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辺境伯家の次男ルネには家族にも言えない秘密がある。
ルネには前世の記憶、具体的には日本と言う国で社会人として生活していた記憶があるのだ。その上この世界はルネが前世で愛読していたファンタジー小説の世界なのだ。
ルネの前世川島悠斗が交通事故で亡くなる前日まで読んでいた小説『フランツ王国記』。
主人公テオドール・ネクレンブルクが計略により皇太子の地位を追われ平民に落ちながらも、仲間を集い王位を取り戻すまでの話である。
主人公のテオドールが顔良し、血筋良し、その上文武に優れ、魔法まで使えるというチート級に完璧な上にヒロインも清純系美少女で癒やしの力を持っている。
ちなみに挿絵がとにかく綺麗すぎたため美形のレベルが国宝級だ。イラストから小説を読み始めた読者が多く、悠斗もイラスト入ったくちだ。
本来ならそんな主人公たちのいる世界に転生したのだから喜んでもいいはずなのだがそうもいかない。
「モブキャラに転生したのは別にいいんだけど、まさかのカンテミールかぁ」
そう問題はルネの転生したこの辺境伯家にある。
実はこのカンテミール家は小説の中では主要キャラ達の争いに巻き込めれて没落してしまう。
その上、ルネの兄であるリオネルは小説のラスボス的な存在である公爵家の後継者アレクシス・ド・オルレアンに騙されて処刑されてしまうのだ。
「なんとしてもこの結末だけは阻止しないとだよな。」
というわけでルネは物心のつく歳から今に至るまで絶賛没落回避のための作戦を実行中なのだ。
BLを嗜む妹が考えた設定で書いていますが、実際はBL要素は特にありません。
タイトルを見てのぞきに来たら物足りないかもしれません。