を歩いていると、小学生から、高校生や社会人まで。みんな微笑んだり、他愛のない会話をしながら歩いている。しかし、あの時の惨状。

俺の家族や、俺の知り合いは、みんな死んだ。ビルは崩れ、街路樹は燃え、人々の悲鳴が響き渡り阿鼻叫喚の地獄と化した、あの日。

”劇団”。俺がその組織にまでたどり着くのはそう時間はかからなかった。主に奴隷解放を宣言しているような組織だが、実態は一切不明。特務部隊から重罪組織として認定されていて、ここ10年近くは劇団が活動し続けている。劇団は、アリエルを使用する能力者によって構成されており、少数精鋭の様だ。また、劇団に所属している能力者は自らを団員と名乗っている。…劇団のせいで、虐げられている能力者の奴隷も多い様だ。

そして、俺が探し求めているのは、そこトップ…団長”ジョーカー”。あの日、あの時わざわざ俺の目の前まで煽りに来た。そして、あいつは何処かへと行った。

特務部隊なら、何か手がかりがあるはず。そう思って、俺は所属した。…正直、世界の平和なんてどうでもいい。俺の平和は、もう崩れ去ってしまった。ここには、俺が愛した町はもうない、俺が愛した人はもう居ない、俺が愛した平和は、ここには存在しない。

そんな暗い思いに沈んでいると、一人の少年が俺にぶつかる。


「あっ…ごめんなさい!」

「…いや、俺も前を見てなかったから。ごめんね。」


少年は、すぐに走っていく。友達と思われる他の少年は、彼をからかう。

…彼らの平和は、ここにある。でも、この世の中は案外すぐに崩れる平穏の上に成り立っているんだ。


___________________________


駅について、電車に乗って本部に着く。本部は様々な場所にアクセスしやすいように多くの交通機関が集まる場所に設立されている。本部に入ってから、色々なチェックやカードを見せる。そして、少し待つと奥の施設に行く。そこで、入隊説明を受ける。

施設内の部屋…大会議室に入ると、そこには何人か既に座って居る人が居る。

彼らを横目に、自身の指定席に座る。そして、時間を待つ。

…10分、30分。そう経っていくうちに人は集まり始める。一緒に来た人たちも居れば、各々で来ている人たちもいる。そして、大会議室の手前の机に人がやってくる。

あれが…隊長なのだろうか。周りに五人居る。あれが、恐らく支部長なのだろう。


「…皆さんお集まりでしょうか?まずは、入隊おめでとうございます。そして、これから皆さんのトップを務める隊長、フォルテです。長々と説明はしません。簡単にまとめて説明させていただきます。」

「最初に、皆さんの業務についてです。これは各支部ごとによって日々の業務は変わりますが、共通の業務は犯罪能力者達の抑制と確保です。そして、もう一つの脅威、侵獣の対処です。」

「皆さんは、侵獣を自然発生するものと学校では習ったかもしれませんが、あれは一般市民の混乱を防ぐためです。事前に送らせていただいた書類に書いていた通り、あれは私とは違う遠い所から来ている生命体です。」

「なので、遠い所…簡単に言えば、銀河外などから来ている文字通り侵入してきた獣です。その中には、人だって含まれます。しかし、どのような理由であったとしてもこちらとしては害でしかない可能性があります。なので、意思疎通が取れなさそうなら即刻殺してくださっても構いません。」

「さて、説明が終わった所で皆さんには所属する支部を発表いたします。それでは、このデバイスを配りますので腕に付けてください」


そう言われると、事務員らしき人々が集まった人に対して腕時計のようなデバイスを配る。腕時計なら、時計がある部分は液晶になっている。そして、そのデバイスが起動すると心拍などを計測し始めて、情報を読み込んだのかそのまま自身が持ち主として登録されると、何かが送付される。恐る恐るそれを開くと、こう書いてあった。


柏木 松 第一支部所属


思わず「ぁ……」という声が漏れてしまった。ようやっと、ようやっとあのジョーカーへの一歩を踏み出した。何年、何年かかったのだろうか。

そう、自身の中での感動を嚙み締めていると、一人の男が声を荒げる。


「なんで!なんで優秀な俺が第五支部なんだよ!!俺はアリエルが使える能力者なんだぞ!分かってんのか!!しかも周知の事実を偉そうに講釈垂れやがって!今お前を倒せば俺がトップだよなぁ!!」


そう言いがら、そいつは手から雷を出している。…なるほど、雷を出すアリエル……。

なんて思っていると、そいつはさっきまで話していた隊長…フォルテさんに走って殴りかかろうとする。

そのこぶしは…届かなかった。代わりに、届いたのはそいつが床に叩きつけられる音だけだった。


「なぁなぁ、おまはんはなんも分かってないんやな。別にアリエル持っとる事が強者の証ちゃうし、別にあった所で銃つかわれりゃ一発で死ぬのになぁ。現に、アリエル使っとらんウチに叩きのめされとるしな。」


フォルテさんはそいつを気にしない様に、俺らに言う。


「…少々の事故はあったが、進行する。これから君達には各支部に分かれてもらう。各自暴れない様に、彼のようになりたくなければ…な。」


そして、扉が開くと各支部ごとにバスに乗る。…これからが、ようやっと俺の一歩になっていくんだ。



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