捨て山の人形
皆がゴミを捨てにくる山がありました。そこには絶対に拾えない、拾ってはいけない親子人形がいるとの噂——。
少女は人形が欲しかった。でも買ってもらえませんでした。なので少女はゴミ捨て山に人形を探しに行きました。少女は三体の人形を見つけました。近くに集まっていたので、少女は、まるで、お母さん、お父さん、男の子の家族のようだと思いました。少女は女の子の人形が欲しかったので、横倒しになっている母親人形を拾おうとしました。ですが持ち上がりません。よく見ると息子人形が倒れ掛かっているようだったので、息子人形を父親人形の横に立て直してあげました。すると母親人形が持ち上がったので、少女は人形を持って帰りました。
少女は人形をきれいにして、一緒に遊んで、おしゃべりしました。少女はその日、人形と一緒にベッドで眠りました。朝、目が覚めると、人形がベッドにいません。部屋を見渡すと人形は扉の前にいました。少女は不思議に思いましたが、また一緒に遊びました。その日も少女は人形と一緒に眠りました。次の日、目が覚めると、また人形がいません。少女が扉のほうを見ると、人形は扉の前にいました。急に怖くなった少女はそっと近づいて、人形を持ち上げました。そのとき人形がカランッと鳴ったのに驚いて、思わず投げてしまいました。当たりどころが悪かったのか、人形はバラバラに壊れてしまいました。恐ろしくなった少女はベッドに潜り込んでしまいます。
気がつくと少女は眠ってしまっていたようでした。少女は思い出したように部屋を見ますが、母親人形の姿はありません。扉のほうを見ると、そこには、父親人形と息子人形が立っていました。母親人形が壊れていた場所を見て、真っ黒な目と真っ黒な口で、ニヤァと笑っていました……。
そしてバッと少女のほうに振り向いて——私はそこで、飛び起きて目が覚めた。