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ゆらゆら

作者: 河野夜兎


 《ぼんやり》


空のすき間には紫陽花あじさいのような青い色。

広がる雲は低くて重たいねずみ色。


風はひゅるひゅーと耳元で鳴き声を上げて頬っぺたを刺すような冷たさ。


いつもなら首を竦めてマフラーに顔を埋めたくなるけれど


今日は何故だかじっと上を向いて歩きたい。


足元がよたよたする。

首が固まりそうだ。

でも、目が離せない。


口をぽけえーと開けて、

空を仰ぎ見歩く。


するとね、

見えたよ。


曇り空、雲の切れ間から


『天使の梯子』


あぁ、なんか泣きたい気分だったけど


なんかどうでもよくなった。




 《空想世界を歩く》



 空想世界。

僕の頭ん中だけの世界。


ずっとどこまでも真っ黒け。

真っ黒人間が真っ黒人間を真っ黒いナイフでひと刺し。

体から吹き出す液体も真っ黒。


笑った顔も真っ黒。

泣いた顔も真っ黒。

流れたなにかも真っ黒。


黒い人ごみを

黒い車がつっこんで

真っ黒人間が次から次へと宙を舞い


黒い地面におちて融解して溶けていく。


ああ、見渡す限り全部真っ黒だ。


あははははは。


これを黒じゃなく、鮮血のような赤で空想したらどんな感じかな?




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― 新着の感想 ―
[一言] 《ぼんやり》と《空想世界を歩く》のギャップが大きくて、何だか怖くなりました。 でも何となく共通する部分もあるのかなって。 人の心って相反する感情が渦巻いてて、そういう生きた人間の心を感じま…
2010/08/15 18:23 退会済み
管理
[一言] 拝読いたしました。 「ぼんやり」は、非常に情景が目に浮かびました。 こんな情景が目の前に広がったらば、私もずっと上をみて歩きたいと感じるでしょう。 天使の梯子という表現が、また素敵です。…
[良い点] 『ぼんやり』の方は、視覚や聴覚などの五感に訴えかけてくる作品だな、と感じました。 そして、寒い季節を描いているにも関わらず、最後の一文でふわっと温かい気持ちになりました。 そして…
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